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レゴシリアスプレイメソッドにおける創造性について考える(4)『ジグザグに考えよう』:見る

 レゴシリアスプレイメソッドにおける創造性はどこにあるのか。

 上記の本にある創造性を高めるステップのうち、今回は「見る」のステップである。

 この著書では「見る」は、意識や注意と非常に密接に関わっており、目から飛び込んでくる光の情報がどのようなものであるか、以上に、それらの意識の持ち方を訓練することに重点を置いている。創造性を高めるために、以下の3つのポイントが紹介されている。

(1)新鮮な目を使う
(2)新しい風景とクールなサウンドをとらえる
(3)目に見える形にする

新鮮な目を使う

 ここでいう新鮮な目は、周りに注意をよく払う気持ちをもつことである。日常は退屈でいつも通りではなく、毎日、新しいことが身の回りで起こっていると信じて周りを見ることである。
 また、周りで起こることが悪いことばかりだと思い込んでいる人は緊張感や不安で新しいものを見つけ出そうとしない。ここには、目標に向かって集中し失敗しないようにがんばることも含まれる。目標に関連すること以外の情報に気づかないからだ。
 その裏返しでいうと、特定の目標に囚われていない心理状態、つまりリラックスしている気持ちを持った状態の人の方が、新しいことにより気づきやすくなるという。

 レゴシリアスプレイメソッドに限らず、参加者にワークの中で何か面白いことが起きそうだと期待させることは、それだけで創造性を高めることにつながっていく。
 人数が多いときには、椅子から立ち上がり、他のグループの参加者の作品やメモ書きを見て回らせることも悪くないということだ。

 ワークショップにおいて、ファシリテーターが狙いを明示することは、参加者の「何をしようとしているかが分かっている」安心感を生み出すために重要である一方、目標に注意を向けさせすぎて緊張感からの視野狭窄にならないように注意しなければならない。

新しい風景とクールなサウンドをとらえる

 シンプルだが、新しい場所に出かけていけば、新しいものに出会いやすくなる。歩いたことのないルートで職場に向かってみるとか、休みの日に新しい場所にでかけるなどは、創造性を高めるきっかけになる。これは視覚から得られる情報だけでなく、他の五感からも同様である。
 
 普段触れないものに触れるという意味では、子供のおもちゃで遊んでみるとか、ガラクタを整理してみる(その中で観察してみる)とか、本屋で手に取ったことのない雑誌を買ってみるとかも良いという。

 著者は即興劇やジャスに参加する体験も推奨している。即興劇やジャスにおいては、常に新しく予期せぬ反応に満ち溢れているからだ。

 レゴシリアスプレイメソッドを使ったワークショップは、多くの人にとって「新しい風景」を作り出す。レゴブロックで、自分の気持ちや周りの問題を作り出すという経験自体、あまりないからだ。その意味で、新しい発見および物事を見る新しい角度を体験できる。その意味で、基本的に創造性が高い状態を作り出しているといえる。

目に見える形にする

 これは、主に集めたさまざまな情報をコレクションし、整理していくことで創造性を高めるという部分である。アイデアをどんどん書き込むメモ帳やノートをつくり定期的に見直して整理することは、クリエイティブな仕事を成し遂げた人の過去からの定番である(が実行する人はそれほど多くない)。

 他にもアイデアボックスとして、気になった小さなものを放り込んでおく箱を用意するという方法や、インスピレーションを与えてくれる人物のデータベースである「マイ殿堂」、「マイ取締役会」という方法が本書では紹介されている。

 レゴシリアスプレイメソッドでは、ほとんどの場合、作ったモデルは崩してしまう。気に入ったモデルの写真は撮る人は多いものの、そのあとはほとんど整理していないのではないだろうか。

 ワークショップで作られるモデルには、作り手の思いやアイデアがたくさん盛り込まれているが、ワークショップ終了後も、そのモデルの記録を活用しながら創造性を高めていく、という発想や取り組みはあまり考えたことがなかった。それらの活用は今後の大きな一つのテーマになっていくかもしれない。

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