【コラム】劇場への道しるべ #3 「劇団をつくる/つくらない」

こんにちは!
吉祥寺シアター職員の小西力矢と申します。

吉祥寺シアターでは、8月19日・20日に15~25歳の方を対象とした「吉祥寺シアター演劇部」を開催します。
こちらのワークショップでは、「劇団の疑似体験」をテーマに、「架空の劇団のメンバーになったつもりで、架空の公演を立ち上げる」ことを行います。

※8月19日(土)の回は定員につき受付終了しました。
20日(日)の回はまだお申込みいただけます!

劇団をはじめたくても、分からないことばかりでなかなかその一歩が踏み出せない。
そんな人たちを後押しできればと思い、こちらのワークショップを企画しました。

こちらのnoteでは、本企画に付随したコラム「劇場への道しるべ」を連載します。
今回は「劇団をつくる/つくらない」ことについて執筆します。

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劇団をつくる

劇団をつくることの何がいいのでしょうか。
少し考えてみましょう。

・作品がつくりやすい

創作チームとして経験を重ねていくことで、充実した創作環境をつくることができます。
意思疎通がスムーズになれば、創作の場はよりクリエイティブになります。

・作品のクオリティを保つことができる

小劇場演劇において、その劇団特有のスキルが求められる場面は少なくありません。
各々がプロフェッショナルな技術を身につけることで、より高いレベルで作品をつくり続けることが可能となります。

・負担を分散させやすい

主催者としてひとつの公演を企画し製作するためには、膨大な時間と労力が必要になります。
劇団として協力体制をつくることで、個人にかかる負担を分散させることが可能となります。

・精神的負担が少ない

気持ちの面での負担の軽減は、活動を継続していく上で非常に重要です。
苦悩を共有し困難をともに乗り越えられる仲間の存在はありがたいものです。

・それぞれの活動を劇団に還元できる

集客やコミュニティの広がりなど、外の現場で活動した成果を劇団に持ち帰ることができます。

・多様な視点を取り入れられる

ひとりで劇団を運営していると視点が偏ってしまいがちですが、いろんな人の考え方を通すことで劇団としての客観性を確保することができます。

・それぞれの趣味や特技を生かせる

写真の上手い人、Webページを作れる人など…

劇団をつくらない

劇団という形を取らず、個人ユニットとして活動することもできます。
どんなメリットが考えられるでしょうか。

・責任が分散されない

責任の所在がすべて自分にあるというのは、ある意味では個人ユニットの良さと言えるのかもしれません。
劇団員を抱えるということは、その人の人生をほんの一部分だけでも背負うことになります。
大袈裟かもしれませんが、人の生き方を左右してしまうことなので、その責任を負うだけの覚悟は必要です。

・面倒な人間関係がない

ひとりで活動する方が気持ち的に気楽だという人も少なくないと思います。
劇団内で揉め事やトラブルが起きる心配がないというのは大事なことかもしれません。

・劇団内で合意を取る必要がない

何かを決めたり発表したりすることに対して確認を取る必要がないので、人によってはその方が動きやすいと感じるかもしれません。

・そもそも劇団をつくる必要がない

劇団員という形を取らずとも、信頼できる俳優さんやスタッフさんと長い期間で協働することはもちろん可能です。
実務的にも特に問題なく運営できる、気持ち的にもひとりの方が楽。
であるならば劇団をつくる必要がそもそもないのかもしれません。

劇団をつくる?/つくらない?

自分がどういう形で演劇をつくりたいのか、どういう形で続けていきたいのか。
既存の劇団の在り方を見つめながら、自分に合った活動のやり方を考えることが大切です。

…とはいえ、案外成り行きでできたような劇団が長続きしたりするものなので、あまり考えすぎるのも良くないかもしれません。
「この人と一緒に演劇がつくりたい!」と思ったその気持ちを大事にしつつ、自分にぴったりな演劇のつくり方を考えていきましょう。

(担当:小西力矢)

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