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仮面ライダーBLACK SUNみたぞ

各所で感想が語られているが、本家BLACKへのリスペクトに重きを置きながら、昭和仮面ライダーシリーズの設定のゆるい感じと、平成仮面ライダーシリーズの現代社会への問題提起的な題材を融合させた作品になっていると思った。なので、どちらかみている世代にも、どっちもみている仮面ライダーファンにも、あるいは仮面ライダーアマゾンズしかみていないという層にもいろんな意味で刺さるカメレオン的な側面が、賛否両論を生んでいるのではなかろうか。 

悲しみを繰り返し僕らはなんちゃらかんちゃら

第10話の最終シーンでは、光太郎サイドの怪人達が、怪人(と思われる)の子供達を軍事訓練している様子が描かれていた。思想が反するものの対立と憎しみの連鎖(恐らく暴力を前提としている)はどこまでつづいていくのか、という問題提起になっていた。軍事組織化することを暗示させるものになっていた。

仮面ライダー555(2003)ではオルフェノクの王が倒れ、人間と比べて寿命が短いオルフェノクは、近い将来に全滅することが示唆されていた。主人公であるたっくんもそのうち死ぬので、劇中で特に願いなどなかったたっくんだが、洗濯物を真っ白にしたいという願いを口にしたわけだ。555劇中では、人間vsオルフェノクという構造では、オルフェノク側の絶滅という意味で、憎しみのループは一旦切れたもののように描写されていた。

脚本がそこまで考えているかは知らないが、「オルフェノク化」というSFチックで超生物的なで物理的で自然科学的な事象よりも、「思想」という人間の内面にあるものが、人間を人間たらしめていて怪人を怪人たらしめているという示唆を感じた。

対立は内側にあるということ

劇中では50年前に光太郎らが組織していた団体の五流護六内部のいざこざと、現代のゴルゴム党が暗に牛耳る政治社会とを行き来する。五流護六のメンバーは人間数人と怪人とで構成されているが、人間メンバーのゆかり(人間も怪人も平等的な主張をしていた)が創世王を殺そうとしていることを発端に、内部的な分裂が発生し、それが50年後の現代まで影響してしまう。のちに現代でゆかりは人間側のスパイであるということが発覚する。

われわれが物事を考える時につい「外側」に目が行きがちである。例えば、よそのだれだれから文句を言われているとか、人間と怪人とか、家族と会社の人とか、自分のチームと隣のチームとか、ジェダイとシスとか。しかし、実は対立は内側にある。思想や考えを同じくする集団においても、同じであるがゆえに、少しの違いが、大きな差となってしまうことも多いのだ。

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