子どもが出てくる映画の話をしよう。 その4 中国映画『レッドチェリー』

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子育て時代、テレビでもビデオでも映画館でも、映画をみると必ずこんなイラスト感想を残していた。もちろん自己流だからヘタクソだけど構わない。これは今では大切な宝物になっている。・・と、最近気づいた。

そこで、「子どもが出てくる映画の話」4作目も、この懐かしのマイすちゃらか映画BOOKからとりあげてみる。その映画とは・・

『レッドチェリー』!!

つい力がはいる。中国映画。1995年。個人的に五つ星。

ざっと物語を説明しよう。

舞台は1940年の旧ソ連。中国の共産党員の子弟である少年少女が雪原のなかにあるイワノフ・インターナショナルスクールに留学する。そこは各地から集まった共産党員の子どもたちが、仲良く学ぶところ。

最初のシーンがね、ものすごい雪の中を馬車だかでやってくる子どもたちのシーンではじまるの。どれだけ人里から離れてるんだってところに学校があるのですね。でもそこには、中国人の先輩やヨーロッパ系の友達、先生がいて、すごくあたたかく転校生を迎えてくれる。

主義云々ではなく、さまざまな国の子どもたちが、一緒に遊んだり学んだりする学校って、やっぱりいいな。と思えるいい学校と仲間たちなのよ。

ところが、夏のキャンプ地でナチスドイツ軍に占拠され、子どもたちは離れ離れになり、過酷な運命をたどることに・・。

大人の欲望や戦争に翻弄される子どもを描く映画はとても多い。子どもの視点からみると、大人たちがつくる世界の異常がはっきりと伝わってくる。そうした映画のなかでも、この作品は舞台からして気になるが・・その結末と実話であることに息がとまるような衝撃を受けた。当時のメモでは「涙がとまらない感動作」などと書いているが、こんな言葉でまとめるなとあの頃の自分にいいたい。

映画についてもう少し。

すばらしいのは、主人公の少女チュチュ役の少女。抑えた演技。まだ大人ではないアジアの少女のりんとした美しさがある。素人さんから抜擢されたらしい。

一方、故郷にも帰れず、学校もなく、町で不良孤児となったもうひとりの中国少年の姿も記憶に残る。現実として、異国でたった一人になった子どもが生きていくことが描かれる。

それ以上は語らないことにします。ぜひ観てほしいから。

映画を見直さず、ほぼ古い記憶でのみ書いているので、細部が間違っているかもしれない。そこで今回のためにさらっと調べると、この映画ではロシア語、中国語、ドイツ語が混在していたという。ああ、これらの言語をすべてわかればそれだけで、この映画の、時代の、さらなる闇を感じただろうな。つかわれる言語が語るものは大きい。

ところで、やや横道にそれるけれど、フィクションでつかう言語について。

とあるアニメのこと。主人公は宇宙で戦ううちにブラックホールだかに入って異世界にいってしまい……という話。初回観るなりこのアニメ、すばらしい!! とうなってしまった。なぜなら、主人公が異世界にいったとき、そこの人たちとまったく言葉が通じなかったのだ。映画でもSFファンタジーでも、こういうリアリティがあるとぐっときてしまう。

ところが、なんということか、じつはこのアニメの続きを観ていない。そして年月がたち、今こそ観たいのにタイトルが思い出せない。うろ覚えの記憶で検索してもひっかからない。残念なやつである。



















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