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A4サイズのかばんの話

かばん選びの基準で最もポピュラーなもののひとつ、A4サイズの書類を折らずに入れられるサイズかどうか。でも、どうしてA4なのか、考えたことはありますか?

ドイツのDINという規格が元となって定められたA4サイズは、A3のちょうど半分、A3はA2のちょうど半分。確かに気持ちいい単位です。

ところでかばん屋の身長は高くありません。ドイツ人の師匠は長身なので、ハグしてくれるときは毎度、体を2つに折って、お辞儀のようになってしまいます。
そして、ドイツでよく使われる紙のサイズもA4。書類、手紙、コピー用紙、つまり、かばんに入れて持ち歩く用紙のサイズは、私も師匠も同じなのです。

最近小学生のランドセルも大きくなって、子どもから大人まですっかり定着しているA4サイズ、日本人には少し大きいと、かばん屋は感じています。
ドイツと日本では、男女共に平均身長は約10㎝も違います。
洗面所の鏡の位置も、台所の棚の高さも、ドアノブの位置も、生活に密着した家具は、使うひとの大きさが元になって決まります。
道具も、使うひとの大きさに合わせてみたら、使い心地が良くなりそう、そう思いませんか。

サイズの合わない靴を履くと、例えそれが1㎝の違いでも、1日も我慢出来ないほど痛くなることがあります。
かばんも、体に密着するデザインであればあるほど、荷物が重いほど、サイズが体に影響します。
ただ、かばんに入れるのは、自分ではなくて、A4サイズの紙やファイルである事も多い。靴を選ぶときには全面的に自分の体を優先して決めるサイズも、かばんになると途端に難しくなります。

山登りをするとき、リュックに荷物を詰める順番で重心を調整します。同じ荷物でも、背中の低い位置でしっかり支えるのと、肩だけに重さを掛けるのでは、感じる重さに違いが出るのです。
ストラップの長さ、体に対して荷物の当たる位置、これらを調整することで、毎日の荷物が、少し軽くなるかも知れません。中に入れるもののサイズと一緒に、かばんとご自分のサイズについても、考えてみませんか?

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