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もし、副業を始めたのに売れなかったら

ある興味深い海外の研究がある。

「起業をするのに、本業を続けるのと辞めるのではどちらがいいか?」

という調査だ。

さて、結果はどちらだろうか?

答えは…

本業を続けた起業家は、やめた起業家よりも失敗の確率が33%低かった。(引用:著者 Adam Grant「ORIGINALS 」)

意外だろうか?

実は、この傾向は海外に限った特徴ではない。

日本の調査*でも勤務しながらの起業は成功の確率を高めることが示されている。(*日本政策金融公庫総合研究所「2016 年度起業と起業意識に関する調査」)

副業として事業経営を経験することで、本格的な起業に向けた準備ができることが背景にあると言えるだろう。

いわば、起業は副業の予行演習だ。いきなり起業するよりも、現実的なメリットがたくさんある。

だからこそ、まずは小さくはじめることが大切なのだが…

副業だってあまくない。

お客さんにとっては、提供するビジネスが主業か副業かは関係がない。

お金を支払うに値するかしないかだ。

ほとんどそこに尽きるといっても過言ではない。

たとえ小さくはじめても、自身の製品・商品・サービスが売れないままでは、遅かれ早かれビジネスは立ち行かなくなってしまう。

そして、これは感覚値だからデータがある訳ではないのだが、最初から上手くいく副業はなかなかない。50人中、2,3人くらいだろう。

「よし!副業からはじめよう!」と思い立ち、実際にはじめてみて、なかなか売上が上がらないとき。数か月、半年、1年間と、まったく売上があがらないとき。

いったいどのような対策を講じることができるのか。ながく苦しい赤字期間を、一体どのように克服するべきなのか。

ストレスが掛かるシミュレーションだが、重要なところだ。「売れない」を克服する、現実的な打ち手を考えてみよう。

・売れない。
・なかなか売れない。
・思うように売れない。
・想像以上にぜんぜん売れない。

これは、実際に副業をはじめた人から本当によく聞くセリフだ。

もちろん、最初からどんどん売れたら誰も苦労しない。お客さんの反応をみながら製品を改良したり売り方を工夫したり、試行錯誤を繰り返しながら売上を獲得していくのがビジネスの常だ。

たくさんの起業家と接する中で、「売れない」に上手く対処し、着実に売上を伸ばしていく人たちに共通する考え方を、3つのポイントで紹介する。

<ポイント1>
自分の持ち味を発揮できているか

自分の製品・商品・サービスを売っていくのに、自分の持ち味や強みをしっかり生かせているか。

言い方を変えれば、きちんと「差別化」できているかどうかだ。

世の中はモノや情報に溢れている。類似商品や似たようなサービスも溢れている。「差別化」できないモノや情報は、あっという間に埋もれてしまい、手にとってもらう事すらできないだろう。

たとえば、手作りアクセサリーを制作・販売するのなら、その素材や加工法、装飾などにこだわり、蓄積した自分の技術を最大限に発揮することで、自店の価値、他店とは異なる魅力を打ち出すことが大切だ。

ある先輩起業家の例を紹介する。

彼女は手作りアクセサリー販売業を経営している。幼少からアクセサリー作りが大好きだった彼女は、独学で加工技術を習得、副業として販売を始めた。最初は友人・知人がお客さんだったが、彼女の「アクセサリー愛」が口コミで広まり、現在は予約注文が1年先まで埋まっている。彼女はいつも、本当に嬉しそうに、アクセサリーの素材や技術や相性の話をしてくれる。その純粋な愛が聞き手にも伝わり「アクセサリーを買うならこの人」と思わせる。

彼女の持ち味は、アクセサリーに対する深い愛と、それに基づく素材へのこだわりだ。

自分なりのこだわりや技術を最大限に生かし、類似商品との違いを明確に打ち出すことが、事業者として生き残ることに繋がる。

<ポイント2>
自分の持ち味が伝わっているか

次に重要なのは、自分の持ち味がきちんと伝わっているかだ。

自分の持ち味(こだわりや技術)を発揮することと、それをお客さんに伝えるノウハウはまったく別のものだ。

たとえ素晴らしい技術の手作りのアクセサリーをネットショップで販売するにしても、単純に種類と価格を並べたメニューでは、そのこだわりはまったく伝わらないだろう。

そこで、自分の持ち味をしっかりとお客さんに伝えるために、ネットショップやホームページ掲載の写真や文言には、徹底的に、頭をふり絞って、こだわり抜くことが大切だ。

ある先輩起業家の例を紹介する。

彼はコンサルティングサービス業を経営している。たくさんの顧客を抱えて全国を飛び回る彼だが、「自ら営業はしない」という。その秘密はホームページにある。デザイン、写真、文言、サービスメニュー紹介にこだわり抜き、顧客視点で改善を重ねた結果「新規受注はすべてHP経由」となった。

「”文言ひとつ、写真ひとつでアクセス数は変わる、HPには無限の可能性がある“」

彼のセリフだ。どうしたら伝わるのかに心血を注いだHPは、立派な営業担当になる。

自分の持ち味を発揮すること、そして、それをしっかりとお客さんに伝えることは、ビジネスという車の両輪だ。

自分の製品・商品・サービスのこだわりをお客さんに伝える努力は、決して惜しんではいけない。

<ポイント3>
競合他社から"徹底的"に学ぶ

競合他社とは、言うまでもなく「自分の事業に競合する他社の製品・商品・サービス」だ。

「競合に学ぼう」
「競合調査をしよう」

という言葉は創業界隈に溢れている。

だが、実際には意外なほどおろそかになっている人が多い。競合は「競い合う」と書くから、頭では大切だとわかっていても敬遠しがちなのかも知れない。

ある先輩起業家の例を紹介する。

卸売業を経営する先輩起業家の話だ。「吹けば飛ぶようなビジネス」と自社を評する彼は、会社が生き残る術を研究するため、365日、競合調査をしているそうだ。毎晩必ずWEB検索し、競合などのHPを見て、サービスや販促キャンペーンを研究、よい所を自社に取り入れている。現在の年商は1億円を超えているが、創業当初から変わらない「競合に学ぶ姿勢」が、会社の成長に貢献していることは間違いないだろう。


…競合他社は、言い方をかえれば「同じ部活の先輩」のようなものだ。それも、自分がこれから出ようという市場に身をさらし、さまざまな試行錯誤、失敗を経てビジネスとして成り立たせている、非常に優秀で頼りがいのある先輩だ。

こんな先輩が身近にいたら、その一挙手一投足から学びたい。学ぶどころか、四六時中しつこくつきまとって、製品・商品・サービスの売り方、アピールの仕方、顧客対応の仕方、アフターサービスやクレーム対応のやり方などなど、徹底的に全身で吸収したい。

よほど特殊なビジネスでなければ、先輩はWEB検索ですぐに見つかる。先輩の取り組みに大いに学び、事業の成功確率を高めよう。

副業を成り立たせるために

繰り返しになるが、副業だってあまくない。お金を稼ぐことは容易ではないんだ。

まずは副業、と考えているキミも、副業を副業として成り立たせるために、自己実現と生活を両立させるために、リスクを最小化し、事業の発展可能性をしっかり見極めるために、

・自分の持ち味を最大限に生かし
・それをしっかりとお客さんに伝えて
・競合他社に学ぼう

そして、「もうこれ以上やりたくない」と思うくらい全力で副業に打ち込もう。そうすれば、どのような結果であれ、自分が納得できる答えをつかめるはずだ。

■終わり