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備忘録 2021/03/21

東京五輪・パラリンピック開閉会式の企画、演出の統括役でクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が、式典に出演予定だったタレント渡辺直美(33)の容姿を侮辱するような演出プランを提案して辞任した。

別に時事の問題を語るつもりはないけど、これは今後の日本の行末を表す一つの事件なんだと感じた。

この問題には二面の問題がある。

まずは、オリンピックの開閉会式といった機密性が高いプロジェクトの企画時のやり取り(LINE)が暴露され、企画段階のアイデアを書いていただけで実施されたわけではないのに批判の対象となり佐々木氏が辞任に追い込まれているということ。原則として、クリエイティブの企画会議なんてダメなアイデアも含めて自由にディスカッションしなければ良いアイデアも出るはずがない。クローズドの企画会議での発言が公で批判されるかもしれないとなったら誰も攻めたアイデアなんて出さない。オリンピックだからダメ、という意見もあるらしいがむしろ権威ある場での表現で卓越するためには絶対に勇気が必要で、センセーショナルな表現をアイデアとして議論することは絶対に意味があると思う。何より結果としてこのアイデアは周りに批判されて却下しているわけで、強引にその案が継続されたわけでもない。

そもそも論として、おそらく佐々木氏自体はこの発言の中で渡辺直美を侮蔑する意図はなかったと思われる。メリットがないからだ。残念なかたちで感覚が古くなってしまった(または元々古かった)だけで、佐々木氏本人は渡辺直美を可愛く面白く見せてあげたいくらいの感覚だったのだと思う。今回の一連の報道でかなり違和感なのが、なぜ渡辺直美を豚に返信させたら侮蔑になると決めつけているのかということだ。猫だったらよかったのか?豚が失礼な表現のというのは誰が決めたんだろうか?別に豚が美しいと思う人もいると思うし、豚の美しさを見出して人に伝えたいと思う人もいるだろう。女性を豚に例えること自体が侮蔑と決めつけてしまったら、今後豚の美しさを表現したい人はどうすればいいんだ??

つまり問題の一面は文春と民衆で作り上げる超不寛容社会だ。めちゃくちゃに視野が狭い民衆を焚き付けることで国の一大プロジェクトの責任者を辞任に追い込んでいる。企画時のアイディアであることもそうだし、そもそも機密を誰かが漏らし(金を払って情報を買っているのだろうか)それが記事として販売されていることの意味がわからない。なぜそれが許されるのだろう?機密を暴露した人は損害賠償なりそれなりのリスクを負う仕組みにしないと、こんなモデルがまかり通ってしまったら誰もリスクを背負って大きなプロジェクトを請け負うことはできなくなる(もしくはつまらないひとだけが残る)


ただ、少し違和感があったので週刊文春の記事を全部読んでみた(お金払うことに罪悪感を感じながら...)。記事全体を読むと断片的な情報での印象とは異なり、豚の件は今回の告発の一部であり、全体としては佐々木氏が森本首相らとつるんで女性をプロジェクトの最良ある立場から排除していき、前任でIOCからも評価された開会式案を作ったMIKIKOさんも辞任に追いやった経緯が事細かに書かれていた。MIKIKOさんや菅野薫さんや日本のトップクリエイターたちが死ぬ気で作ったかっこいい企画を、佐々木氏が排除する過程で出たアイデアの一つが豚案だったということだ。

文春に書いてあることが本当だと仮定しての話だけど、そうなのだとすると情報を売った人は佐々木氏の横暴にどうしても納得がいかずなんとか流れを変えるために決死の思いで文春を頼ったのかもしれない。確かに現状でこの種の権力の腐敗に対抗できるのは残念ながら文春のようなメディアしかないかもしれない。僕も佐々木氏の企画よりはMIKIKOさんや菅野薫さんの企画の開閉会式の方が全然観たい。企画書までリークされている中で難しい気もするけど間に合うなら今からでもMIKIKOさんがまとめてもう一度やり直せたらいいと思う。


だから今回の問題は文春と民衆で作り出す想像力のない超不寛容社会への嫌気と、一方で文春なしでは現状なし得ない権力への腐敗への告発(事実としてそのペンの力は責任者を辞任に追い込んだ)という二面性でとても複雑な感覚になった。


実際数ヶ月後開会式がどのようなものになりどのような気持ちで見ることになるのか、全く想像がつかない。ただ、コロナやオリンピックという外圧?によってここまで全く変わってこなかった日本の問題が浮き彫りになり、急速に変わり始めているということは、ある種の希望なのかもしれない。



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スマートフットウェアORPHE TRACKを開発する企業 no new folk studioのCEO / Founderをやっています。日本で成功例の少ないハードウェアスタートアップの酸いも甘いも共有していければと思っています。趣味でバンド(The Davos)をやっています。