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「本とは、凍りついたこころを解かす光」心の底からつくりたい本しかつくらない。

こんにちは。言葉の企画2020 企画生のいちかわはなこです😊
(※「企画メシ」「言葉の企画」では参加者を「企画生」と呼びます。)


今回は聴講生として「企画でメシを食っていく2021」の「本の企画」に参加したので、講義の様子をレポートしていきたいと思います。

◯ 企画生だけでなく、「企画でメシを食っていく2021」を初めて聞いた方や、興味があるけど参加するまで一歩踏み出せない方に読んでいただけると嬉しいです。

はじめに

こちらのnoteで初めて「企画でメシを食っていく2021」を知る方もいらっしゃると思うので、簡単に紹介します。

通称「企画メシ」は、主宰の阿部広太郎さんの「企画する人を世の中に増やしたい」という想いから生まれました。

全8回の講座では、主宰の阿部さんをはじめ、その道の第一線で活躍している方々が講師という形で登壇し、それぞれのテーマで「企画」について企画生とともに学んでいきます。講師の方から毎回課題が出され、講義当日に課題のフィードバックをいただきます。

◯ 一般的な講座とはちがい、講師と生徒が学び合う点や今まで企画をしたことがなくても「企てる」とはどのようなことなのかを実践的に学べるところが特徴です。

ライツ社の大塚啓志郎さん

参加した企画メシ2021の第6回目は、ライツ社の代表・大塚啓志郎さんによる「本の企画」でした。同社は、2016年に設立された兵庫県明石市にある出版社です。大塚さんが手がけた『毎日読みたくなる365日の広告コピー』は付箋だらけ、折り目だらけになるくらい日々読み込んでいたので、講義当日はワクワクでいっぱいでした。

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上の写真にもありますが、料理レシピ本大賞を受賞した『ひと口で人間をダメにするウマさ! リュウジ式 悪魔のレシピ』やビジネス書グランプリ2020の『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』など、SNSやニュースでも話題になった本をいくつも出版されています。

ライツ社の哲学とは?

ライツ社さんが本をつくるときの姿勢や想いについて、ホームページに書かれていたので引用します。

これから、わたしたちがつくっていく本は、旅の本、物語の1ページ目となる本、小説、図鑑、実用書、知らないことが身近になる本、などさまざまです。ですが、出版業をとおして、やりたいことはひとつです。

「write」「right」「light」。
書く力で、まっすぐに、照らす。

本とは、凍りついたこころを解(と)かす光です。
それは、人が悩みもがくときに導いてくれる明かりかもしれないし、新しいアイデアが浮かぶ瞬間のひらめきかもしれない。その胸の中に生まれる小さな火かもしれないし、温かい木漏れ日や友達の笑い声のようなものなのかもしれない。
そう考えています。

「本は、凍りついた心を解かす光」については、講義がはじまる前の課題が出された段階でも大塚さんご本人が最初に教えてくださいました。


ライツ社さんの本作りは、LINEを使ったアイデア出しからスタートします。会議のために用意する企画は一切なく、編集/営業を含めた6名のグループラインに構想のきっかけとなった記事やニュースをシェアし、そこからアイデアをふくらませ、企画にしていきます。シェアしたアイデアのすべてに反応があるわけではなく、スルーされることもあるんだとか。心理的安全性の高いチームだからこそ可能な企画スタイルとも言えますね。


どんなに良い企画でも、本人がつくりたくなくなったら無理に出版はしない。年間で5~6冊しか出さないこともあり、本当に心の底からつくりたい本だけを作っているそうです。

いざ、「本の企画」へ

グループラインを使用したアイデア出しに関しては、実際に私たち企画生も、今回の課題で体験しました。今回の課題は・・・

【「本の企画」の課題について】
「自分の中で絶対いける!」という確信の持てる本の企画をLINEグループ(事務局が作成します)に送ってください。

※こちらの記事を参照してください
「『ライツ社』が照らす、出版業界のこれから。」
https://sotokoto-online.jp/social/3308

ライツ社の企画会議はLINE上で行っています。ライツ社の社員は6人ということもあり、事務局で6人1組のLINEグループをつくります。そこに、企画の趣旨を伝える一言と参考となるニュース記事やSNSなどのリンクをつけて企画を送信してください。

講義当日は、事前に課題に取り組んだ上でどのように企画すると良い本が作れるのか、講義と課題に対するフィードバックという形でお話を伺いました。

講義で印象に残った言葉たち

まずは、講義で特に印象に残った言葉から紹介していきます。

■ みたことないものをつくろう
「本屋さんのニッチなジャンルの棚の中で見たことがなくて、絶対にトップになれる本を作ろうと思った。
例えば、『毎日読みたい365日の広告コピー』。広告コピーの本というのは、広告の仕事をする人が読んでいる本だったが、僕は名言や詩のように読んでいた。同じような人はいっぱいいるのに、そういう人向けの本がない。そこでわかりやすくまとめ、名言を集めた本として毎日読めるように作った。仕事で使うものではなく、その日、人生にぴったりの広告コピーがありますよ、と。結果的に、広告棚だけでなく、文芸書の棚にも置かれるように。」
■ 本のタイトルは、口に出すだけでお守りのような言葉になっていることが重要
特にビジネス書。ビジネス書というのは、買って1,2回読むが、覚えているのは中の言葉よりもタイトルではないだろうか。大ヒットした『嫌われる勇気』も人と意見が食い違ってしまったとき、嫌われる勇気というタイトルさえ思い出せば意見をきちんと伝えられる。『読みたいことを、書けばいい。』もタイトルさえ思い出せば、書けばいいんだと思える。『売上を、減らそう』もある経営判断によって人を傷つけてしまう可能性があったとき、経営者の頭の中に売上を減らそうという選択肢が思い出せること。」
■ 好きなものから企画することは難しい
気になっていることや課題、悩んでいることから企画した人と、好きな人から企画した人がいると思うけど、好きなものから企画することは基本的に実用的ではないことから難しい。空の写真集を作るという企画をしたら、空が好きな人しか買わない。そのまま本にしてしまうとうまくいかない。」
■ 自分だけではこだわれない
「あの人ならどこまでやるかな?と考える。文章なら文章を書く仕事の人はどこまで粘るだろう?ビジュアルな本なら、憧れたデザイナーさんならどこまで粘るだろう?企画ごとにその人を隣に置いておくことで、その人が自然とその領域まで連れていってくれる。」
■ 捻り出した企画ほど弱いものはない
「企画は、捻り出した時点でうまくいかない。そのテーマで考え続けること。そしてわからないことは、その道の専門家に聞くこと。」

私も今回の課題に挑戦したのですが、好きなものから派生して企画したこともあり、「好きなものから企画することは難しい。その題材を好きな人にしか届かない」という言葉がずっしりと響きました。他にも金言の数々でこちらに記したい言葉がたくさんあるのですが、今回は5つに絞り、紹介させていただきました。

課題に対するフィードバック

80を超える企画の中から4作品にフィードバックをいただきました。今回は、講師の大塚さんが一番すごいと評価していた、企画『こわいものいじめ』(企画メシ2021メンバーの西山さんの企画)を紹介します。

■『"こわいものいじめ"を考える絵本』
西山さん:「強い動物ほど絶滅する」という、生物多様性から派生して企画した。仕事で「生物多様性」について調べる機会が多かったことと、もののけ姫を見てから興味を持っていた狼の絶滅理由が人間の恐れだったことから「こわいものいじめみたいだな」と思い、そこから展開していった。
< 講評 >
大塚さん:「よわいものいじめ」という言葉はあるけど、今の日本にあるのはよわいものいじめではなく、「つよいいじめ」や「こわいものいじめ」なのでは?と考えさせられた。その概念を一言で言い表している点もすごいと思った。
< 企画生と大塚さんのグループラインより >
大塚さん:「こわいものいじめ、素晴らしいですね。これ生物多様性もそうですけど、「自分と違う」何かをいじめる、とかもたぶん、こわいものいじめの一種なんだろうなと思いました。すごく発展させられる企画だと思います。」(企画生と大塚さんのグループラインより)

西山さんの企画は、企画そのものはもちろんのこと、小説や本にするのではなく、絵本で子どもから大人までこの強いメッセージを伝えられる点が秀逸だなと感じました。ふとした瞬間に、先の「ビジネス書のタイトル」同様、思い出すことにより、一歩踏みとどまったり、心の状態を捉え直すきっかけにもなりますね。

おわりに

講義前半の大塚さんのお話は聞けば聞くほど面白く、大塚さんの人生自体にどんどん引き込まれていきました。そして、人生の転換点には、必ず人の存在があり、その方の言葉がきっかけとなり、次の挑戦に繋がっていることが大変印象的でした。

講義の終了後、心動かされたことを記録し、共有する「感動メモ」に大塚さんのキャリアを「計画的偶発性」と表現している方がおり、まさにその通りだと思いました。

計画的偶発性とは言葉の通り計画的に偶然を起こすことですが、計画しまくるわけではなく偶然が起こりやすい状況を普段から心がけることが大切だと言うことです。

だれしもが人の言葉や行動による影響は受けるなかで、自分がその言葉から何を受け取り、解釈し、行動につなげていくのかが大事なのだと改めて感じました。

また、講義で大塚さんがお話しされる中、主宰の阿部さんがその内容に対し、解釈を重ねて掘り下げていく様子が大変印象的でした。自分の解釈をつくるには、常に光を照らす角度や場所を変える必要があり、日常から少しの企てを心がけることで自然と私もできるようになりたいと思いました。

以上、大塚啓志郎さんの講義レポートでした。

おまけ

言葉の企画2020の企画生の有志が集まり、今年1月12日から「いいねの日」という企画を行っています。

「いいねの日」は実際に記念日協会にも認定され、現在はツイッターを中心に活動を行なっています。

よろしければ、みてみてください 🧡

レポートライター:言葉の企画2020 市川華子

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