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子どもと農業とビジネス|ジュニアビレッジ01

「子どもたちが農業ビジネスをしているんです」
はじめて聞いた時、私の頭にはたくさんの疑問がありました。

取材に行ってみると、営業部長は中学生、社長も中学生…。
ジュニアビレッジは会社と同じような仕組みを、小・中学生が動かしています。そんな子どもたちが作って販売しているのが、無糖なのに甘い「本気のハーブティー」です。

栽培しているハーブの話はもちろん、販売会や日々の活動のこと、お金の話までしっかりと答えてくれる様子を見て、いつしか私たち編集部も相手が小・中学生ということを忘れていました。(小・中学生へのインタビューも近日公開)

そんな子どもたちを1人で支えるコーチ、村田和美さんに取材をしました。成長するのは子どもだけではない。菊川から始まった未来への取り組みについて取り上げます。(書き手:空 佐和)

はじまりは菊川から

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私の生まれが菊川なんです。大学で農学部に進んだので、農業関係で面白い会社ないかなーと思った時に知ったのが、株式会社エムスクエアラボ(2018年度までジュニアビレッジを市の受託事業として実施してきた会社)でした。

でも、あまりにベンチャーすぎて「来年の4月まで会社あるかわからないよ」って言われて(笑)。それはちょっと...と思って大学院に進んで生物系の研究職に就いたんですけど、そこは基礎研究だったんですね。

そうするとどうしてもお客さんとの距離が遠くて、もっと農業について考えてみたいなぁという気持ちが強くなっていって、こちらに就職しました。そして任されたのがジュニアビレッジだったんです。

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そもそも、菊川市の方からうちの社長(株式会社エムスクエアラボ)に「菊川をどうやってアピールしていけばいいか」って相談してくださったことがきっかけで、ジュニアビレッジはできました。

菊川は大きな観光地があるわけじゃないので、農業を使って人を育てる教育をやったほうがいいんじゃないか。そこにビジネスをくっつければ面白いんじゃないかってことが始まりです。

こういう活動って効果が数値化しづらいんですよね...。でも、4年間やって子どもたちを見ていると、効果があるって確信できます。今は神奈川県・横須賀と千葉県・柏、静岡県・浜松でも、ジュニアビレッジを展開しています。発祥の地はここ菊川です。

4年間やってみて

菊川のジュニアビレッジでは毎年ハーブティーを育てるんですけど、1年目はまず売れるかどうかですよね。農業ビジネスと言いながら、売り上げ目標も立てず、まず売れるかどうか。商品化できるかどうかというところがゴールでした。土台をつくった感じです。

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2年目は土台のうえで、効率よく回すことに力を注ぎました。最初は野菜育てたり、ごまを栽培して、ごま油作ったりしてたんですが…。ごまはアブラムシが来て大変ですし、たくさん作っても絞るとほんのちょっとになっちゃうんです。

これは厳しいなぁってことで、ハーブティーだけにしたらどれくらいいけるだろうかってことを考え出したのがその頃ですね。

3年目は販売では認知されつつあり、イベントにたくさん招待していただき、各地で販売会が多かったんですよ。すごいいいことだったんですけど、夏に販売会が多いと農作業が終わらなくて、販売メインの年になっちゃったのかなというのが、良くも悪くも反省でありました。

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それで不思議なことにというか、私も発見だったんですけど、農作業をしていないとチームワークが薄くなるんですよ。部活なんかもそうだと思うんですけど、チームワークをぐっと高めるのは農作業を一緒にやったりだとか、おしゃべりしながら草を取ったり、そういうことでチーム力が付くなぁと思ったので、「ここは外しちゃいけないんだ」と私も気づきました。最終的にこういう形で行くぞと決まったのが3年目ですね。

最初のこの3年間は、市の助成金をいただいて私たちの人件費も賄える状態だったんですね。2年目からは備品関係だけは子供達の売り上げで賄えるようになってきて、スタッフの人件費とか旅費だけ助成金からだしてもらうようにしてました。

いよいよ4年目となる今年、ジュニアビレッジを運営するグローカルデザインスクールという民間の会社を別で立ち上げました。

あの、年度末に発表会があるんですけどね。会社でいうと株主総会みたいな位置づけです。年間の収支報告と活動報告をして「来年はこうしていきます」という宣言を50人くらいの皆さんの前でやるんです。

去年からは私が何も言わなくても、段取りを全部進めてくれて子どもたちだけで準備をしていました。なので、だんだんと少しずつ子どもたちにとってジュニアビレッジが“自分ゴト”になってきたんだなぁと思います。

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(つづきます)

ありがとうございます。 列島ききがきノートの取材エリアは北海道から沖縄まで。聞きたい、伝えたい、残したいコトバはたくさんあります。各地での取材にかかる交通費、宿泊費などに使わせて頂きます。そして、またその足跡をnoteで書いていければ。