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Smashing! 佐久間イヌネコ病院

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佐久間鬼丸獣医師(受)と喜多村千弦動物看護士(攻)とその友人達のお話。 どうぞお楽しみ下さい!
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#小説

smashing! ときもオレらもにげやしない

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗。彼は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己と、伊達の後輩・設楽泰司の恋人。 今日は伊達さんのお誕生日。僕と設楽くんは数日前から予定を合わせたり、伊達さんのシフトの調整をしたり(勝手に)。サプライズというわけではないんですが、なるべくなら驚いて、喜んで頂きたい、そう思って内緒にしてあるんです。特別な日ですから。例えばちょっといいホテルのスイー

smashing! たったままがおこのみ?

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。この病院の税理士・雲母春己は二人の先輩である理学療法士・伊達雅宗と付き合っていて、そして伊達の彼氏になった設楽泰司も一緒に、三人で暮らしている。 大学附属動物病院の昼休憩。伊達と設楽は近くにあるうどん屋で天ぷらうどん定食を食べながら、今週末に控えた雲母の誕生日を祝うための作戦会議をしていた。伊達はいつものように大きな海老天を設楽のさつまいも天と取り替えながら、とある提案をした。ハルちゃんが絶対行きそうにないとこ

smashing! あいあふれるあいのあじ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。 毎年、ウチではバレンタインよりも重きを置かれるのは前日のバレンタインイヴ。そう、俺、喜多村千弦の生誕日だからだ。仰々しくなったが皆さんごきげんようだ。 新年から、もしくは年末から徐々に増え続ける差し入れはほぼチョコレート。駄菓子から高級なのまでバラエティに富んでいる。一緒に暮らしているこの動物病院の院長、佐久間鬼丸は甘い物が好物。とくにチョコレート。昔からバレンタインの残ったやつセールやなんかで美味しいやつ

smashing! おいてきぼりをだきしめて・3

ー 伊達くんの携帯で失礼する。見郷だ ー 短いメッセージに、白河は数度瞬きを繰り返した。そして画面を二度見、そして三度見。明らかに覚えのある苗字。こんなのはいくらでもあると思いきや絶対ハンコは特注なやつに違いない厄介だな苗字ってやつはそういえばハルのも学校とかほんと大変だった気がす(ノンブレス)。そんな白河に痺れを切らしたように、ダイレクトで電話が掛かってきた。 「夏己だな」 「…見郷」 もー何してんのおケンケンはあ!長い沈黙を破ったのは電話口で騒ぐ伊達の声だ。 「ご

smashing! おいてきぼりをだきしめて・2

週末の仕事帰り、俺のマンションにやってくるスーツ姿の見目麗しいこの男。今日は珍しく言葉少なにしているなと思った。親友が家族旅行中の事故で亡くなったのだ、彼はそう呟いた。いつものようにこいつの好物の出前を取り、いつものようにこのまま朝を迎える。その流れを遮るような何かが起こっている、そんな予感がした。 「あいつの一人息子の後見人…そう、俺が引き取る事にした。親戚もいない。ただまだ事故の後のリハビリもあって、何をしてやったらいいか考えあぐねていてな」 「…大丈夫なのかお前のほう

smashing! おいてきぼりをだきしめて・1

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。病院の経理担当である税理士・雲母春己。その雲母の元後見人はフリー弁護士・白河夏己。 あれは確か、今日みたいにいきなり寒くなった頃だった。十数年前の記憶。所々あやふやだが、仕立てのいい紬の袖口に絡まってた小さな糸屑だとか、どうでもいい事ばかりが思い出される。貴重な休日、早朝に目が覚めてしまった白河は、無意識に手探りで携帯に触れ、半目ブサイク顔のまま指先を滑らせる。すると急に目が見開かれ、いつもの涼やかな目元のステ

smashing! かりのすがたであじわって

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人。伊達は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己とも恋人同士だ。 伊達さんのあとすぐにオレの誕生日が続くから、その間もお祭りイベント大好きオレら伊達軍団ではずっと何かしらの祝いが続いている。夏が過ぎ秋も深まった10月末、ハロウィン当日ギリギリに生まれた俺は、なんやかんやで数秒後の翌日が誕生日になっている。伊達軍団には全員、誕生日がふたつあったりするのだ。 お前の

smashing! どとうのごとくおいわいを・4(了)

日付を跨ぐ前には宴は無事お開きとなった。モーニングブッフェも払ってあるから好きなだけ食べなさい、って成長期ですか。こんなに食を重視する奢りたがりだったとは。ちゃんと誕プレ送るからな!そう言い残して見郷はハイヤーに乗り込み去っていった。 「楽しみですね誕プレ♡」 「…ケンケン昔さ、金の鎧兜くれたことあってさ」 「斬新ですね」 「そんでさ明らかにコッチ側なんだろうけど、全然わかんないでしょ?」 「それは気づきませんでした!」 ただただ面倒見よくていい奴、以外の顔見たことないん

smashing! どとうのごとくおいわいを・3

「…なあ伊達くんさ、向こうにいる子達なんだけど、覚えある?」 「向こうって?どこ?」 「ほらあのボックスぽいとこ。気のせいかな、なんか視線感じるんだ」 開始早々身バレ。なんと目敏い。雲母は少々焦りながら姿勢を低くし設楽に目配せする。緊急事態です気配を消すんです気配を。気配てあれですか息しないとかですか御意、ちぐはぐなやり取りの最中、ご注文はお決まりですか?オーダーを取りに来た店員の声と共に、聞き慣れたのんびりした声が二人の上から降ってきた。 「二人とも~来るならゆってよお

smashing! どとうのごとくおいわいを・2

大体昔からこういう堅苦しいの俺苦手だったんよ、でもなんでだか練習はめたくそでも、不思議と本番はうまくいったっていうね。それにしても長い、話長いんよしょうがないんだけどさ。あ話じゃないか発表かごめん、スピーチ?まあなんでもいいけどとにかく。腹減ったねえ腹減っ 「相変わらずこの手の集中力は乏しいな」 「…そっちこそその手元のは何なん」 「見てわからないか?ジャパニーズトラディショナル折り鶴だ」 「うっそカモノハシかと思ったん」 「その発想な」 研究発表も終盤に差し掛かり、当事

smashing! ことばにしてほしいことば

大学付属動物病院獣医師・設楽泰司。週一で佐久間イヌネコ病院に出向している理学療法士・伊達雅宗は彼の先輩で恋人。伊達は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己とも恋人同士だ。 平日だが明日から急に代休になった、ていう。久しぶりに三人でゆっくりできますね!お二人を労いましょう、一人だけ休暇中だった雲母は大喜びで夕飯から呑み会まで全ての料理と酒を急拵えで支度。幸い食材は買い込んだばかりでなんでもある、伊達の好きな海鮮、設楽の好物の肉、全部載せで手巻き寿司に。マグロ、ヒラメ、牡

smashing! ぎゃくドッキリはしゅうとうに

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗。彼は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己と、伊達の後輩・設楽泰司の恋人。 今日は佐久間んとこ手伝う日。俺が来ると暇なる伝説は今だ健在でね、午前中はワンちゃんの予防注射があったねえ、目の保養、ウン。そこでですね、波風も立たないていうか横風もなんも起きないここのお二人をですね、お昼休憩を使って俺、マサムネくんがこっそり実況中継しようと思うん。

smashing! なかったことにしたくない

雲母の元後見人でフリー弁護士・白河夏己。彼の大学時代からの同業の友人達と時々イレギュラーの「白河推し」数人で構成される「白河のテーソーを護衛する」部。彼の親友と言い張る猿渡一郎を筆頭に、自称親友の二人目は虎渡二郎、そんな二人を生温かい目で見守る馬渡三郎が主メンバー。身長は全員180超え。長身痩躯、和風顔メガネ男子。モブ(にしか見えない)三人組は弁護士。移動するのも三人揃って。曲がり角なんかで出くわした者は、三つ子かと思った、そう言って十中八九すごい驚く。彼らは今日も馴染みの居

smashing! やさしさとキレカワと

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士の働く、佐久間イヌネコ病院から新幹線と地下鉄で約3時間。そこは敷地内で数匹の猫が暮らす小さな寺。その寺の現住職・妙達こと佐久間達丸は鬼丸の兄。その幼馴染でガタイのいい美形は、キャラクターデザイナーの真々部千秋。 元々はお手入れのつもりだった。爪の先がきちんとしてると取引先への印象もいい感じになるし。手もガサガサより綺麗な方がずっといいし。それがこんなどハマりするなんて思わなかった。身だしなみきちんとすると人生変わるのよ自分軸でだけど。