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一進一退

夫と娘と犬と。
優しくて、何でも話せる友人達と。
おいしい物を食べて、たくさん話して、平和で満ち足りた毎日なのに、夜寝る前になると、怒りや悲しみが急に湧いてくる。

奴らは何も考えていないのに、悔しい。
頭の上に、ぐらぐらする岩があるようだ。よけることはできない、逃げることもできない岩。
父親は持病のため、近いうちに亡くなる。そうなったら岩は落ちてきてしまう。
私はもう関わりたくない。争いたくもない。弁護士さんに一任すれば、一切関わらずに済むだろうか?もらうはずのお金は、悔しいけれども手切れ金と思うしかないのだろうか。
私がここまで弟と差をつけられたのは、どこからだったのだろう。なぜなんだろう。考えても仕方ないのに、思考の闇に落ちてしまう。

また、嬉しいことがあった時に、奴らより上なんだと思ってしまうのも悔しい。
例えば娘が何かの賞をとった時、何かに選ばれた時。純粋に嬉しくて、誇らしい気持ちと同時に、少しだけ「あいつらとは違うんだ」と考えてしまうことが、また悔しくてならない。
愛することの正反対は、無関心だと言う。確かに、憎んでいる時点で私は奴らにとらわれている。

例の話し合いと手紙から九ヶ月。喰らい続けた毒の量を考えれば、そんなにすぐに無関心になれるわけもない。気長に、少しずつ、行きつ戻りつしながら進んでいくしかないんだろうな。

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