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観劇記

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松下洸平さんが出演している舞台を中心に観劇記を書いています。本数が増えたのでマガジンにまとめました。
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#母と暮せば

「母と暮せば」2024年観劇記~亡き息子が母に与えた使命と再生の物語

「母と暮せば」2024年観劇記~亡き息子が母に与えた使命と再生の物語

1,はじめにこまつ座「戦後“命”の三部作」のひとつである舞台「母と暮せば」が3年ぶりに再々演された。
しかも今公演は、原爆投下された物語の地である長崎市を含む九州公演と、戦場とされた沖縄での公演も初めて行われた。
九州公演は3年前に開催して各地を回る予定だったが、コロナ禍で長崎や島原など一部公演が中止となっていた。3年越しで実現した九州公演に、こまつ座の井上麻矢社長は「ずっと気になっていた忘れもの

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「母と暮せば」2021年観劇記~凄みと覚悟を感じる二人芝居~

「母と暮せば」2021年観劇記~凄みと覚悟を感じる二人芝居~


1,はじめに舞台「母と暮せば」は、制作陣にも演者にもハードルが高い作品だったはずだ。
まず、こまつ座が井上ひさし氏亡きあとに完成させる「戦後“命”の三部作」のうちの最後の1作だということ。「父と暮せば」「木の上の軍隊」はいずれも好評を博していること。そして、3作目の「母と暮せば」は先に映画化されていること。しかも山田洋次監督が吉永小百合さんと二宮和也さんで撮ったのだ。
そのあとの戯曲である。脚本

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