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【商品エッセイ】チメイノチメイド

こんな時期だからこそ、中国のイメージをちょっと良くしたい。

日本でもよく知られる「青島(チンタオ)ビール」。

ビビッドな緑色の瓶はとりわけエスニック系居酒屋の雰囲気と絶妙にマッチ。
苦味の目立たない軽快な飲み口と透明感のある喉越しで、それが同時に青島ビールの最大の長所にもなっている。

比較的日本のビールに近い印象だが、エキゾチックな鋭さも隠し持っていて、こってりした味付けの中華料理とは抜群に波長が合う。
パンチが少し足りないという評価も散見するが、料理とのペアリングによって印象がガラッと変わるタイプのお酒であることは事実。
当然、和食の煮物よりはスパイシーな揚げ物などのほうが青島ビールの真価を発揮しやすい。

ただ、バーなどでなんのアテもなく単体で青島ビールを飲むと、けっこう重厚で、腹にずっしりくる。
このへんの「裏芸」的な味わいを持っている点も魅力といえる。


実は、青島ビールが中国でナンバーワンのシェアを誇る銘柄というわけではない。

2000年代前半までは確かに1位だったのだが、2006年に「雪花ビール」が国内トップに立ち、現在でも雪花1位、青島2位の構図が続いている。
この雪花と青島なのだが、世界全体のビール売上ランキングを見てもワンツーを独占。
やはり人口13億人のアドバンテージが強いようだ。

世界の頂点に君臨する雪花ビールもぜひ飲んでみたいものだが、残念ながら日本では正規販売されておらず、なかなかお目にかかる機会がない。

中国には他にも、北京を含む華北地域で圧倒的な支持を集める「燕京ビール」、広州市で製造され欧米にも広く輸出されている「珠江ビール」などが有名だが、いずれも日本の一般的な酒屋で入手するのは困難である。


ではなぜ青島ビールだけが日本でメジャーになのか。

ここで頼りになるのが筆者の飲み仲間ネットワーク。

筆者と同世代、就職氷河期に就職を諦めて世界を旅していたという自由奔放な男を駅前の立ち飲み屋に呼び出して聞いてみた。
彼の口から出た答えが「それは『チメイノチメイド』ですね」。
ん?「血の命メイド」?よく分からん。
平日の昼間から飲ませたもんだから変なスイッチが入ったのか。

よくよく聞いてみると、「地名の知名度」だという。
「青島」は山東省にあって日本からの直線距離が近く、海にも面している。日本によくある苗字のような地名も親しみが湧く要因のひとつだ。

中国国内シェア1位の雪花ビールは製造工場が瀋陽市。
瀋陽市も栄えている都市だが、日本人には青島より地名の浸透度が低く、また内陸で青島より北に位置しているので、日本への輸入という面では青島ビールの方がフットワークが軽かった、ということらしい。

青島は台湾にも近いので、台湾での青島ビールの人気も絶大であるとのこと。
台湾には「台湾ビール」という国民的銘柄があるが、台湾料理も油の主張が激しいので青島ビールの爽やかな切れ味が働く場面は多そうだ。

「こういうことはネットで調べても載ってないでしょ?味に関する評価はいくらでもありますけどね」。

酒の勢いに乗じて偉そうな口調で語り出した彼を止めるべく、
「さすが、平日の昼間から仕事もせず飲んでる奴は豆知識が豊富だね」と冷や水を浴びせてやったところ、
「そんな奴しか友達がいないからここで飲んでるんだろ!」と逆襲の刃で斬りつけられた。
青島ビール並みのキレと芯の強さだ。



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