前世のはなし

夫のふとももには、象の頭のかたちをしたあざがある。
耳を広げた象の頭部を正面から見たような感じで、ちょうど目の部分にほくろが2つ。

そのあざどうしたの、と聞くと、生まれつきのものだと教えてくれた。
僕の前世はたぶん象さんだったんだよ、とも。
だから僕は食いしん坊なんだねえ、といいながら、夫は口笛で「小象の行進」を吹き始めた。


前世といえば、自分の前世を知るためにイタリアまで調査へ行った人の話を読んだことがある。

前世が見えるという人物に、あなたの前世はヨーロッパでルネサンス時代に活躍した彫刻家ですと告げられ、文献で調べるだけでは飽き足らず現地に赴き調査するというもので、前世なんてそんな、と思いつつも、自分の前世をそう確信をもって信じられるというのはなんだかうらやましかった。

イタリアとかルネサンスとか彫刻とか、そういうのがより好きになって詳しくなって、もっと自信を持って自分はこれが好き、自分はこういう人であるって、言えるようになる気がして。自分自身の輪郭が、よりはっきりとする感じがして。

私の前世は何だろう?多分人間じゃないな、鳥かな?植物かな?虫かな?と考えるけれど、どれもしっくりこない。
まあ、前世がなんであれ、とりあえず今をがんばろう。

○前世の本
森下典子『前世への冒険 ルネサンスの天才彫刻家を追って』光文社知恵の森文庫, 2006.

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本が好き。毎回の投稿では、記事のテーマに関連する本を紹介します📚 1992年生まれ。