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食物アレルギーの診断:「問診」がもっとも重要

食物アレルギーの診断=原因の判定はなによりも『問診』が重要です。例えば、犯罪の捜査でろくに調べずにいきなり誰かを犯人だとして逮捕するということはあり得ないかと思いますが、それと同じことです。『食物』と『症状』との関連を証明するために、まずはしっかり詳しい『問診』をして食材の候補を絞り込み、その後『血液検査』や『食物経口負荷試験』を施行した結果も併せて、診断を確定するという流れになります。このような食物アレルギーの診断について、少し書いてみます。


問診で確認したいこと

✔️何を?
✔️どれくらいの量?
✔️何分後に?何時間後に?
✔️どんな症状が?どこに?
✔️いつまで症状があった?
✔️過去に食べれていた?初めて食べた?

というような情報をお聞きすることにより、原因食物の候補、アレルギーとしての重症度、などがある程度予測出来ます。

食物アレルギーは、原因食材のタンパク質に反応し起こします。食べて2回目以降に起こすわけでも無く、あくまで「食べた量」に関係して症状が出ます通常、ある一定の量(いき値)を越えるとアレルギー症状を起こしますので、食べた量が少ないと大丈夫でも量が多いと症状が出ることがあります。つまり、過去に食べられていた量と比べて、その時に食べた量が圧倒的に少なければ、食物アレルギーとは考えにくくなります。簡単に言うと、『初めて食べた/過去最大の量を食べた』場合に症状が出るということになります。

食物アレルギーの症状

食物アレルギーの症状は『皮ふ症状』が多く(9割程度)、その他、口の中の違和感や唇の腫れなどの粘膜症状、咳やぜーぜーなどの呼吸器症状、嘔吐や下痢などの消化器症状、など、多彩な症状があります。各臓器の症状が複数に渡って強く出ると『アナフィラキシー』という重症な全身的なアレルギー症状であり、さらに意識が悪くなったり血圧が下がったりすると『アナフィラキシーショック』というさらに緊急性の高い症状となります。

アレルギー症状は、食べて『2時間以内』が多く、特に食べて2時間以内の蕁麻疹や皮ふの赤みなどが重要です(乳児だと3時間以内くらいです)。食べて半日後や食べた翌日に蕁麻疹が出たという場合は、症状の出現としては遅いため、食物アレルギーの可能性は低くなります。

そもそも、蕁麻疹なのか湿疹なのかのご判断は難しいかと思います。こちらを参考にしてください↓


また、症状は半日程度、長くても1日も経てば無くなりますので、数日間に渡って続く蕁麻疹というのは、食物アレルギーの可能性は低くなります。

そのような何日も連続して出る蕁麻疹や特に気になる引き金の無い蕁麻疹は、『特発性蕁麻疹』の可能性があります。こちらを参考にしてください↓


さらに、もう少し突っ込んだ話をすると、お子さんが食べた時に、『口の周りが赤くなる』と、食物アレルギーではないかとご心配になられるかも知れませんが、『過去に食べられていた場合』や『口の周りや顔などの直接食べ物が付着したと考えられる部分の皮ふ症状だけの場合』は、すぐに除去しなくても良いケースかも知れません。こちらを参考にしてください↓

血液検査・皮膚テストについて

『問診』で疑った食材に対して血液検査(=特異的IgE抗体)を施行して、その結果も参考にして、最終的に『食物経口負荷試験』で確定するというステップとなります。

重要なこととして、血液検査(=特異的IgE抗体)だけでは、食物アレルギーかどうかの診断は確定的にはならないということです。あくまで問診で疑ったものに関して、血液検査で確認するということとなります。検査が陽性となった食物でも、食べた時の症状を認めなければ食物アレルギーとは診断されず、もちろん除去する必要もありません。逆に、血液検査が陰性でも、症状を繰り返せば、食物アレルギーの可能性があります。こちらも参考にしてください↓


皮膚テスト(プリックテスト・スクラッチテスト)も診断の参考になります。特に、特異的IgE抗体が陰性だったが疑われる場合、特異的IgE抗体検査に検査項目の無い食材の場合に有用です。

食物経口負荷試験について

実際に疑わしい食材を病院で食べて、アレルギー症状が出るかどうかを確認する検査です。過去に複数回アレルギー症状が出ていて、食物アレルギーの診断が確実であれば、食物経口負荷試験をせずに診断となることもあります。

*くれぐれも、食物アレルギーの診断について、検査をするかどうかについては、主治医の先生の指示にお従いください。


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