起業家きどりの愚か者に出資した件

ご無沙汰しております。

先週、とんでもないことがあったので、

怒りに任せて冷静に、備忘録として記します。


2年前。創業2年目の弊社に派遣スタッフ候補として面接に来た若者(A)がいました。

なかなか利発そうなAでしたが、

どことなく威圧的というか、プライドが高そうな雰囲気を醸し出していました。

実力的にはまぁ、経験がないのでそんなもんでしょうという感じです。

結局Aを雇うことはありませんでしたが、

それから1年後、若者の仲間(B)が面白いサービスを始めるということで

クラウドファウンディングへの協力依頼が舞い込んできました。


私が39歳で独立を決心した時、何人かの50代の先輩たちの支援を受けました。

その時、私はいつか自分が人を助けられるようになったら、迷わず手を差し伸べようと決心していたので、

すぐに75万円をクラウドファウンディングに出資しました。


思えばそのクラウドファウンディングへの出資時から、

マナーが悪いというか、常識がないというか、

「???」と思うことは結構ありました。


例えば、75万円という出資は、募集をかけた枠の中での最高金額でした。

私はAに出資する旨をSNSで伝えたところ、

「75万円がクラウドファウンディングのプラットフォームに反映されると予算達成してしまい、それ以上集まらなくなるので、プラットフォームを通さずに出資してください」

とAから返信がありました、というような些細なことです。


AとBが起業したサービスは、とあるTV番組を模したもので、

体験型のアミューズメント運営のようなものです。

企画自体は悪くないと感じていました。


オープン前後に、初めて出資先の責任者であるBにも会うために

車を2時間飛ばして現地に会いに行きました。


Bは物腰の柔らかそうな感じのいい若者でした。

見た目は・・・。


約2時間弱、現地に滞在し、AとBのやりとりやその他スタッフとのやりとりを観察していましたが、私はすぐにこう思いました。


「こりゃダメだな・・・」


結果として案の定、それから1年と少々、先週そのサービスを売却するつもりであるとSNSでBから連絡がありました。


私がBを見てダメだと思った点。

・大いに夢を語る(需要があるサービスだ/文化を創る)

・仲間を大事にしている雰囲気(みんなで作ろう的な)


この2点は普通は寧ろプラスポイントだ。

しかしよく観察しているとBから垣間見えたのは下記だ。

・良いサービスだから絶対成功する筈だ(つまり儲かる)

・とにかく上手くいく筈だ(つまり儲かる)

・自分の優秀さは仲間たちとはレベルが違う


Bのどこを見てこう感じたのか、感覚的な問題になるが、

はっきり言ってしまえば、

「薄っぺらい」

の一言に尽きる。


Bはとても優秀な学歴を持っているらしい。

頭も切れる。

夢を語るのは大いに結構。

仲間意識もとても大切なものだ。


そして、金儲けをしたい下心も大いに結構。

ビジネスは金儲けをしなければやりたいことも何もできないのだから。

つまり、それぞれのポイントでは、まったくダメだと感じる点などないのに、

私は瞬間的にダメだと感じた。

薄っぺらいと感じた。


なぜ金儲けができるという下心を微妙に隠そうとするのか?

夢の実現→儲かるではなく、

儲けたい→夢を語る

がBの本質だった。


それだけではない、

Bの心理としては

有名になりたい=儲けたい→夢を語る

であり、それがチラチラ見え隠れしていた。


だから私は直感的にダメだと感じたのだろう。

このnoteにも以前書いた、創業時に問題を起こした社員たちにそっくりだった。


Bは頭がいいと書いたが、

正しくはずる賢い

が正解だと思う。


ずる賢いがために、人や金を集めるために

夢を語るのは上手だ。


ただ、ずる賢いのであって賢くはなかった。

私は、Bに2時間弱のうち後半のほとんどは経営計画や今後の展望について

それとなくヒアリングをした。

出資者だから当然である。


Bは今後の展望は熱っぽく語るが、

経営計画はほとんど何もなかった。


今後の展望すらも1年やそこらで破綻することが目に見えるほど杜撰だった。


2時間が経ち、現場を後にする車中で私は思った。

「75万ドブに捨てたけど、まぁ勉強代だな・・・」


先週SNSで連絡が来た。

75万の出資へのペイである施設利用権はそのまま引き継いでくれる売却先を探している、と。


相談でもない。完全に事後報告だ。

声もでなかった。


予想通りすぎて・・・。



多少詳細を書かないと伝わらないので詳細を書く。

私が出資した75万に対するペイは、

その施設内に所有権が私に属する小屋を建てるということだった。


昨日、BはSNSでこれらの経緯を書きつつ、売却先募集を掛けていた。

その記事の中には、私に権限のある小屋も売却リストに入っていた。

所有権が私に属することは一切書かれていなかった。


自分や相手に都合の悪い情報はすべて隠し、

さもいいものであるかのように見せるのは詐欺師の典型だ。


しかもそのSNSの記事では、売却する理由は

「飽きたから」

「他のことがやりたくなったから」

を全面に押し出しつつ、

「スタッフと衝突して上手く行かなかった」

(スタッフが経営者目線でなくレベルが低かった)

「需要はあってもマネタイズまで時間がかかる」

(企画はいいのに全然儲からない)

という言い訳が数万字に渡って書いてあった。


文末には、すでに数年前にピークを超えたWebメディアを無償で譲渡してもらった、

ついてはそちらのサービスは需要も高くとてもやりがいのあるいいサービスで2年で再度ピークまで持っていく、みんなよろしく的なことまで書いてあった。

今回失敗した事業でも2年で軌道に乗せると言っていた。

こいつの脳内には、多分虫が湧いている。

ウニョウニョうごめくタイプの。


おそらくまたすぐにそちらのサービスでクラウドファウンディングをするのだろう。


計画のレベルの低さ、経営者としての無能さ、強すぎる名誉欲、強すぎる金銭欲、人望のなさを「夢」「やりがい」という言葉でカムフラージュし、

また人の善意や下心から金を集め、さも自分は被害者という雰囲気で事業から撤退するのだろう。


※今回、Bは事業の撤退に伴い、ポケットマネーから損害の90万を埋めた。

経営者としてそれだけの覚悟を持ってやっていたと書いていたが、

ちゃっかり120万で事業を売却しようとしている。

自分の懐など痛めるつもりはない。

もちろん、自分が掛けた労力や時間は赤字なのだろうが、

財務的には30万のキャッシュを得るのだ。

これのどこが経営者の覚悟というのだろうか・・・。



こういう若者がいるから、「最近の若者は」という人々もいる。

もちろん、ステレオタイプで「最近の若者は」という老害もいる。


だが今回、私ははっきり言いたい。

「Bよ、誰も自分のことをダメだなんて思いたくはない。

でもBよ、お前は思わなくちゃいけない。今、自分はダメだと」


いつかBの脳内のウニョウニョうごめく虫がいなくなったら、

今回の思い出話を肴に脳天をひっぱたきたいと思う。



※フィクションですと書いておけばオーケーかもしれないので書いておく。








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