私が会社を辞めた時 Part1


 こんにちは。

私は、起業するまでに会社を3回辞めています。


1回目は28歳の時。

2回目は34歳の時。

3回目は39歳の時。


我ながら、それぞれの退職はかなりユニークなケースだと思うので、

3回シリーズで書いていきます。

できるだけユニークに書いていますが、

すべて実話で、気分を悪くされる方もいるかと思いますが、

肩の力を抜いて読んでくれたら嬉しいです。

個人特定されるとまずい内容も含みますので、

若干のフェイクが入りますことをご了承ください。




まずは1回目の退職です。


私は大学を卒業し、大阪の広告制作会社にコピーライター兼営業として入社しました。


20名程度の小さな会社でしたが、顧客はすべて一部上場企業で、

毎年の経常利益もウハウハな会社でした。


入社初日に歓迎会で二次会までしてもらい、いい会社に入ったなと思いながら帰ったのを今でも覚えています。


が、出社二日目。

新人なので、ちょっとした研修しかやることがなく、

それでも掃除だったり、

パソコンへのソフトウェアのインストールだったりで、

20時頃まで作業をし、帰り支度を整えてから、

社長と上司に「お先に失礼します」と言いました。


さぁ、ここから地獄の日々の始まりです。

「新人がなんで先輩や上司より先に帰れると思ったんだよ!」

いきなり社長の怒声です。


私は別にゆとりでもブラック社員でもありませんでしたが、

「?????????」

となりました。


仕方ないのでデスクに戻り、コピーライティングの勉強などをしていました。

その日は恐る恐る終電で帰りましたが、特に何も言われませんでした。


この日から、私は毎日終電で帰ることが義務付けられているかのように、

終電で帰りました。


ところで、私には同期入社が2名いました。

女性2名で、一人は私と同じコピーライター兼営業。

もう一人はデザイナーです。


このデザイナーの女性は私と同じく毎日終電でした。

が、もうひとりの女性は、なぜか19時、毎日遅くとも20時に帰ります。

ちなみにその女性は、総務の激烈に性格の悪いBBAと仲良くなり、

日中は家庭画報やファッション誌などを二人して読むという優雅なオフィスタイムを過ごしていました。


そんな生活が3週間ほど続いたある日の朝礼開始時に、

同期の女性デザイナーが荷物一式を入れた紙袋を会議テーブルの上に、

”どんっっ”

と勢いよく置き、声高らかに言いました。


「今日で辞めます!!!!!!」


シーンとなる会議室。

2秒ほどあとに社長が言い放ちました。


「辞めるんだったら早く出てけよ!」


げきおこぷんぷん丸状態の彼女は踵を返して会議室を出て行こうとしました。


さすがブラック企業のトップ、彼女の背中に捨て台詞を投げかけます。


「辞めるのは自由だけど、きちんと手順踏むくらいの常識を身につけろ!

無礼な奴だな!」


それ以来、彼女の姿を見かけたことはありません。

後日、デザイナーの先輩たちが彼女の送別会をこっそり開いて本心を聞いたところ、

なんで同期の女だけファッション誌を読んで19時に帰る中、

自分だけ毎日終電なんだよくそが。

ということだったみたいです。


その晩は、とんでもない会社に入っちまったと、眠れなかったのを今でも覚えています。


後日談として判明したことですが、

ファッション誌を読みあさっていた河童によく似た同期の女性と仲の良い総務のBBAですが、

このBBAは、もともとクライアントの担当者であったのを、

私の上司(当時既婚)が手を出し、不倫をしていた相手でした。


上司の嫁に不倫がバレ、BBAの会社にもバレ、BBAは上場企業を退職せざるをえなくなり、まさかの不倫相手の会社に中途入社したナイロンザイルのような神経を持ったBBAでした。


当然、ブラック社長もこの事実を把握していますが、

一応元クライアントと言うこともあり、雇ったそうです。


で、このBAAの不倫相手である私の上司は、会社のNo.2だったので、

BBAもやりたい放題という30年前の昼ドラのような設定の会社でした。




さて、同期デザイナーが紙袋を叩きつけて退社する事件から1ヶ月ほどたったある晩、相変わらずもはや定時とも言える終電の時間、てっぺんを回った0時すぎに、


「お先に失礼します」


と事務所を出ようとした私に、ブラック社長が言いました。


「終電が権利だとでも思ってるのか?自電車でもバイクでも通勤の方法はあるだろうが!自分勝手な奴だな!」


入社二ヶ月。コピーライターとしてはまったくな私も、

立派な社畜に成長していました。


その週末には自転車を購入し、0時過ぎだった私の定時は深夜1時から2時の間になりました。


退社時刻のみが深夜フレックスな生活の始まりです。


ここからダイジェストで、ブラック企業と社畜の愉快な毎日をお届けします。


●自転車通勤から3ヶ月後、平均退社時間は深夜2時。

にもかかわらず朝出社は9時、遅刻すると大説教という日々で

意識朦朧と帰る帰路で、道路に放置されたタイヤに突っ込み、

自転車もろとも一回転して、前輪が三日月型になり、

翌週からスーパーカブで出社。


●掃除当番で、上司の不倫相手のBBAに棚の隅っこを人差し指で撫でられ、

「まだ埃残ってるんだけど!?」

とか、泉ピン子でもしないようなことをされる

てか、BBAの仕事だよね、掃除。


●書類の文字のミスや、そもそも社内ルールなどを明文化してないために

わからない経理処理などのミスを、毎日毎日BBAにぐちぐち言われる。

そのうち上司も乗っかってくる。

決め台詞は「まぁ、お前はその程度だな!」

ちなみにこのセリフはBBAが言う。


●月に3回ほど、徹夜

徹夜の時は徹夜する社員分の牛丼を買いにいかされる。

ちなみに私は徹夜中にやることはない。

他の人が徹夜するからお前もしろという理論。

※それ以来10年以上、私は牛丼を食べなかった。


●やっとコピーライティングをさせてもらえると思ったら、

目の前で原稿を破り捨てられる毎日が始まる。

※でもこれは実際自分の力になった。


●オフィスでは、Yahoo!などのサイトを見ていると

「何を会社のパソコンで勝手なことやってんだよ。泥棒と一緒だな」

などと言われる。


●毎年、賞与の時は「今年も不景気で厳しい状況だから」などと言われ、

スズメの涙に失礼なほどの賞与。

決算書類を盗み読んだところ、

実際はぼろ儲け。

社長の車はお約束のベンツ。それも1,000万以上。

モデルチェンジと同時に買い替え。

関西の某有名なセレブタウンに数億で家を立てる。


●ちょっとした発言、言動などの言葉尻を取られ、

毎日毎日社長と上司とBBAから非難と叱責、人格否定される。

最終的に親の顔が見たいと言われるが、遠方なのでと丁重に断ったら、

火に油を注ぐ。


●私が担当でない仕事の納品が、クライアントの都合で夏休み中になった時、

なぜか私が5日しかない夏休みの3日を潰して対応させられる。

※もちろん振休などは存在しない。


●一回だけ、身内の不幸で有休をとったところ、

社長室に呼び出され、

「誰も有休なんてとってないだろうが!

お前の年俸は有休を消化しない前提で算出してる。

有休取るなら年俸さげるぞ!」

と、有休休暇の新解釈を教えてもらう。

しかし、社長のお気に入りデザイナーは頻繁に遅刻、

頻繁に休むもお咎めはなし。


●某大手家電メーカーのコンペに、まさかの私のアイデアで勝つ。

キックオフミーティングが終わってオフィスに戻ると、

BAAの不倫相手上司が、体調不良とかで早退していた。

翌朝、いつもの通りヤクザみたいな表情で出社した上司とBBAに

「おはようございます」

と挨拶したところ、無視。

上司は着席した瞬間、私の顔面目掛けてゴミ箱をダルビッシュなみの豪速球で

オーバーハンドスロー。

意外と体育会系の私は、それを避ける。

「なんで避けてんだよ!」

と、上司。

いや避けるやろ、普通。


「てめぇ、挨拶しねぇのかよ!」

とイミフな怒鳴り。


「僕、挨拶しましたけど。」


「お前、挨拶しなかったよ!いい気になってんじゃないよ!」

とすかさずBBA。


さすがにまわりの先輩が、

「いや、こいつちゃんと挨拶しましたよ」

とフォローすると、

「さよか。ちょっとお前こっちこいや」


と私を連れて会議室へ。

この時「さよか」という言葉がこの世にあることを知る。


なぜファビョっているのか不明だったが、要約すると下記。


 たまたまコンペ勝ったくらいで調子にのってんんじゃねぇ。


本当にそれだけの理由。自分のアイデアが負けたのと手柄を取られたのが

悔しかったらしい。

生まれて初めてゴミ箱を投げつけられたのは、結構な体験でした。


●3年目を迎えた頃、私は、ウィルスに感染し肝炎に。

39�度の発熱と凄まじい倦怠感が襲う。

朝、休みたいと電話すると社長が一喝。

「みんなしんどくたって働いてんだよ!甘えんな!!」

快方するまでの一ヶ月間、1日も会社を休めず、不眠症を発症。

ただでさえ、深夜3時に帰って残務して6時に寝て8時に起きる生活だったのに、1日に1時間も眠れない生活に突入。

すぐにうつ病になるも、気づかない私の鈍感力。


●日々のあまりの体調不良と、公共の場であまり言えないんですけど、

朝私の小さな私がまったく元気ないことに気がつき、

デザイナーに相談すると、

「今ペレがCMやってるやん。あれちゃうか?」

とイン○疑惑を持ちかけられる。

念のため、休日に病院に行くと、別の病院を紹介され、

見事、重度のうつ病診断を勝ち取る。


すぐに療養が必要とのことだったので、社長に相談。

さすが社長。ブラックを極められたお方。

テンプレートなお答え。


「うつ病なんて、心の弱さだ!お前が甘えてるからそうなるんだよ!

今までは気を使って優しくしてたけど、

これからはそんな甘えが出ないように厳しくしてやる!」


ありがとーございまーす!



●それから社長、上司、BBAの三つ巴の嫌がらせや怒声などで、

うつはどんどん進行。病院に行くなとすら脅される。

薬を捨てられたこともあった。


●死にたくなるも勇気がないので、北朝鮮のキムさんが大阪目掛けてミサイルを撃つことを切に祈る。


●睡眠薬、抗鬱剤などをスコッチウイスキーで流し込む優雅な日々。

2日に1本のスコッチ消費がそのうち1日1本になる。


●最終的にドクターストップが掛かるも、

社長は診断書をビリビリに破く!


ここまでで入社から5年4ヶ月が立っていました。

これはエピソードの1%ほどだと思ってください。


●ついに、私の厳格な父親からも退職&一生養えるから実家に帰れ

というお墨付きをいただき、転職活動を開始。

ニートにも憧れたけれど、

一度脱落したら二度と戻れない何かがあると思った。


●速攻で大手代理店に内定をもらい、退職の意志を社長に告げる。


●そこから辞めるまでの2ヶ月間、毎日社長室に呼び出され、

怒られたり、怒鳴られたり、なだめられたり、

要は辞めるなと監禁生活が続く。


●どうにかこうにか2ヶ月で脱出確定。

最終出社日、入社以来となる20時に社長にご挨拶をしたところ、

社長との今生の別れの言葉をいただきました。


「ま、どこで野たれ死ぬのかしらんけど、せいぜい頑張って」


素敵な応援メッセージをありがとうございます!!!!!!!

こんな素敵な言葉を投げかけられた経験はありますか?

私はあります!

社長もコピーライターだけあって、一般的なブラックとは

捻り出す言葉の質が違います。



と、言うわけで、今巷でブラック企業が話題ですが、新卒で入社した会社は、

巷のブラック企業が気を悪くするほどマッドなブラックでした。



おまけでその後の話。

●ブラック社長とその会社編

上司とBBAに裏切られ独立されるも顧客は盗ませない優秀さ

あまりのブラックぶりに社員が反乱、年俸アップで難局を切り抜ける

社員に悪性腫瘍(まぁストレス?)が続出。人数が減る(1名は逝去)

売り上げも社員数も半減し、会社も落ち目になった頃を見計らって、

社長引退。引退時がまたすごい。

会社を一旦解散させ、内部留保金などをすべて懐に収める。

その後、残った社員に全く同じ社名で会社を登記させ、

顧客への営業権を高額で買い取らせる。

※内部留保金をガメるためと、営業権を買わせるためには、別会社である必要があったから一旦会社を畳むという用意周到ぶり。

お金をガメるだけがめて、豪邸で悠々自適に暮らす社長。

会社は坂を転がり落ちるように赤字経営に。

仕方がないので、当時仲のよかった先輩と後輩を

まさかの私の会社で引き取り、会社を解散させる。←イマココ



●上司とBBA編

私の退社の翌年、会社を裏切ってエースデザイナーを引き連れて独立。

顧客を盗もうとするも失敗。

広告とは別のサービスを立ち上げてまさかの成功!

年商数億企業なり、ポルシェを買う。

金持ちになった上司は新たな若い愛人を見つけ、

BBAは鬱になり捨てられる。

しかし、そこはBBA。

底意地の悪さは天下一。裁判に持ち込み今も係争中。

ビタ一文渡したくない男とあらゆるものを奪い取りたい女の戦い。

ちなみにBBAは人の鬱を�甘えだとか散々言っておいて、

ちゃっかり自分の鬱の診断書を伝家の宝刀として有効活用中。

エースデザイナーも鬱になり、退職。

事業が傾き、上司は億単位の借金を抱え倒産のカウントダウン。←イマココ



これが一社目の退職理由です。

退職理由というか社畜ライフです。


この話の教訓は、すっごい悪いこととかしても、

必ずしも報いがあるわけではないということです。


上司とBBAはまぁ、その辺のブラックだったので報いがきたのでしょう。

しかし社長はプロ中のプロのブラックだったので、

今もプロ野球選手が住むような豪邸で暮らしています。


何事も極めれば良い?というお話でした。


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