【S-books 1】『バンディエラ 大谷秀和“柏レイソルの象徴”が過ごした日立台でのサッカー人生』
サッカーにまつわる多種多様なおすすめの本を紹介する連載企画「S-books」。
第1回は、突出した能力はなくとも気の利いたプレーでチームの信頼を勝ち取り、20年にわたって活躍。レイソルを象徴する存在となった大谷秀和のサッカーをつづる本を紹介する。
苦難と成長をくり返すレイソル史を読む
2003年にトップチーム入りを果たし、2008年からはチームキャプテンを担って、2011年にはJ1優勝のシャーレを掲げた大谷秀和。
2022年シーズンで引退するまで、20年にわたりレイソルの選手として活躍した大谷のサッカー人生を一冊に凝縮。挫折を乗り越え、つねにサッカーを楽しみ続けてきた足跡を辿ることができる。
270ページを超える分厚い本だが、どこを開いても目の前のことへ真摯に取り組む大谷の姿がありありと浮かんでくる。だからこそ、この本はつまみ食い的な読み方が楽しい。最初の1ページ目から順番に読み進めるよりも、お酒片手にテキトーに開いて読めばいいのだ。
ユースで参加した大会で、他チームの選手だった谷澤達也から大谷自身のトップチーム昇格を漏れ聞いてしまう話や、2005年の年末に明神智和からガンバ大阪への移籍報告の連絡を受けた際に「背番号7を受け継がせてほしい」と申し出る話など、各所に心くすぐられるエピソードが散りばめられている。
もちろん、J2降格や監督交代、怪我などさまざまな挫折もあるし、何より2011年のJ1優勝とその後の天皇杯やヤマザキナビスコカップの優勝、ACLやクラブワールドカップへの出場などよい経験を辿ることもできる。これは大谷秀和というひとりの選手を通したレイソル史だ。
本を開いて、ページで展開される出来事や、大谷とチームメイトたちとのコミュニケーションを味わい深く読む。そのひとときを楽しむ舞台装置といえるだろう。
「♪大谷、俺らと共に〜」
大谷のチャントのように、ぜひ手元に置いておきたい一冊である。
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