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【世界の最新ビジネスニュース #42】<ベンチャーキャピタル VS 借入>スタートアップの最適な資金調達とは?


テック系スタートアップ企業では、資金調達の後期段階でバランスシートを増強するために借入を利用することがよくありましたが、現在では多くの企業がより早い段階で選択肢として借入を利用するようになってきています。


●スタートアップの借入事例

今月EdTech企業のUdacityは、Hercules Capitalから75億円を借入で調達したと発表、またオンデマンド電気自動車企業のEnvoyもMacquarie Groupを通じて70億円の借入で調達しています。9月には、もう一つのEdtech企業SkillsoftがCIT Groupから75億円の借入を行っています。

今年の初めには、企業の旅行・経費管理プラットフォームであるTripActionsが転換社債型IPOで125億円を調達したり、宿泊施設マーケットプレイスであるAirbnbがSilver Lakeから2000億円を借入と株式で調達したり、Asanaが株式公開前の6月に200億円の借入をしたり、大きな取引が行われています。


借入で調達された正確な数字を出すのは難しいですが、ベンチャー企業の借入を支援するキャピタル・テクノロジーズのCEOブレア・シルバーバーグ氏は、創業者や起業家が所有権を希釈せずに資本を調達する方法を模索していることから、負債への関心が高まっていると述べています。

キャピタルは3月以降、顧客の資金調達が250%増加しており、その半分はコロナウイルスが直接の原因であると考えています。

「コロナウイルスはすべての企業に影響を与えました。どのように影響を受けたかに関わらず、企業はあらゆる選択肢を検討したいと考えています。」


Silverberg氏によると、ここ2週間で、買収のための借入に関心を持つVC出資のSaaS企業や消費者向け企業が借入を検討しているのを目にしたといいます。


●借入の増加

ベンチャーキャピタルはテック系スタートアップへの資金調達手段として最も連想されるものですが、Silverberg 氏によると、市場が変化し始めたのは大不況後の2012年頃からで、KKRやBlackstoneのような従来型の資産運用会社が魅力的な利率で融資を行うようになった頃になります。

ちょうどその頃、AngelListやCircleUpなどのスタートアップ・フィンテック業界も、テック企業に他の資金調達方法を提供し始めました。


1990年代半ばのテクノロジーブームの初期に比べて、現在ではその借入規模は20倍近くにもなっています。しかしシルバーバーグ氏によると、アーリーステージ企業の資本金の約2%が負債であるのに対し、S&P500の企業の資本金の約30%は負債になっているとのことで、まだ両社には開きがある状況です。


●借入のリスクとメリット


ベンチャー企業の借入には欠点があると、オースティンのベンチャー・キャピタル会社ビルドグループの創業者ランハム・ネイピアは警告しています。

借入の方が資本コストは大幅に抑えられますが、企業のレバレッジにはリスクがあり、特に事業の再現性が未知数である新興企業の場合にはリスクがあります。

「メリットも大きいですが、自社をレバレッジすることには大きなデメリットもあります。ただ現在市場にある豊富な資金を利用する方法として、より多くのスタートアップが借入に目を向け始めているのは事実です。

ここ6~8ヶ月の間に借入を利用する企業に大きな変化は見られませんでした。パンデミックが3~4月に始まった時には、すでに利用可能な信用枠を借り入れていた企業が多かったです。ベンチャー企業にとって資金調達のはかつてないほどに良くなっていると思います。」


出典:Crunchbase

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