変なトルコ人

トルコ旅行は、カッパドキアのホテルだけを予約して、行き当たりばったりの旅だった。イスタンブールからカッパドキア。カッパドキアからパムッカレ。キプロスに行けたらいいなぁ、ぐらいの感覚でいた。

出会いは突然現れた。

カッパドキア行きの夜行バスは22時発、早朝にイスタンブールに着いたので、それまでは時間がある。短い時間だが、イスタンブールの観光ができる。ブルーモスク🕌でトイレに行った時に、日本語が堪能なトルコ人に出会った。

教え子はイスラム教。モスクに行けばお祈りをする。私はその間、外のベンチで待つことになる。流暢な日本語を話す彼は、彼女がお祈りをしている間、寒いだろうから、うちの店でお茶をご馳走すると言ってくれた。3月のトルコは暖かいはずだが、小雨と寒さが、私の答えを明確にさせた。

彼の店は絨毯屋だった。入れてくれたアップルティーは、冷えた体を温めるだけでなく、本当に美味しかった。最近、離婚したばかりだと言うそのトルコ人は、私の境遇と似ていて親しくなるのに時間はかからなかった。アップルティーから、ラクを飲むまでになっていた。ラクという酒は、無色透明だが、水を混ぜると白くなる不思議な酒だ。度数はかなり高い。ウオッカに近い度数だというのが喉を通してわかる。ウオッカよりも薬草の香りがする甘い感じだ。

これからの旅が無計画だと知った彼は、お節介にも地元の旅行代理店を紹介してくれた。

ほろ酔い気味で旅行会社に入ると、スタッフに日本の女性が働いていた。手数料は少々高いが、カッパドキアのツアーと移動するバスのチケットを購入した。スタッフの女性とは、LINEを交換し、何かあったら全てサポートしてくれる約束をした。

その出会いは、私を助けてくれたのだろう。コロナウィルスで、トルコの旅行ができなくなった時に、日本に来るまでの手配をしてくれた。特にホテルで缶詰になっていた時に、リムジンで市内を観光してくれた事は、今でも感謝している。

イスタンブールで働いているその女性のお腹にはは、旅行会社のトルコ人社長との間にできた子が授かっていた。

出会いは不思議である。

今、松戸でその旅行会社の社長と一緒に酒を飲んでいる。

結婚の了承をもらうために来日しているのだ。彼女は、話を和らげる為に、一足早く実家である北海道へ。時間を持て余した彼が、私を訪ねてくれた。

トルコ人の彼は58歳。彼女は36歳。

人生なにがあるかわからないものだ。

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