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第5回「気候変動を解決するイノベーションのタネを探そう」

システムを学ぶ

私たちの経済、社会、自然は、複雑につながって互いに影響しあっています。そのつながりを、「システム(系)」と呼びます。

その中では、小さな影響が回り回って、誰も望んでいないのに、知らないうちにとんでもない大きさになっていくことがあります。あるいは、よかれと思って働きかけたことが、事態を思わぬ方向に転ばせてしまうこともあるかもしれません。

今回は、まずそのシステム(系)について、体感的に学ぶワークを行いました。どんどんと増えていくCO2をどのように減らしていくか。

誰か一人が抜けても、システムは変わらない・・誰かが働きかけても、思ったより効果がない・・対策を考えている間にもCO2が上がっていく・・根本原因を悪気なくつくりだしている人に遠慮して声をかけられない・・・ゲームではありましたが、現実でもありうることが語られ、複雑なシステムに対して、私たちがどのようにより効果的に働きかけていくか、皆で頭をひねりました。

自己強化型ループ

第4回では、指数関数的な増え方を「どんどん型」と呼びましたが、今回はもう一つ、ものの見方が紹介されました。自己強化型のループです。これは、「ぐるぐる型」と呼べるのでしょうか。絵にするとこんな形です。

これは因果関係の連鎖を図式しています。

気温が上がる➡︎氷が溶ける➡︎海面が増える➡︎太陽放射熱を吸収しやすくなる➡︎気温が上がる➡︎氷が溶ける➡︎海面が増える➡︎太陽放射熱を吸収しやすくなる➡︎気温が上がる➡︎…

もし「CO2が増えることで、気温が上がる」とするとどうでしょうか。

私たちはCO2を排出しています。すると、気温が上がるわけです。すると、このループが「どんどん型」の速度で回っていくことを想像してみてください。私たちがはっと気づいた時に、CO2の排出を止めても、もう手遅れになっているかもしれません。

というのも、このループの中で、永久凍土が溶けてしまうと、その中からメタンガスが出てきます。このガスの温室効果は、CO2の23倍ほどの威力があると言われていますので、さらにこのループが大加速する、というお話がありました。このループの鍵を開けてしまわないようにしたいものです。

もしこのまま加速させていくとどうなるのでしょうか。科学的な知見によると、未来のある日の天気予報はこうなるようです。 

質の消費と再構築

持続可能なほうにむかって、「どんどん型」でぐるぐるする取組が生まれていくといい…そのように願ったであろう人たちがいます。持続可能性を考えた科学者たちのストーリーから、地球というシステムにも思いを馳せました。

・地球が玉ねぎであれば、私たちはその薄皮一枚のところに住んでいる。
・その中で、様々なものが循環する生物圏の中に住んでいる。
・私たちが消費できるのはクオリティ=質だけである。
・その質の再構築ができるのは、植物だけである。

質の消費と再構築」とは、なんでしょうか。たとえば、私たちが食べたリンゴが、運動エネルギーや排泄物となって(質が消費されて)、土に還った後に、またリンゴの木や果実として戻ってくる(質が再構築)されるということです。物質は循環をしているので、その総量は基本的には変わらず、質が変化しているだけと言えます。

したがって「地球規模でみたら、足りないものはないんだ。」
しかし、一方で、今足りないものもある、というお話がありました。それはなんだったか、思い出せますか。

持続可能性原則

その後、そのような科学者たちによってつくられた持続可能性原則について学びました。それを元に、どのように経済・社会・自然などのシステムに働きかけるかを考えていきました。

それらの原則に違反する仕組みの事例をみなで挙げた後、それらをどのように変えていくかについて話し合いました。そのグループワークでは、この時間が終わるのが残念だと思う人がいたくらいに、参加している皆が熱中していました。

そこでは、気候変動を解決するイノベーションのタネが生まれていたように見えました。あ〜もっと話したかった!そのタネは、次回の「みんなでガチに気候変動に取り組むための”ユース”の作戦会議」へとつながります。

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