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21年1月13日(水)「20㌢×15㌢の自己PR」

10年ぶりに一般企業のエントリーシートを書いた。いわゆるESというやつだ。別に就職活動をしているわけではない。縁あって自分のスキルアップにつながる機会をもらえたので必要な登録があったのだ。

僕の新卒での就活は苦労した覚えがある。リーマンショックに東北の震災直後だったためか景気に影響があったらしい。50社は受験したはずだ。そしてそれに伴ってESに記入した「志望動機」と「自己PR」の欄。特に困ったのが自己PRである。

自己PRとは今思っても不思議な響きがある。遡ると高校受験時にも耳にした「自己推薦」と通ずるものがある。「自分で自分を推薦」するのだ。「自分で自分をPR」するのだ。ただでさえ自分のことなどわからないのに、自分の事を人事に伝えるというのは至難の業ではないだろうか。何を言っても嘘くさく聞こえる。「私は小さな気づきを大事にします」「私は人の話をよく聞きます」なぜか集団面接で他の人が話した内容はよく覚えている。

大学の就活セミナーで耳タコで聞かされた。「人事はESを何百枚も読まなくてはいけない。その中で彼らが知りたいのはあなた自身のエピソードです」「常に人事の立場に立ちましょう。ESを入れる封筒は白、雨に濡れないようにビニールに包みましょう」

「アホくさ…」本当に申し訳ないが心底そう思ったものである。思えばあの時点で僕は一般企業に勤めるのは難しいと気付くべきだった。それに上手く対応できるのが社会を作る有用な人材。もちろん僕も努力した。鉛筆で下書きしてから、太さ0.5m mの黒ペンで記入した。自分の20数年の人生を具体的なエピソードを交えて、僕の生き様を20㌢×15㌢の空白に埋め込んだ。まるで田植えで苗を植えるように一文字一文字書き込んだ。

その甲斐あって、それなりに内定も貰えた。「絶対内定もらえるから大丈夫」同級生にもOBにも就職課にも励まされた。当時は安堵、安心、気持ちは爽快。人生がひらけた気がした。だが今思えばあの20㌢×15㌢の欄で僕の人生を評価してくれたのは嬉しい反面、「いやけっこう盛ってるから」という気持ちもある。嘘ではないが所々、水増ししたのも事実。つまり嘘の経歴で会社に入社し、そのベースで出世をすることになる。

極論だが本質はそうなる。そして今。あれから10年たち、それなりに社会経験を積んで転職もした。そして今新たなスキルを求めて研修希望のためのESを書いている。自己PRの欄、あの20㌢×15㌢がまた僕の目の前に現れた。書くことなんて決まってる。

と思い、書き出したら書ける書ける。ほとんど自分の愚痴になりました。自己PRとは愚痴なのか。。。いかに自分が無能かを書き出したらあっという間に全て埋まった。たった1つ。そんなボロボロの中にも一滴だけ輝く光の雫があるんだということ。背景を真っ黒にした中に一点だけ金色がある。そこを見てもらえればたぶん自分の本質を見てもらえる気がしたのだ。

結果ですか?もちろん書類通過しました(^^)v
次は面接か…。これもまた書きたいことがたくさんありますが、それはまた後日に譲ります。

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