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き・ごと・はな・ごと

日本女性新聞に1997年4月~2001年3月まで月次連載した『き・ごと・はな・ごと』を随時掲載。全48回。 いにしえからの伝統ごとには、不思議なならいや言い伝えがあり、そこには花や樹木ら自然とのかかわりの深さを見いだすことができる。それは先祖たちが森羅万象ににいかに畏怖の念を抱き、尊んできたかのあかしともいえよう。そうした習慣を好奇心の目で楽しみながら探っていきたい・・・

【き・ごと・はな・ごと(目録)】

日本女性新聞に1997年4月~2001年3月まで月次連載した『き・ごと・はな・ごと』を随時掲載中。全48回。 ー掲載済みー 第01回 : 師岡熊野神社―筒粥 第02回 : 北の城下町に伝わる椿餅 第03回 : 萱の大蛇が町を練る―「蛇も蚊も」祭り 第04回 : 海の安全と大漁を祈る―森戸神社の潮神楽 第05回 : 古代へのロマンを誘う古刹の蓮華 第06回 : 夏の風物詩、ホオズキ市のルーツ探訪 第07回 : 室町の世から伝わる茅の奇祭・お馬流し 第08回 : はかない鷺草の

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【き・ごと・はな・ごと(第1回)】師岡熊野神社―筒粥

伝統行事や神事に接する楽しさは、例えて云えば、一瞬にして悠久の時の流れを飛び越え、遥かな時代に心を通わせることとでも云えようか。横浜、私鉄沿線のベッドタウンに今年1千48回を迎える筒粥の神事が執り行われると聞き、でかけてきた。場所は東急大倉山駅に程近い師岡熊野神社である。熊野山縁起によると、天暦3年七歳の少女が御神託を戴いて事が始まったと記されている。以来今日まで脈々と続けられてきたわけだが、そのありようを前にすると、その歴史の重みに何故か感動すら覚える。 古式ゆかしい筒粥

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【き・ごと・はな・ごと(第2回)】北の城下町に伝わる椿餅

椿餅といえば、椿の葉二枚で餅をサンドイッチ状に挟んだ某老舗の茶菓子を思いつく人もいるのでは?春の息吹を感じさせてくれる味わい深い餅菓子だが、その歴史はかなり古いものらしい。源氏物語の若菜の章にも「−椿餅(ツバイモチ)梨、柑子やうのものども、さまざまに・・・・・若き人々そぼれとり食ふ−」と、桜の下での蹴鞠の宴の食べ物として登場している。 ※      ※ JR秋田市内から、日本海沿いに南に下る羽後本線に乗り換えて五駅目。2万石の城下町としての佇まいを今に残す亀田の町に伝わ

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【き・ごと・はな・ごと(第3回)】萱の大蛇が町を練る―「蛇も蚊も」祭り

「蛇も蚊も」は、萱で作った20メートルもの大蛇を町内の子供や有志たちが担ぎ「蛇も蚊も出たけい、日和の雨けい 出たけい 出たけい」の声も高く、家々の軒先に蛇体を差し入れて町を巡る疫病除けの行事である。 伝承地の生麦(横浜市鶴見区)は、かって東海道神奈川宿の北側に位置する半農半漁の村落で、幕末にかの外人殺害事件が起きたことで知られる。臨海工業地の開発で周囲はすっかり面変わりしたが、戦災を免れたこの町の息づかいには心安らぐ懐かしさが漂う。 ※      ※ 6月1日、午後から

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