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獣医師への道

獣医師の水越です

「先生はなんで獣医さんになったんですか?」
「動物が好きだからですか?」
という質問を時々受けます

小学校に入る前から「生き物」が好きでした
実は、犬猫ではなく、「虫」「熱帯魚」植物」が好きだったんです
犬は怖かったし、猫とはあまり関わりがなかった少年時代でした
虫採り、田んぼの用水路で小魚や水生昆虫を採りに行くことが最高の時間でした
自然界でどういうふうに生き物が生活しているか?ということに興味がありました
それを捕まえて、図鑑で調べて、飼育して、、、ということが好きだったんです




小学校の3年生の時だったと思います
クリスマスプレゼントに「盆栽の寄せ植え」をサンタさんにお願いしたことを覚えています(笑)
ちょっと暗く、変な、子供でした

中学校の時は熱帯魚にはまっていました
「ディスカス」という南米に住む魚に惹かれました
飼育が難しいことで有名な熱帯魚です
水草や流木のない殺風景な水槽でディスカスを育てていました
懐かしいです

高校に入り、そろそろ進路を考えないといけません
僕は2浪しています
ちゃんと将来を考えず、文系に進みました
3年の夏まで部活をし(生物クラブではなく、ハンドボール部でした)、勉強はそこそこでした
案の定、浪人です
英国社が中心の受験勉強に、「なんか違う」という感覚があったんです
そして、理系に転向
代々木ゼミナールに1年通い、どうにか大学生になれました

関西の私立大学の生物系の学部に入学し、バイオテクノロジーを学ぶことになりました
入学早々、これも「なんか違う」と思いました
もっと、リアルで実践的な勉強というか、生き物と直接関わる仕事がしたかったんです
医者への憧れもあり、再々受験を考えることになりました
たまたま、私立大学の時の友達が「動物のお医者さん」という漫画を貸してくれました
「獣医師」という仕事は頭になかったのですが、すごく意識するようになりました
そして、その大学は前期で休学し、夏休みから受験勉強を再開
二浪ならば、水越家の家計を考慮すると、私立の医学部や獣医学部、関東での一人暮らしは難しい
目標は地方の国公立の医学部か獣医学部に設定
半年間、猛勉強し、めでたく、山口大学の農学部獣医学科に合格できました

獣医師の仕事は幅広く、小動物臨床、大動物臨床のほか、衛生関係の仕事、製薬の毒性試験などがあります
僕は迷わず小動物臨床に進みました
生き物を捕まえて、図鑑で調べて、育てるが僕のルーツ
小動物臨床はそれに近いものがありました
大学時代の後半の3年間は内科研究室に入り、内科全般の勉強に没頭しました
山口大学では獣医師になるための勉強を頑張りましたが、友達とよくお酒を飲みましたし、日本海で素潜りをしたり、楽しかった思い出もいっぱいです

勤務獣医師の時代、最初は大阪の動物病院で勤務するのですが、多くの臨床を経験する中、「血液内科」という分野に興味を持ちました
1滴の血液を顕微鏡で見るだけで、たくさんの情報が得られ、それだけで診断できることもあります
血液内科の専門的な知識を習得するため、岡山県の山陽道物医療センターに就職しました
血液内科の臨床や勉強は楽しくて仕方がありませんでした
時間が余れば、顕微鏡とアトラス(図鑑)を見ていました
少年時代に虫や魚の図鑑を見ていたのと同じです

この道を極めるには、博士号をとって、大学病院の血液内科専門の獣医師になるしかないと考え、東京の大学院に進学しました
血液の病気についての診察はすごく興味深く、もっともっと学びたかったのですが、大学院生にとっては論文を書くことが一番重要です
そのためには実験をること、多くの論文を読むことが必要となります 
僕には実験の知識や経験がほとんどなく、英語力も最低レベルでした
それについていけず、悶々とした日々を過ごしていました
大好きな血液内科の臨床だけをやっていればいいという甘いものではなかったんです

そんな時に知人の獣医師から、「雇われ院長をやってみないか?」と声をかけられました
すごく悩みましたが、大学院を中退して、引き受けることにました
結局、雇われ院長を3年半続け、その病院の業績はかなり伸びました
「自分には開業・経営は向いているかも!?」
と思いました
開業を意識するようになっていきました

当時、付き合いのあったコンサルタントの方に開業の相談をしました
「年配の先生が閉めようとしている病院が大阪にあるので、継承する気はないか?」
という案件を勧められました
病院を見せてもらい、数日考えて、その病院を継承することにしました
それが前に運営していた動物病院です

その病院を運営していた12年間、それはすごく密度が濃い時間であり、たくさんのことを経験し学びました
最初はマンションの1階の小さいテナントで開院しました
だんだんと地域の飼い主様に支持してもらうようになり、駐車場が足らなくなっていきました
それを解決するため、開業から4年後、移転して規模を拡大することができました
その後もドッグカフェやトリミングサロンを運営したり、CTを導入するためにさらに病院を拡張しました
病院は大きくなっていき、地域の中核病院となり、多くの動物たちの健康管理に貢献しました
でも、後になって気づいたのですが、本当に自分がやりたかったこと、目指していたのとは違う動物病院になっていったのです
色々あって、その病院をやめることになりました

もう、獣医師として働くことはないだろうと、その時は考えていました
僕ができなかったのは、大きくなった組織をまとめることでした
定職につかずフラフラしていましたが、野良猫の避妊去勢手術のボランティアなどをやっていく中で、やっぱりもう一度、動物病院で獣医師として働きたいと思うようになりました
そして、知人に声をかけてもらい、雇われ院長としてミモザ動物病院で働くことになりました

これが僕の獣医師としての生い立ちです

ミモザ動物病院は少人数のスタッフで、小さいけどいい病院を目指します
少人数のチームでしすが、みんなベテランの精鋭ばかりですので、安心して大切な家族の健康管理をお任せください
飼い主様、動物たちの顔を覚え、一対一の対応ができる病院にしたいと思います

獣医師を目指す長女にバトンタッチするまで、あと20年くらい頑張ろうと意気込んでいます




今後とも、末長くよろしくお願いします






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