定額制は怖い。だがそれも良い。
サブスクはとても手軽だ。
毎月一定額を支払っているのに、DLし放題、聞き放題が、どこか無料感を持たせてしまう謎。
故に怖い。
私は、好きな音楽はCDを買いたいタイプ。
というか、CDが主流の時代を生きてきたので、それが一番だと思っている。
しかしながらの、サブスク時代である。
かねてから、CDの売り上げ低下、音質への疑問等々、各場所で色々と言われていたりする。
まぁそこは、大して気に留めていないのだけど。
完全な消費者である私にとって、CDは、音楽データからジャケ写、歌詞カードに帯まで、全パッケージでアーティストの作品と思っているので、あれが、本質を捉えた最高の商品だと信じて譲らない。
利率のことはよくわからないが、まぁ、タオルやTシャツ等のグッズよりも多く売り上げないとならないのは、たぶん間違いない。
なんなら、CDの売り上げを補填するように、グッズがごそごそ出ている気さえしている。
好きなアーティストのCDの発売日に、学校帰りにショップへ立ち寄り、予約していたものを稼いだバイト代で買う。
それを持って歩む帰路は、口元がニヤけるほどに嬉々としたものだった。
帰宅後には、ジャケ写となった至高の推しを眺めつつ、デザインの構成を堪能。
PCに取り込む前に、CDプレイヤーで再生。テレビやラジオでは聞けなかった、新曲の全貌に、胸を高鳴らさせた。
曲を聞きながら読む歌詞は、一層の愛着を湧かす。
誰よりも早く曲を覚えたくて、リピートし続けて、歌詞をなぞり、書き写し。曲の良さを深めることが趣味だった。
アルバムが出たときなんて、頭から順番に聞き入って、12曲ほどの流れにストーリーを思い描く。アルバムタイトルとも重ねたり。発売前のアーティストの言葉を参考に、曲の意味や思いを想像したりしていた。
社会人になってからは、正直そういった時間が取れていない。
曲と向き合いたい。愛し尽くしたい。そう思うも、曲を覚えることで手一杯。それも1週間かかるようになった。
気づけば、自分の趣味にも変化が現れ、好きになる音楽の幅が広がった。聞きたいアーティストが増えた。
これまでの自分の趣味に費やせなくなったことは、多少はつまらなく感じることもある。
そこで手をつけたのが、音楽配信サブスク。
好きなものは好きなまま、自分の視野を狭めないように、新しいもの流行りのものは触れていたい。
深める時間が取れないなら、取れる時間で浅く攻め広げる。
自分なりの抵抗なのかもしれない。
1曲好きな曲を選ぶと、似た傾向の曲をオススメされる。恐ろしいことに、オススメされた曲が、ちゃんと好みなのだ。
それを繰り返していくと、出会ったことのないアーティストに多く行き着く。
サブスクは、出会いの場としては、最高のもの。ただ、その先に進むことが少ない。
出会うのは、あるアーティストのある1曲。試しにそのアーティストの別の曲を聞いてみても、好きにまで至らない。好みなのは、アーティストそのものではなく、とある1曲だけ。
それでも、自分の視野は広がっていると感じられる。
好みの曲なら、シングルでもCDを買えばいいんじゃないか?と思うこともあるが、そうなると、いやサブスクで聞けるし…になる。
つまり、CDを買うことのハードルが上がっていて、CDの価値を下げていることになる。
これが、サブスクの1番怖いところ。
だがしかし、まぁなんとも。
それが時代の流れと言えば、それに逆らう気力もないので、近い将来、全身どっぷり流されているんだろうな…。
音楽だって一期一会の世界で、一生のうちどれだけ出会えるかが、案外勝負どころ。
ライブも開催できない世情には、サブスクとても有難い存在だと思う。
たった1曲でも、良いと思える音楽に出会えることを、丁寧に喜びながらいこう。
いつか生で見聞きできる日を思い願いながら、好きなものは好きと貫き、狭めず広げ、時折深く落とし込みながら過ごしていたい。
要は使い分け。
この世は良い音楽に溢れてる。
それさえ信じ続けられれば、ジャンルに囚われない興味を持っていられるだろう。
バランス良くいこう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?