見出し画像

フリーランス薬剤師に必要な税金の基礎知識|税金の種類と確定申告

「フリーランスになったら税金関係が大変と聞くけど、実際何が大変なんだろう?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

会社員であればお給料から自動で引かれているので、税金はあまり気にするきっかけがありませんよね。

本記事では、フリーランス薬剤師になるうえで押さえておきたい税金の基礎知識を解説しています。

「税金について何もわからなくてとにかく不安......」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

フリーランス薬剤師が納めるべき税金は4種類ある

会社員は税金が給料から天引きされていますが、フリーランスになると自分で納める必要があります。まずは納めなければならない税金の種類を知っておきましょう。

所得税

所得税は、フリーランス薬剤師として稼いだお金に対してかかる税金です。ただし、稼いだ金額すべてに対して税金が課せられるわけではありません。

稼いだ金額から仕事に必要なものに使ったお金(=経費)と、生命保険や年金などで支払ったお金(=所得控除額)を差し引いた金額(=課税所得)に対して税金がかかります。

自分の支払ったお金が所得控除に含まれるかどうかは、下記を参照してください。
参照:所得控除額に含まれるお金の内訳

なお支払う所得税の金額は、課税所得の金額によって異なります。計算方法の詳細は、国税庁のホームページに記載されています。
参照:所得税の計算方法

所得税は、確定申告をすることで納める税金の額が確定します。

一括で納める必要があるので、あらかじめ所得税がいくらになるかを概算しておいて、毎月の収入から自分で天引きしておくことをおすすめします。

なお会社員の場合は、概算した所得税が給料から天引きされていて、払いすぎていた場合は年末調整で還付されます。

「毎年11月ごろになると年末調整の紙を渡されるけど、なんのために書いているのかはよくわからない」という方は、下記の記事も合わせて読んでみてくださいね。

住民税

住民税とは、住んでいる都道府県や市区町村に対して支払う税金のことです。住民税として支払ったお金は、地域の公共サービスを運営するために使われています。

所得税と同様、稼いだ金額から経費と所得控除を差し引いた金額(=課税所得)に対して税金がかかります。

住民税は、個人が支払う「個人住民税」と、企業が支払う「法人住民税」の2種類があり、フリーランス薬剤師の場合は個人住民税です。

個人住民税は、課税所得額によらず一定額が定められている「均等割」と、課税所得の10%を支払う「所得割」があります。
参照:個人住民税の計算方法

住民税は、確定申告後に市区町村が金額を計算し、6月中旬ごろに納付書が送付されます。税金は6月末までに一括で納める方法と、4回に分割して納める方法が選択可能です。

なお所得税や住民税は、さまざまな控除の仕組みを活用することにより節税できます。

税金対策について詳しく知りたい方は、下記の記事も読んでみてくださいね。

個人事業税

個人事業税とは、フリーランスとして営んでいる薬剤師業に対してかかる税金のことです。

すべてのフリーランス薬剤師に対してかかるわけではなく、所得が一定額を超えると都道府県から通知が来ます。

税率は事業の種類によって異なり、薬剤師業の場合は5%です。詳しい計算方法については、下記を参照してください。

なお納税は、基本的に年2回にわけて納付します。
参照:個人事業税の計算方法

消費税

消費税は、フリーランス薬剤師としての売上(=報酬)に対してかかる税金です。税込の年間報酬が1,000万円を超えた場合に納税する必要のある税金です。

ただしすぐに納税する必要はなく、1,000万円を超えた年の2年後から納税義務が生じます。

消費税は、所得税と同様に一括での納付となります。消費税分は報酬から差し引いて管理しておくのがおすすめです。

消費税の詳しい計算方法については、下記を参照してください。
参照:消費税の計算方法

なお消費税に関しては、現在インボイス制度の整備が進められています。消費税の納税義務については今後ルールが変わる予定のため、チェックしておきましょう。

インボイス制度については下記の記事で詳しく解説しているので、気になる方は合わせてお読みください。

フリーランス薬剤師は「確定申告」で収入を申告する

会社員の場合は会社が給料や税金を管理していましたが、フリーランスになると自分で収入を管理する必要があります。

納める税金の金額を確定させるのに必要な手続きが「確定申告」です。確定申告の大まかな流れをみていきましょう。

1.1月1日から12月31日までの収入と経費を計算する

諸々の税金は、収入から経費を差し引いたお金(=所得)に対してかかります。まずは1年間の収入と経費を計算しましょう。

薬剤師の場合、たとえば白衣や印鑑、勉強用の書籍などが経費に含まれます。生命保険やふるさと納税など、控除に含められるものがある場合は合わせて計算しておいてください。

2.確定申告に必要な書類を作成する

税務署に所得を報告するための書類を作成します。書類は手書きでも構いませんが、e-Taxというシステムを使うとパソコンやスマートフォンで書類が作成可能です。

3.所得税を納付する

収入や経費、各種控除を入力すると、納付する所得税の金額が割り出されます。指定された金額を期限までに納税しましょう。

納税方法は複数あり、自分にとって都合のよい方法を選んで納税することが可能です。
参照:所得税の納税方法

税金だけでなく法定福利費も自分で納める必要がある

実は国や地域に納めるのは、税金だけではありません。健康保険や年金も、自分で管理する必要がある費用に含まれています。

会社員では「健康保険」と「厚生年金」に該当するものです。それぞれの費用についてみていきましょう。

国民健康保険料

国民健康保険料は、保険を使って医療を受けるために納めるお金です。所得によって納める金額が変わり、詳しい計算方法は各市区町村によって定められています。

住んでいる市区町村のホームページから、計算方法や徴収方法などを確認しておきましょう。

国民年金保険料

国民年金保険料は、収入によらず金額が決まっています。令和4年度の保険料は、月額16,590円です。

4月から翌年3月までが年度の区切りになっていて、年度ごとに金額が変わります。詳しい納付方法については、下記を参照してください。
参照:国民年金保険料の納付方法

介護保険料

介護保険料は、40歳から64歳までの健康保険加入者に納付義務が生じます。フリーランス薬剤師の方、または検討中の方の中には、該当しない方もいるかもしれません。

金額は各市区町村が決めていて、3年に一度改訂されます。該当する方は、住んでいる市区町村のホームページから金額を確認しておきましょう。

税金の仕組みを学んで漏れのないように納税しよう

会社員であれば自分で管理する必要のなかった収入や税金を、自分で管理しなければならないのは大変に感じるかもしれません。

ただ、フリーランスとして仕事をするうえでは必須の知識です。

会社員であれば税金について学ぶきっかけもなかなか得られないので、ぜひチャンスととらえて一つひとつ学んでいきましょう。

なお、以下の記事では確定申告についてもう少し詳しく解説しています。

「確定申告について調べていたら、青色申告と白色申告って出てきたけど何が違うの?」と思った方は、ぜひ合わせて読んでみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?