
エゾシカの肉をいただいた話2
シカ一頭分のお肉(可食部と言うらしい)がどの位になるか、私は知らなかった。
7月後半、関東は気温が高く、はっきりとしない頭でカレーのレシピを検索。「カレーを持って遊びに行って良いですか?」とお友だちにメッセージを送った。
肉と言っても、2、3キロはあるのかな、何人かで集まって食べよう。革は、なめすと、その動物が生きていたときよりもずっと小さくなる。だから、肉もずっと少ない量になるだろう。
失敗が少なくて、初めてシカ肉を食べるひとにも受け入れて貰えそうな料理と言えば、カレーだ。カレーはすきなひとが多いし、夏だし、充分メイン料理としてお友だちを呼べる。
要約すると、調理法としてはカレーしか浮かんでいなかった。ぼうっとしていた私の頭をはっきりさせてくれた言葉はこう。
「小さいシカだとしても、背肉だけで5kgを超えると思うよ、そのうえ腿を含めた四肢に骨がついていれば大きさも考えた方が良い」
シカ肉を使ってバーベキューをしたり、実際に狩りの経験のある方からの貴重なアドバイス。慌てて猟師さんに確認した肉の量はなんと、解体後の状態で約20kgだった。
驚いた。でもこれはつまり、そのシカの革がいいものになる事を意味する数字でもある。罠にかかった後に長時間放置され、暴れて傷ついたシカや、短時間で上手く解体処理されなかったシカ、つまり苦しんだシカの肉は、食べられない。血が回ってしまったり、傷がおおきすぎた場合は、その部分を捨てるしかなくなってしまうのだ。もちろん、革にもシミが出たり、耐久性に問題の出るような大きな傷ができる。生きているときにできた枝による引っ掻き傷や、角で戦ってできた傷は、成長と共に自然に治る。傷跡は野生の勲章でもあり、格好いい。傷がある部分をわざと見せてカバンを作ることもあるし、それを好んで選んでくださるお客さまもいる。でも生傷や打ち身はただの損傷なのだ。
「シカ一頭分の可食部ってどれ位だと思う?」「20kg」今なら知っている。
シカの命を無駄なく利用するため、いい肉といい革にしてくださった猟師さんに感謝。ただ、「冷凍状態で届く20kgのお肉を1人でカレーにしてお友だちに配る?」このとき、私の頭の中はパニック状態。
調理する手はもちろん、食べるのも当初の想定人数では足りない、そもそも届いたシカ肉を保管する場所は?大人数を集めるなら、会場を借りて、みんなの予定も調整しなければいけない。果たして私の素人料理で大人数が集まってくれるのか。
分かってきた。革を利用するのと同じ。肉を食べる事だって、簡単な事ではないのだ。
(3に続く、後半は、料理中の様子です)
野菜やきのこと炒めておいたシカ肉を
パイ生地を敷いた型に並べ
マッシュポテトを詰めて隠します
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