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子どもがでてくる映画の話をしよう。その15。スペインホラー『永遠の子どもたち』

やっと仕事とよべるアルバイトが決まり、生活にリズムがでてきた。だからというわけではないけれど、「声」を発したくなり、再びnoteをはじめる。

そんな久方ぶりの内容は、やっぱり子どもがでてくる映画。あ、ここではなるべく「子ども」と書きたい。すぐ変換されてしまう「子供」は、使いません。とはいうものの、つい変換にまかせて使っちゃうけどね。

で、前からずっと書きたかったのが、スペインホラー『永遠の子どもたち』。もう子どもが出てくる映画好きは、思わず食いついてしまうど真ん中のタイトルである。

映画は、現代よりちょっと前かな。この現代かどうかを区別する目安は、衣装ではなく「携帯」があるかないか、ではないかと思っている。が、もちろん携帯はでてこない。テレビもパソコンもでてこない。でも乗り物は馬車ではない。自動車である。・・という時代の話。

とある海辺にあるお屋敷は、元孤児院。そこの出身者である女性ラウラが、ダンナと息子と引っ越してくる。かつて自分が育てられたように、そこを子どもたちのホームにしようと計画をたてて。ところが、息子は空想だか謎の友達の存在をいいはじめ、ホームのためのおひろめパーティーの日に姿を消してしまう。ホーム立て直し計画もとん挫し、息子の行方をさがす母ラウラ。だが元の孤児院には、もうひとつの秘密があった・・。

過去の情景と、現在の不幸がリンクしあう。海辺の屋敷。洞窟。おきまり(?)のあやしい子どもたちの存在。謎の老婆。暴かれていく過去。そして・・。なんていうか、古典的な要素がぞんぶんに織り込まれているようだけれど・・やはり21世紀のホラーだからして一味違う。

いろいろ今までにない要素はあるんだけど、一番のりだしたのは、屋敷に幽霊がいるという妻の訴えにこたえて、夫が霊媒師らしき人と・・映像による霊の実在確認を試みる技術者をよんだこと。一種のコンピューターなのか、屋敷じゅうにカメラを設置し霊の存在をとらえるという、それまでの古めかしいホラーにはなかった対処法が登場するのだ。

でもまあ、これが話のメインではないので、妻はまた別の方策をつかい、息子の行方を知っているらしい霊の子たちとコンタクトをとろうとする。ここんとこの、キメ細かい伏線もおもしろい。次第に夫が、そんな妻をもてあまし気味になっていくのだが、それもまたこの話のメインではない。

ホラーだからして、きもちのいい結末ではないけれど、これはかなり後味が悪い。ポテチをばりばり食べながら観るタイプの映画とは違う。が、最近ホラー好きな我としては、なんか残る映画だった。

ところで、こういうふうに霊に対する現代的な対処が新しい!と思ったけれど、小野不由美の『ゴーストハント』でも、霊媒師・陰陽師・エクソシストのほかに、メインとなっているのが機材をつかって科学的に霊現象をたしかめる・・という手法が登場する。目に見えない霊がでてくると、どうしてもファンタジーになりがちだけれど、この映画も小野不由美の本も、霊の存在を決して否定することなく現代ならではのリアルなアプローチをする。そして現実的な怖さをつきつける。誰にでもオススメ♡といえるタイプの映画ではないけれど、ざわざわと気になる映画だった。

タイトル画像は「みんなの写真」からお借りしました。おお母校である。

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