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『この仕事向いてない』と2度も言われた件

きの@育児を楽しみたい幼稚園教諭

私は現在、幼稚園で先生をしている。
歴としては保育士の方が長いが、どちらにしろ短大を卒業してからずっと幼児に関わる仕事を続けている。
そんな中で2度も『この仕事は向いていない』と言われたことがあった。
この言葉は今日まで呪いのように付きまとっていて、感情が悪い方に傾くとふっと顔を覗かせるのだ。

一度目の失敗

一度目は実習で保育園へ行った時だった。
その地域では有名な進学園。
多忙なカリキュラムをこなし、田舎には珍しく園内で習い事も出来る園だった。
そんな中、同級生数名と共に短大2年の夏頃に実習をさせてもらった。

担当クラスは年長だった。
予めクラスの様子を聞き名簿も受け取っていたので、初日は比較的スムーズに馴染めた。
数日間がむしゃらに実習をこなし、帰宅してからは3時間かけて実習日誌を書いた。
また一日保育を任される為、計画書も下書きの下書きを作成し実習の数日前から添削してもらっていた。
最後の数日間は寝ていなかった。

担任はベテランで少し癖のあることで有名な人だった。
実習の反省の際には毎日ダメ出しをされ、実習中は担任の目を気にしながら過ごしていた。
毎日何処かしらの失敗を指摘された中での一日保育は、最悪の結果に終わった。


その日の反省会、担任は疲れきった顔で言った。


「違うクラスにいる実習生の子はもうこの書類をとっくに見せてるの。
でも貴方には関係ないわね。それでも実習生には見せるものだから、一応見せてあげる。
貴方、この仕事向いてないわ。
悪いこと言わないから、早めに違う道を探しなさい」


最後まで担任から前向きな言葉を掛けられることなく、実習は終わった。


二度目の挫折

実習の苦い思い出はあったものの、縁あって保育園に就職することが出来た。
20代職員が中心の園だったが、経験豊富でとても優しい人ばかりだった。

就職してから少しして、職員たちは園長が苦手だと知った。
良くも悪くもこうと決めたら揺るがず、職員会では気に入らないことがあると全員の前で叱咤するような人だった。
職員たちは園長の顔色を伺いながら、上手く抜け道を探して過ごしていた。

2年目。
3人の職員と共に1歳児クラスを持った時、一つ下の後輩と共に『ターゲット』になった。
後から知ったが、一緒に組んだベテラン職員が妊娠し年度途中で辞める為、自立して欲しい気持ちが強かったらしい。
そんなことは露知らず、その時はやることなすこと全てが裏目に出ていた。

実習の時の担任とは違い褒められる時はあった。
機嫌がよければ何がいけないのかを丁寧に教えてもらうこともあった。
だが大半は期待を裏切ってしまい、園長室に呼び出されては終業後に何時間も指導されていた。

私は再び萎縮し、やることなすこと全てが裏目に出ていた。
連日否定され続け何もしていなくても涙が出る時が増えた。
同じクラスの一つ下の後輩と比較される時はプライドがズタズタになった。

ベテラン職員のお腹が大きくなり、もうすぐ参観日という時期だった。
1歳児クラスの担任全員が園長室に呼ばれた。
私と後輩の保育について、先輩職員たちの意見を聞くという内容だ。
恐らく先輩職員も園長から何かしら言われていたのであろう、4月の前向きな雰囲気はとっくに無くなっていた。
先輩たちは園長から意見を促され泣きながら先輩としての苦労を語った。

胸が傷んだ。
園長から見て私は反省してないように見えたのだろう。
園長は私の苦手な口調で言った。

「先輩が泣いているのに何とも思わないの?」

もしかしたら本当に反省していなかったのかもしれない。
だがその時は確かに申し訳ない気持ちでいっぱいだったのだ。

何と言えば伝わるのだろう。
何と言えば怒られないのだろう。
そんな考えがグルグル回り言葉を詰まらせていると、皺深く刻まれた口がまた開いた。


「私、貴方を雇ったことを後悔してるの。
もっと出来る人だと思った。
見る目が無かったわ。」



二度の大きな失敗から学んだこと

初めて就職した保育園はなんだかんだで4年勤め(案外図太い性格なのかもしれない)結婚の話が出始めたタイミングで退職した。
その後は別の保育園に勤め、出産をした後県外へ引っ越した。
今はパートとして働きに出ている。

苦い思い出が教えてくれたのは、『等身大の自分以上にみせようとしない』ということだった。
今思えば、私はなかなかカチンとくる態度を取っていた。
実力や年齢があるならともかく、学生生活が抜けない小娘が目線を同じにしたら気を悪くする人は多いだろう、と今なら言える。


私に足りなかったのはひたむきな姿勢だ。

実習先では普段の仕事に加え、実習記録の確認がある。
実習生が時間をかけて記録を書くように、確認する方も神経と時間を使う。
社会人になれば家庭を持つ人もいる。
家に帰ればまた違う仕事が待ち構えているのだ。
学ぼうという意欲が見えない実習生に、教える側がやる気をそがれてしまうのは仕方の無いことだろう。

社会人とは言え新人の頃は出来ることが少ない。
仕事量や責任も、軽いことがほとんどだ。
チームとして動く時に善意に甘えて怠ければ印象は悪くなる上、習得出来る事も減る。
そんな怠惰な姿を見れば気持ちいいものでは無い。


以前『初めのうちは出来ることは少ないから、出来るものを全力でこなす』と聞いた。
そんな姿を見た周りの人は好意的になり、任せる仕事も増え、自分の経験値になる。

パートとして勤めだしてからは『謙虚』を自分の目標にしている。
基本的に相手の話や考えを聞き、自分のことは必要以上に話さない。
謙虚に仕事をすると、大きなトラブルは減った。
意見が通りやすくなり好感度を高く持ってもらえることも増えた。
私は私が思っている以上に自分ファーストだったのだ。

おわりに

これらの経験は失敗の度に心のささくれとして痛むことがある。
上手くいかなかったらクヨクヨ考え萎縮して動けなくなることも分かった。
そんな時は『今出来ることを一生懸命』頑張って、出来るだけ前向きに一心不乱に目の前の仕事をこなしていく。
それが今の私に出来ることなのだ。

数年経てば目標は変わるかもしれない。
経験値が溜まり考え方が変われば自ずと変化は訪れるだろう。
その時の最善を尽くし、失敗を重ねて人として成熟していければと思う。

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きの@育児を楽しみたい幼稚園教諭
□保育士9年▶︎幼稚園教諭1年目 □夫・娘・私・セキセイインコの3人と1匹暮らし □長野▶︎千葉へ 育児のこと、生活のこと、夫婦のことをアウトプットしながら、気に入った人生を歩みたいと思っているアカウントです。