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占い直撃

でっかい仏像が怖い。でっかいといっても牛久大仏などの位のサイズになると、もはやでかすぎて「建物」というジャンルに入れれてしまお、まあ少しは怖いがまだいける。僕が怖いのはリアルなサイズの4メートルくらいの仏像だ。もう少しでかくてマンション2階くらいのサイズの仏像も怖い。

仏像が怖くなった理由は、わかっているつもりだった。小さな頃父親に東大寺に連れていかれた際、南大門の金剛力士像の前で肩車をされて「ほら!食べられるぞ」とめちゃめちゃ近づけられるという非常に罰当たりな悪戯を受けたことがあり、その時の恐怖は強く今でも頭に残っており、そのせいだと思っていた。しかし僕は、それと同時に小さい頃から今でも、仏像が好きでもある。実家の奈良に帰った際は、夜に東大寺まで出かけ、金剛力士像を観に行く。観に行くと言っても怖いので、僕の金剛力士像の見方はかなり、かなり慎重に進んでゆく。
まず遠くからゆっくりと近づいていく。めちゃめちゃ怖い。実際に見たことがある方ならわかるだろうが、東大寺にある金剛力士像はかなりでかく、威圧感がすごいのだ。向こうにその金剛力士像があると考えるだけで、足が震える。しかし、見たい。

ジリジリと近づいて、南大門という金剛力士像があるところの前まで行く。その辺りまできたら、下を向く。そして下を向いたまま南大門まで着いたら、目を閉じて金剛力士像がある方に体を向ける。今目を開けたら金剛力士像が飛び込んでくるという状況に身を置く。全身に電気が流れるようにピリピリする感覚がある。そこでやはり目を開けることができずに家に帰ることもある。しかし意を決して見よう!という気持ちが固まる時もある。その時はまた顔を下に向けて目を開く、足元が映る。金剛力士像の足元には何か鬼のようなものが踏まれていて、まずそれも怖い。そこからどんどんと視線を上にあげていく。足からふともも、お腹、胸、そして顔までいく。顔をみるとめちゃめちゃ怒った顔でこっちを見ている。この時あまりの怖さに毎回ひっくり返りそうにあるのだが、そこを耐えてしばらく見ていたら段々と恐怖に慣れていき、その圧倒的な存在感に包まれるような気持ちになり、そこに立っていられるような感覚になる。ちょうど水風呂に入って、しばらくしたら慣れていく感覚に近い。もしかしたら畏怖というのがこのような感覚なのかもしれない。そんな事を繰り返していたのですが、怖くなった理由はわかるが自分でもなぜ怖いのに見たいのか、そこが理解ができなかった。
しかし2年ほど前、普段は台湾料理屋のオーナーをしていて、閉店後に個人的に前世を見たりしているという方に先輩が会うというのでくっついていった際に、その人に「あなたの前世は小坊主です」と言われた。


その小坊主というのは、小坊主たち皆で住職に悪戯をしたりする際、毎回一番逃げ足が遅かったりで最初に捕まってめちゃめちゃ怒られたりしていたらしい。僕はそういう感じのおもしろい話は一旦全部本当だとして信じるのですが、なるほど仏像に対する気持ちはそういう事なのかとどこか合点がいった気がした。好きだけど怖い、怖いけど好き、見たいけど見たくない。そういう気持ちは、もしかしたら前世の小坊主だった僕が、修行先のお寺で感じていた気持ちから生まれているのかもしれない。僕が占いやそういうのを信じるというのは、おもしろいからというのも大きいのだけど、大阪に住んでいた時に先輩のバイト先のお母さんが普段は政治家などを限定で見ている占い師だという事で、その人に占ってもらおうとそれも先輩にくっついていった際、普通に家として住んでいる大阪の中心街の高層マンションの最上階で恋愛運を占ってもらった時の体験が自分の中では驚きだったせいだ。

僕はその時後輩君という男の子をすごく好きで、その占い師をひっかけてやろうという気持ちで「恋愛運をみてほしいです」とお願いした。僕としてはその占い師からもろもろを聞いた後に、最後「でも僕が好きなの、男の子なんですよね」と言ってニヤリと笑ってやろうという最悪のカミングアウトアタックを企てていた。

占いが始まり、色々な事を言われた。それ自体は僕とその好きな男の子の性格の関係性として当たっている部分は多く、まあまあすごいなと思っていたのだが最後にさらっと「ああでもこの子男の子ね。だから付き合えはしないね」と言われ「わあ!!」と叫んでしまった。カミングアウトアタックどころか、思い切り顔をストレートで打ち砕かれた気分だった。なぜそれがわかったのか聞いても「まあそういうのがわかるから占いなわけで・・」というのをクレーマーに接する様な困り顔で言うだけで結局何故かはわからなかった。あれが何故そんな事がわかったのか今でもわからないが、その時から占いとか前世とかそういうのがすごく気になっている。


最後にこれだけは絶対に見たいという仏像の話なのですが、奈良の吉野寺にあり、期間限定でご開帳されているというめちゃめちゃでかくて怖い青い仏像がある。それだけは絶対に見たいのだが、見てしまったら本気で怖くて腰が抜けて動けなくなってしまうと思う。以前一人で吉野寺に行った際、お金を払えば本堂の中を見れたのだが、ここのどこかにあの青い仏像がいるというのが怖すぎて中に入れなかった。他の知らない仏像が出てきてもひとりだったら絶対に耐えれない。でも、見たい。不謹慎な感情かもしれないが、僕が仏像に抱えている思いはそんな感覚です。


読んでいただき、ありがとうございました!!!!!!!

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