山下達郎のモーニングの発音。
タイトルの時点でもう、
脳内にはあの声が再生されないだろうか。
山下達郎。
クリスマスイブとかライドオンタイムとか、あの辺の名曲たちを次から次へと量産する音楽系Bot男だ。なんともシュガーベイブな男。
山下達郎の英語の発音って、まずまず美しくて、彼なりのこだわりを感じる。クリスマスイブのときの英語の発音もまずまず綺麗。
この「クリスマスイブ」の部分は英語だから、山下達郎なりの英語の発音で、
「クリッスマスイヴ、ん~♪」
と言ってさらに「っサイレンナイ、んぉ~ゲブン♪」みたいに歌ったかと思えば「ンホーウリィーナァイ♪」と言うわけ。
特にHoly(ホーリー)の発音には彼の英語へのこだわりが隠れてて、細かな発音記号は書かないけれど「ホーリー」と冗長に伸ばすのでなく「ホーウリィー」という"ウ"の発音を紛れ込ませることに成功している。
これが万事にこだわりを持たない方の場合は、Holyを単純に「ホーリー」と鼻水を垂らしながら発音なさるわけだが、たしかに正しい発音では小さな"ウ"が混ざっているように聴こえる。
そこに気づく人、というのはきちんと発音するわけだから、この曲を聴くと「あ、達郎は小さなことに気づくことができて、そこにこだわれる人なんだなぁ」なんて思うわけ。
同じように「モーニング」の発音にも、
山下達郎のこだわりが見えてくる。
彼の曲でモーニングという単語が出てくる楽曲もたしかにあって、それを聴くと「あ、達郎め、またこだわって発音してんなぁ」と思わせてくれる。
モーニングを英語で書くとMorningなわけで、これはモーニング娘。だとかに代表されるカタカナ表記の英語だと、単純に「モーニング」となる。
何も考えないで発音すれば「モーニング」なんだ。
そりゃそうだ。モーニングはモーニングだもの。
どこまでいっても、モーニングはモーニング。
だけど、
山下達郎はひと味違うぞ。
あれはきちんと発音記号をチェックしてるぞ。
Morningの発音記号は「mˈɔɚnɪŋ」らしい。
なんのこっちゃ分からない。
山下達郎のモーニングの発音はこうだ。
「ンモォ~ァニン」
Morningを「モーニング」でも「モーニン」でもなく「ンモォ~ァニン」と発音してくる。
小さな”ア”をモーニングに混ぜ込んでくるわけだ。
「あ、達郎め、ちゃんと小さな”ア”をモーニングに混ぜてきてるぞ」と思うわけ。こだわってんなぁと思うわけ。
…
ある朝、目が覚めて顔を洗いに洗面台に向かう。
横で寝てる妻を起こさないように、ソ~っと出る。
でも少しして寝室に戻ると、妻は起きているもんだから、心の中では「あ、起きちゃったかぁ」と思いながら私は朝のあいさつを妻にする。
「Good Morning(グッ ンモォ~ァニ~ン)」
すると妻は言う。
「それ、達郎の発音の仕方じゃん」
…
達郎のモーニングの発音を聴くたびに「この人は、こだわりを持って仕事に取り組むタイプだなぁ」と思える。
もし私が、なんらかの楽曲制作を依頼する立場の人間だとしたら、そういうこだわりを持つ人に依頼したいなぁ、なんて思うのであった。
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