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異国のファッションから学ぶ、ハートの強さ

私は日本生まれの日本育ち、右にならえと言われたら右にならう精神で生きてきた。それゆえに応用問題が苦手で、高校一年の時に受けた実力テストの数学で6点という快挙を成し遂げたくらいだ。(恥じれ)

神経質で心配性、型や枠からはみ出ることなく「臨機応変、成るようになる」とは無縁だった私が、無鉄砲にも20代後半で語学留学に行くことを決意した。(吉本ばなな「キッチン」、温かい孤独でちょこっと綴ってます)

1年間の語学留学で言語の習得だけでなく、海外暮らしから得た学びは、私をカメレオンに変貌させた。


| 重箱の隅をつつく私から部屋を丸く掃除する私へ

留学先に北米を選んだ。理由は3つ。イギリスより物価が安い、イギリスより訛りがほとんどない、イギリスより近い。

北米の現地人は、基本的にフレンドリーでざっくりとゆるい人が多かった。
堅苦しいイメージの銀行でも服屋さんのように入れば真っ直ぐに私を見て「Hi, how are you?」とフランクに挨拶してくれることに感動した。挙動不審な「ハッ、ハイ?(挨拶でなんで疑問符?)」から私の留学生活は始まった。

服屋さんに行くと「何を探してるの?」、「そのピアス、クールだね。」と小さな会話から始まる。よく行くお店だと「この前も来てくれてたよね?また来てくれてありがとう。嬉しい!」って思わせぶりなセリフ、ここはキャバクラか。でも、このマニュアルじゃないやり取りが心地良いと思った。(だから、また行っちゃうんだよなぁ〜って、キャバクラのノリやん)

普段の生活においてもカスタマーサービスがゆるい。
たとえば、台所の水道管の調子が悪く、水道屋に電話すると「明日行くねー」と言いながら来ない。「曜日を聞き間違えたんかなぁ」と思って次の日も待ってみるが来ない。
永遠に来ないんじゃないかと思って電話したら「あーごめーんー忘れてたー明日行くねー」と友達と喋ってんのかというノリで悪気なく言うのでズッコケる。

ほかにも、携帯電話の請求書が突然5ドルアップされていたのでカスタマーサービスに電話してみると「先月の請求書に月額を上げるって書いてますけどー(ノリが軽いー)」って。

請求書を確認すると虫眼鏡でないと見えない小ーさい字で「5ドルアップしまーす」としれっと書かれていた。さすがにこれにはキレた。
「こんな小っさい字、誰が読めんねん!解約したるー!」と返すと、半年間5ドル免除してくれることになった。何?この飴と鞭的な柔軟性、やるやん。結局、おかずクラブのこれがお前らのやり方かー!と思い直して、翌月解約したけど。

こんな調子で最初は「なんで約束の日に来ーへんねん!」とか「カスタマーサービスがなっとらへん!」と逐一怒っていたのだが、1年の語学留学を終える頃には「またかぁ〜」と波風を立てることもなく、目くじらを立てることもなくなった。ワタクシ、悟りを開いたようです。

ゆるい環境に置かれたことによって、次第に重箱の隅をつつくようなことはしなくなり、丸く掃除するおおらかさを身につけた。恐るべし環境の変化。人はいつでもカメレオンになれるのだ。

私のゆるさを海外旅行の準備で「留学ビフォー&アフター」でいうとこうなる。

留学ビフォー:1週間前からスーツケースを引っ張り出して荷造りをしていた。
留学アフター:旅行前夜に荷造りするようになった。いざとなればパスポートとクレジットカードさえあればなんとかなる。なんならおパンツも現地調達すればいい、と開き直るほどにまで成長した。ビバ、留学!

郷に入れば郷に従え、というより、人は暮らす環境によって柔軟に対応できるように、きっと細胞に埋め込まれているのでは、と思う。
全員がそうでないにしても、神経質なうえに心配性で頑固な私でも(一個増えてるー)、何をどう足掻いても成るようにしかならない、ケセラセラを海外暮らしから学んだ。


誰もお前など見ていない

「もうお前は死んでいる」1980年代の北斗の拳ばりのセリフでお恥ずかしいが、お恥ずかしいついでに、当方20代後半までひとりでファーストフード店や喫茶店へ入店することができない小心者でもあった。(どんだけこじらせとんねん)

可愛くもないのに自意識高く、謎に世間の目を気にする恐ろしく勘違い女子だったため、オーダーしてひとりでそこで食べるなんて、清水の舞台から飛び降りるようなものだった。(押すなよ押すなよ〜)

もしかしたら誰かに「あの人ひとりで来てる〜ウケる〜」なんて囁かれているのではないかと本気で思っていたのだから、我ながらイタイ。

今ではマクドもカフェも、ちょっとしたご飯屋さんなら一人で行くことに抵抗がない。世間の目を気にしていた勘違い女子がどうやって一人でマクドに行けるようになったのか。

これに関しては、留学先の現地のファッションに関係してくる。現地人のファッションセンスが、私のコンプレックスを見事に払拭してくれたのだ。

現地の女子の服装は、ダサいの一言に尽きた。ファッション雑誌はあるが、コラム多めで購買意欲が湧かない。特に役に立ちそうな情報も見当たらないので、立ち読み5秒で元の位置へ戻すといった感じだ。

その点、日本のファッション雑誌は視覚で何が流行っているのかすぐにわかり、「トップス5着、ボトムス3着で着回す30日!」と表紙に書かれていると自然と手に取ってお会計へ。異国のファッション雑誌で未だにこの特集を見たことがないので、やればきっと売れるだろうに。

それでは、何を着ていてそんなにダサいのか。

この街は老いも若きもヨガパンツで溢れている。(新刊のタイトルか)
ヨガパンツでカフェ、ヨガパンツで電車、ヨガパンツでモール、ヨガパンツでクラブ、猫も杓子も散り蓮華もヨガパンツなのだ。

明らかに「自分、絶対ヨガやってへんやろ?」というオバチャンまでが履いている。レギンスをスパッツと呼んでいた時代のオバチャンたちが、だ。

ヨガパンツブーム。もしかして私が知らないだけで、ファッション雑誌に「ヨガパンツ de 30日コーデ」なるものが載っていたのだろうか。

百歩譲ってヨガパンツやスパッツの上にチュニック丈のトップスであれば、トップスが長めだからお尻が隠れているし、目のやり場がある。しかし、トップスが腰までの丈でピッチピチTシャツだったら。

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(さすがに被写体を写真に収める勇気がなかったので、渾身のデッサンでお許しください)

オバチャンたちの豊満なワガママボディ、贅沢な霜降りを世間に曝け出しちゃうハンパない強靭なハート。SMAPのライオンハートでも聴かせてやろうか。

溢れる霜降りだけならまだしも(百歩も譲りたくないけど)、たまにヨガパンツから薄っらとおパンツが透けているオバチャンもいる。もはや家に姿鏡がないのかもしれない。

この国の強靭な心を持つオバチャンを見て私は思った。
あ、いいんだ、人目を気にしなくったって。
誰もお前など見ていない、見ていたところで何か?ということに気づいた瞬間だった。

誰かに見られていることを意識していれば着れるわけがない、溢れる霜降りに透けてるおパンツの現地人。
ヒョウ柄をこよなく愛する関西のオバチャンでも、さすがにこればかりは真似でけへんやろう(関西のオバチャンの名誉を守りたい)。

ちなみに、男子のファッションもなかなかユニークで、たまに飛んじゃってる人に遭遇する。

先日電車に乗っていると、上半身裸にブラックデニムを履いたお兄ちゃんが乗り込んできた。「来たで、裸族」。

チラ見していたのだが、何かがおかしい。

ん?はっ!お兄ちゃんの首に、冬のコートについているフェイクファー付きのフードの部分が巻きつけられていたのだ。

斬&新。独特すぎるファッションセンス。で、なんか見たことある。あ、北斗の拳の世界観やん。(盛ってませんって)

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ほかにも、真冬に半袖短パンで歩いている人。ここは常夏の島ハワイでもグアムでもない。日本と同じように四季があり、なんなら冬は日本の冬よりも寒い。

こんな感じで外に出るともれなく二度見したくなる人が溢れている街。
留学先で遭遇した独特過ぎる感性や自分基準のファッションセンスを持つ現地人の心の強さによって、私は人目を気にすることがなくなり、勘違い女子から抜け出すことができた。Special thanks.

人目を気にしなくなってメデタシと思ったのも束の間、現在日本から7,600km離れた国から一時帰国で羽田空港に降り立った瞬間、羞恥心が芽生えるようになった。

ファッション雑誌から出てきたような可愛いニッポン女子を目の当たりにして、あれだけ強靭な心だ、ハートが強いだ、と言い続けてきた現地のオバチャンと自分が重なってきたような気がしてならない。

残&念。


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<無性に文章を書きたくなったときに見つけたnote。果たして機能を上手く使いこなせるのか、はじめてみます。2020年春> <生成色が好きでタンスの中が地球環境に優しい色合いに。><日本から7,600km離れた国からお届けします。>

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コメント (5)
老いのヨガパンツには1リットルの勇気があります。
北米は勇者の国ですね。
後ろ姿のイラストに座布団一枚。
渾身のデッサン!
美術3でもこの出来上がりに自負しております。
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