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挑戦することでマイナスになる要素が全く無い/木暮郁哉選手(カンボジアリーグ ソルティーロ・アンコールFC)

木暮郁哉選手をゲストに迎えて、鎌倉インテルFMを放送してきましたが、試合時間がなかなか短くて不完全燃焼ということで、このアデョショナルタイムで木暮郁哉選手ともう少しお話をしたいと思います。
※前回までの話とプロフィールはこちら。

カンボジアでの生活はどんな感じ?

(四方健太郎/以下、ヨモケン)
ここから本編では聞けなかったことを聞いていきたいと思います。
先ほど、シャワーがないというお話がありましたが、普段どんな生活を送っているのか、日本にいる人はイメージが湧かないかもしれません。
シャワー、ないんですか?

(木暮郁哉選手)
家には当然あるんですけど、練習場にシャワーはないですね。
なので、練習後は水を浴びてからバイクに乗って帰ります(笑)

(ヨモケン)
それは自分のバイクなんですか?

(木暮郁哉選手)
自分のバイクです。
原付で颯爽と練習に行っています(笑)
まさか自分がサッカーの練習に行く時に、原付に乗ることを10年前は全く想像していませんでした。
すごい生活をしているなと思うんですけど、そういうところも含めてすごい楽しいです。

(ヨモケン)
過酷な環境とかを聞きたくなっちゃうんですけど、そういうエピソードとかはありますか?

(木暮郁哉選手)
試合に行く時は、バス移動片道7時間が当たり前とかですね。

(ヨモケン)
カンボジアリーグはチームの多くが首都のプノンペン近郊にありますけど、木暮選手のチームはアンコールワットがあるシェムリアップという街にありますよね。ほとんどの試合でプノンペンに行くというなかで、バスに乗っている時間は何をしているんですか?

(木暮郁哉選手)
ひたする寝るか、本を読むか、携帯を触るくらいしかないですね。

(ヨモケン)
カンボジアリーグはデーゲームとナイトゲームどちらが多いんですか?

(木暮郁哉選手)
だいたいキックオフが15:30ですね。
この時間にやっている理由がよくわからないんですけど、明らかに暑いと選手のパフォーマンスは落ちますよね。

(ヨモケン)
ナイトゲームだと、照明がないとかもあるんですか?

(木暮郁哉選手)
それもあると思います。
そのあたりリーグは何を考えているのか?と常に思ってはいるんですけど、そこは考えても仕方ないとも思っています。

(ヨモケン)
燦々と照りつける太陽のなかだと、試合時間90分の使い方は変わるんですか?

(木暮郁哉選手)
全然変わりますね。配分を考えないとパフォーマンスが低下するので、環境に応じて考えながらやるといった感じですね。

(ヨモケン)
日本とかシンガポールでの当たり前が通用しないというか、別の能力も必要なんですかね?

(木暮郁哉選手)
そうですね。色んな能力が必要になりますし、試される場でもあるので、選手としてはもちろんですけど、人としての成長も大きいと思います。

(ヨモケン)
家にはシャワーがあると言っていましたけど、家はどんなところに住んでいるんですか?

(木暮郁哉選手)
シェムリアップの家自体はめちゃくちゃ綺麗で、普段の生活はあまり困ることはないですね。
皆さんが思うカンボジアのイメージとはちょっと違って、街自体も安全で過ごしやすいです。

(ヨモケン)
食事とかはどうしているんですか?

(木暮郁哉選手)
日本食屋があったり、スーパーで日本の商品が買えたりするので、全く苦にならないですね。

(ヨモケン)
コロナの影響で人が来なくなったり、物が届かなくなったりとかの影響はあるんですか?

(木暮郁哉選手)
シェムリアップは観光業で成り立っている街なので、商業的にはダメージが大きいと思います。
地元民は正直あまり変わらない暮らしをしているんですが、観光客が減って街に人が全くいない状態ですね。

(ヨモケン)
街におけるサッカーってどんな位置づけなんですか?

(木暮郁哉選手)
シェムリアップはもう一つ日系のチームがあって、シェムリアップダービーをするんですけど、それはすごく注目されていますね。
リーグのなかでも一番お客さんが入るのがシェムリアップダービーで、僕はここにすごく可能性を感じています。
こういうムーブメントがこの町を盛り上げられる可能性がすごくあると思っていて、サッカーに対する意識も更に高くなると思います。

(ヨモケン)
木暮選手はそのダービーマッチで片方のチームで10番を背負っているわけですけど、街を歩いていたら声をかけられるんですか?

(木暮郁哉選手)
ローカルの人にはサッカー選手として知ってもらえてはいるんですけど、自分がどのチームの選手かは区別がついていないですね。
これからダービーが更に盛り上がって、もっと知ってもらえる機会が増えるといいなと思っています。

(ヨモケン)
サッカー文化が根付き始めていて、これからって感じですね。
カンボジアのシェムリアップでプレーしていると聞くと、過酷な環境を想像していたんですけど、意外に過ごしやすいんですか?

(木暮郁哉選手)
はい。僕はそう思っています(笑)

(ヨモケン)
なるほど。これは深い言い方ですね(笑)
自分のチームにも他のチームにも、外国人枠の日本人選手がいると思うんですけど、その人達の苦労している姿は見えたりするんですか?

(木暮郁哉選手)
カンボジアでプレーしている日本人選手は、自分の立場をわきまえている選手が多いので、むしろそこが分からないと消えていく選手が多いです。
残っている選手はそのあたりを理解した上でプレーしていると思います。

(ヨモケン)
環境がこうだからできないとか文句言っている選手は、自然といなくなっていくみたいなことですよね。


サッカー以外の時間はどうしているの?


(ヨモケン)
サッカーを仕事としてやっているなかで、練習とか試合以外の時間で何か他の活動をしたり、日々の時間の使い方はどうしているんですか?

(木暮郁哉選手)
基本的に練習は1〜2時間なので、それ以外の時間は個人的にトレーニングする選手が多いですね。
僕の場合は、チームメイトとチームのインターン生と「World Football Ship」と言う団体を立ち上げて、サッカースクールを立ち上げようとしています。
コロナのことがあってストップしている状況ではあるんですけど、自分達がほかに何ができるのかと考えたとき、オンラインで若い人の悩み相談したり、僕らプロ選手とコミュニケーションを取れる場所を提供したりして、挑戦できるきっかけを与えられたらいいなと思っています。

(ヨモケン)
World Football Shipにはどんな願いや意味が込められているんですか?

(木暮郁哉選手)
Ship(シップ)なので、船を想像してもらうとわかりやすいんですけど、色んな人が色んなところからジョインして、その人達が一つの同じ船に乗り、同じ情熱を持って同じ方向を向いて進んでいく仲間を増やしたいですね。
船なので、その仲間達には色んな世界に行ってもらって、その世界で活躍できる人を育てていきたいなと思っています。

(ヨモケン)
鎌倉インテルが持っている想いとすごい似ているかもしれないですね。
シップの最終目的地みたいなものはあるんですか?

(木暮郁哉選手)
個人的になんですけど、あえてゴールは決めていなくて、どこにでも行けるのがシップの良さだと思っているので明確なゴールは現時点ではないですね。

(ヨモケン)
僕もそういうところがあって、決めきっちゃうのは面白くないなと思っている自分もいて、そこを目指している過程のほうが面白いなと思っています。

(木暮郁哉選手)
本当にその通りで、流れるままにではないですけど、常に人の感情とか目標は変わっていくものだと思っているので、あえてゴールは作らなくていいかなと思います。

(ヨモケン)
それこそ本田圭佑選手じゃないですけど、小学校の時に立てた目標をそのまま突っ走るのは、すごいし美談としてメディアに取り上げられやすいとは思いますけど、それ通りになる人が何%いるのか?となりますよね。
もちろん目指すことは全然いいと思うんですけど、それだけではないですよね。
ちなみにソルティーロ・アンコールFCのオーナーが本田選手だと思うんですけど、選手との接点はあるんですか?

(木暮郁哉選手)
僕自身今のところはないんですけど、試合とかはチェックしてくれているみたいです。
監督に対して、この部分のこういうところが良いとか、けっこう声をかけてくれているとは聞いています。

(ヨモケン)
ソルティーロ・アンコールFCからカンボジア代表に選ばれている選手はいるんですか?

(木暮郁哉選手)
今のところいないので、そこを目標にしています。

(ヨモケン)
ある意味偉いですよね、自分のチームから選びそうではありますけど(笑)

(木暮郁哉選手)
そうですね(笑)ただ、ソルティーロの選手の実力がまだ伴っていないこともあると思います。


チャレンジスピリットはどこで身に付いたのか?

(ヨモケン)
先ほどの挑戦する船という話ですけど、木暮選手自身は高卒でプロになったり、シンガポールやカンボジアでプレーしたりというなかで、自ら過酷な環境にチャレンジしているように見えるんですけど、そのスピリットはどこで身に付いたんですか?

(木暮郁哉選手)
やっぱり海外に出てからだなと思います。
正直日本から海外に出る時は、そんなに挑戦という感じではなくて、流れのなかでという感じでした。
結果、海外に出たことによって、今まで見たことのないような世界を知ってしまって、今までの当たり前が当たり前ではなくなって、上手くいかないことばっかりでした。
でも、上手くいったときの喜びとか、自分が成長している実感を得れる良さを知ってしまったので、挑戦することに対してマイナスなイメージが全くないんですよね。
チャレンジすることはプラスになる要素しかないなと思っています。
なのて、今の自分は最強のモードになっていると思います(笑)
あとは、カンボジアという国を経験させてもらっているので、日本に帰った時は人の3、4倍幸せを感じていると思います(笑)
そういう部分で挑戦に対して全くマイナスを感じないですね。

(ヨモケン)  
一歩踏み出した先に新しい世界があって、想定外のことが色々起きて失敗する時はあるんですけど、解決策を試行錯誤して立ち直ってを繰り返す内に、すぐ対応できるようになりますよね。
そこに成長を感じてしまうと、また新しい試練がないとそわそわしちゃいますよね。

(木暮郁哉選手)
本当にそうですよね。日本に帰って一か月くらいすると、特に成長が止まるという危機感を感じます。
周りにいる人が優しいですし、なんでも助けてくれるので、元がダメな僕みたいな人は悪い時の自分がどんどん出てきちゃいますね。

(ヨモケン)
例えば、コロナの影響で会社が上手くいかない、学校に行けないなどの理由で鬱になってしまう人がいる一方で、この状況を楽しんでポジティブに色んなことにチャレンジする人もいて、この違いは何だと思いますか?

(木暮郁哉選手)
難しいですよね。自分はコロナを楽しんではいるんですけど、考えこんじゃって軽く鬱みたいにもなりました。
結局そのままだと何も変わらないと思うので、どこかで割り切ることが大事で、ポジティブ力がめちゃくちゃ大切だと思います。

(ヨモケン)
どうやってポジティブ力が身につくのか、子供にこういう教育を与えたらポジティブになるとか、解明できたらいいですよね。
でもそうなると、その人は失敗経験がなくなるといのが悩ましいですよね。

(木暮郁哉選手)
でも失敗体験がある人は強いですよね。

(ヨモケン)
それは間違いないと思います。でも、本音で言えば自分達も失敗はしたくないですよね。
サッカー選手としてもビジネスマンとして全部大成功して、億万長者になりたいかと言われたらなりたいですよね(笑)
多くの人は、失敗を失敗と捉えないように自分達でしているだけなんですかね。

(木暮郁哉選手)
前向きに考えたくてそうしているかもしれないですね。

(ヨモケン)
最近調べていることで、スポーツマンシップというものがあって、スポーツだから勝利至上主義という考えがある一方で、勝ちを目指すけどその過程が大事で、周囲へのリスペクトやチャレンジを大切にしようとする方向性や向き合い方がスポーツの価値と言っている人もいて、これは面白い考え方だと思いました。

(木暮郁哉選手)
プロとして日本の第一線で活躍できなかった自分としては、何とも言えないんですけど、今は結果とは別のところに価値があるなとすごい感じています。
例えば、日本で応援してくれていたサポーターが、今カンボジアでプレーしている僕を観にわざわざ応援しに来てくれています。
それが、その人の生活の一部になっていて、人生のポジティブな要素になっていると考えた時、それがすごく価値になっていると実感しています。
もちろん勝ち負けも大切なんですけど、僕はサッカーを通して自分が形成されたと思っていて、そういう部分でのサッカーの価値は高いと思います。
現役でプレーしている選手は、これをもっと感じながらプレーしたほうがいいと思いますし、今ならSNSを使って誰かに伝えるという価値は高くなっていくので、僕はこういう部分をアプローチしたいと思っています。

(ヨモケン)
僕の仲間も面白いことを言ってて、勝利至上主義とスポーツマンシップのトレードオフとなりがちなんですけど、そんなことはなくて勝利の定義の仕方だと彼は言っていました。試合に勝った負けたの短期的な勝利だとアンフェアなことをして騙して勝つみたいなことができるかもしれないですけど、その人は長期的な勝利を目指せと言っていました。なので、最終的にはスポーツマンシップを大切にしている人が人徳や人望があって、試合中にパスが来たりもしますよね。

(木暮郁哉選手)  
何の因果関係があるかわからないですけど、サッカーの神様は正直なやつに微笑むんですよね。

(ヨモケン)
良いやつならパスを出したくなりますし、相手選手になった時もさすがに削れないなとかありますよね。例えばカズさんが今みたいになっているのは、あの人間力だと思いますし、みんな削りに行きにくいですよね。長い時間プレーしているカズさんは長期的な勝利を持っているかもしれないですね。ワールドカップに出られなかった悲劇のヒーローとなっているかもしれないですけど、そのストーリーが今の彼を作っているかもしれないですね。J1、J2のベンチに入るだけでものすごく大変だと思いますけど、そこに入っていけるカズさんとかを見ると人間力も大事だなと思いますよね。

(木暮郁哉選手)
それは間違いないと思います。

(ヨモケン)
ということで、今回は色んな生活面の話しから始まり、最後は挑戦とか人間力という話しになりましたが、この先、サッカー選手・木暮郁哉はどこに向かっていくんですか?

(木暮郁哉選手)
自分は言葉で何かを上手く伝えるタイプではないと思っているので、サッカーやWorld Football Shipで挑戦する自分の姿を見てもらって、何か頑張ってみようと思う人が増えてくれる活動をしたいと思います。あとは、プレーヤーとして長くプレーしたい気持ちは間違いなくブレないですね。

(ヨモケン)
僕の知っている木暮選手は長く10番を付けていて、その背中を今後も追いかけたいと思います。個人的には鎌倉インテルを一つでも上のカテゴリーに上げつつ、World Football Ship船長の木暮選手がいつか鎌倉にやってくることを夢見てますので、その時は10番を用意しています(笑)またカンボジアの応援に行きます!

(木暮郁哉選手)
お待ちしています!




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