備忘録 2021/03/14 (シン・エヴァを観た)
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備忘録 2021/03/14 (シン・エヴァを観た)

菊川裕也

新規事業を計画していることもあって調べものも多いし打ち合わせも増えてなかなか忙しい。そんな中でも一瞬他のことが考えられなくなるくらい、やはりエヴァンゲリオンは自分の中で大きい存在のようだった。2012年に一緒にQを観に行った元バンドメンバーの片倉に誘われて新宿バルト9に行ってきた。


(シナリオの具体的展開について触れるつもりはないですが『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の個人的感想を含むのでネタバレが気になる方はお気をつけください。あくまで個人的感想で作品の批評を行うつもりもありません。)


とりあえず死ぬまでに完結を観に行けてよかったと思った。考えてみると自分は影響を受けたアニメとか漫画って未完のことが多い。HUNTER x HUNTERもバガボンドも、預言者ピッピもウルトラヘブンも終わってない。それは共通点があるような気もしていて、人外の真理を本気で描き切ろうとすると止まるか狂うかしかなくなって結局終わりようがないのだと思う。その点エヴァは3回も完結しているのだからすごいことだ。

「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」というコピーが秀逸というか、本当に全てを終わらせようとするとこうなるんだな、と思った。新劇場版だけ観ている人から長年考察を続けてきたファンまで、ロボットアニメを観たい人から人間ドラマを見たい人まであらゆるタイプの視聴者に対してエンターテイメントを提供しようとしている。そして同時に、「庵野秀明の心の深淵を描くことこそがエヴァンゲリオン」というスタンスについても逃げない態度に感銘を受けた。

背負っているものが違いすぎるけど、一応自分も経営者で、庵野さんも経営者だ。経営者として会社を担い、多くのスタッフの食い扶持を稼ぐビジネスマンでありながら、作品にエゴを貫くことがいかに難しいか。それをひしひしと感じた。

さらにエヴァンゲリオンは間違いなくこの25年の社会を作ってきた作品の一つであり、今やアニメが日本が世界に輸出できる大きな産業となっている中で、彼の責任や重圧は計り知れない...。そんな中であれだけ落とし前をつけるというのは、あらゆる視聴者やスタッフに対して強い責任感があるのは元より、自分のこれまでの作品にも非常に強い愛情があって、全てを受け止めて背負い投げするくらいのエネルギーがないとできない。60歳で、だ。歳なんて関係ないとは思うけど、14歳の心を持ち続けたまま生きるというのは、それだけですごいことだ。


途中自分にとっては不可解な演出もいくつかあって、あと正直もうちょっとここは掘り下げた方がいいんじゃないのとか、ある種の陳腐さを感じたりもした。...んだけど、映画見終わって片倉と話し合って、「これ以上もう何もないよ」という、「舞台の裏を見せることによってエヴァの謎めいた魅力をなくす」ことも含めて、エヴァンゲリオンを終わらせる、という目的に向かっていたと考えると全部納得できるという話になった。皆知っているようにエヴァは二次創作であったり商業の展開であったりいろんな形で消費されるので、そういう庵野作のエヴァンゲリオンだけでなくあらゆるエヴァンゲリオンを終わらせようと思ったら、ファンの幻想も含めて断ち切らないといけない、という。

...まあそこまでしようと思っていたのかはわからないけど、自分としてはもう今後深くエヴァンゲリオンの謎について悩むことはないような気がするし(とか言いながら観た直後はすごい解説動画とか観たけど)、スッキリと卒業させてもらった気がする。それはシナリオにおいて全ての謎が解けた、とかいうレイヤーの話よりも、庵野さんの背負っていた、表現しようとしてた深淵への責任感みたいなものから解放されたという話だと思う。まあ要するに、つくる側もみる側も大人になったと思った。

みんな歳とったんだね、というのはエヴァを観た多くの人が感じてることだと思うけど(勝手に)、同時に、社会や時代が変わったんだなということを強く感じた。1995年に自分は小学5年生で、鳥取県のTV局ではエヴァは放送してなかったんだけどたまたま自宅がケーブルテレビに入っていたのでたまったまリアルタイムの放送を観ることができて、小5にしてめちゃくちゃハマっていた。ただ当時はとにかくかっこいいアニメくらいの感じで訳はわかっていなかったはずで、小学校の通学途中に覚醒した初号機の真似を友達に見せていたことだけ覚えている。今にして思えば小学5年生にあの内容は教育上良くなかったと思う(でも水曜1830~のアニメ枠で普通にやっていたのだ...)

時代は変わり今回のシンエヴァでは暴力表現も性表現もかなり緻密に考えられたエンタテインメントになっていた気がする。95年だったら勢いで成立したことも今は許されない。やっぱり社会として受け止める余力がないし、アニメというものが持つ影響力が違いすぎるので(ビジネスとしても規模が違いすぎる)、同じようにできないのは当然だ。実際自分も同じようなものが観たいとも思わないし。

でもやっぱり、だからこそやっぱり、95年から続く呪縛を、全身全霊の愛情を込めて解いたっていうのは、偉業だ。

ありがとう、さようなら。

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菊川裕也
スマートフットウェアを開発するスタートアップORPHE Inc,のCEO / Founderをやっています。日本で成功例の少ないハードウェアスタートアップの酸いも甘いも共有していければと思っています。趣味でバンド(The Davos)をやっています。