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noteに入社して、3年が経ちました

この6月1日で、noteに入社して3年が経ちました。

この3年の間でnoteは急激なグロースを見せました。一方で、本当にいろいろなことがありました。スタートアップの3年は、かつて勤めていた大学の世界の15年分くらい(そんなにいなかったけど)の密度で過ぎていくように思います。もちろん、この3年の間には疫病という社会全体がガラッと変わるブースト要因があったものの、それを差し引いてもとにかく展開は速いです。

毎年恒例となっているこの「経ちました」記事ですが、今回はそもそもの初心というか、入社前まで遡った上でここまでを振り返ってみようと思います。例によって、具体的な仕事の話はほとんどしません。

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僕がnoteの前身であるピースオブケイク社を知ったのは、ここに入る転職活動の時でした。そう、何を隠そう、転職活動するまでこの会社のことをロクに知らない状態で入社したのです(威張ることではない)。noteとcakesそれぞれのことは知っていましたが、それらが同じ会社によって運営されていることを知らなかったし、当然社名も知りませんでした。

転職サイトを徘徊していた2019年の冬のある日、ピースオブケイクという、写真という写真がやたら白い会社からスカウトが来ました。とりあえず話を聞いてみるかと外苑前に向かうと、いきなりCTOが出てきてさすがにちょっと構えたものの、そのとき、CTOのコンさんはただひたすらにとにかくめっちゃ困ってるんですという話をしていました。それに対してああだこうだ返答したのですが、具体的に何を話したかはもうあまり覚えていません。

あれよあれよと選考が進み、最終面接の前に当時の採用担当と少しだけ話す機会がありました。その方もとにかくめっちゃ困ってるんですという話をひたすらしてきたので、ああ、この会社はとにかくめっちゃ困ってるんだなと強く印象付けられました。僕からも、おそらく採用担当としてはかなり答えにくい質問もしましたが、それに対しても正直に答えてくれたのをよく覚えています。

今思えば、人によっては引いてしまうかもしれないアピールだと思うのですが、その時の僕の転職の軸は「困っている組織の力になりたい」という超偉そうなものだったので、このようにとにかくめっちゃ困ってると正直に話してくれたことは図らずも、僕にとってはど真ん中のアトラクトとして刺さりまくっていました。

最終面接は社長と、上長となるCFOでした。が、所定の1時間中50分は社長が「noteとは何か、及びその展望」についてとにかく圧倒的に語り倒す場で、辛うじてCFOが最後に一つ「IT関連の購買の経験はありますか?」と質問を投げてきたのが印象的でした(回答はもちろん「はい」)。

その面接の最後に社長に「来て欲しいと思ってます」と言われて初めて、あ、これは口説かれてたのかと気づいたのですが、実は口説かれるまでもなく、面接の前の時点で、会社がOKと言ってくれれば入るつもりでいました。

少なくとも僕が話した人達は信用できると思ったし、包み隠さずとにかくめっちゃ困ってる旨を話してくれたことで、偉そうにもこの人達の力になりたいと思っていたのです。もちろんそこまでにどんな会社でどんな事業をやっていてそれが結構面白そうだこのグロースモデルはなんかすごいぞというのはあって、しかもどこかでグロースモデルの話が決め手になったみたいな話もした気もしますが、今思い返しても正直なコアは「めっちゃ困ってるこの人たちの力になりたい」でした。

そこからの2年は以下のように過ぎました。

1年目はまだ勢いとなんとなくの雰囲気でカッコつけられていたようですが、2年目の後半から組織が急激に変わり始めたり、社内外でいろいろなことが起こるうちに、スタイルを変えないと居場所がなくなるなと思い始めました。そこからは無数の小さな失敗や、いくつかの破滅的な失敗をくりかえしつつ、どうあるべきかをあれこれ考えながらやってきた気がします。もはや記憶もあまりありませんが、いろいろな人に助けてもらったことだけは覚えています。

不思議ですね。力になりたくて入ったのに、覚えているのは力になってもらったことばかりです。

そして迎えた3年目

スタートアップに勤めるような人は会社に流れる空気の味にかなり敏感なので、フェーズが変わると共に絶対に辞めてほしくなかった仲間がこの3年で何人も辞めていきました。

その一方で、気付けば以前以上にいろいろなバックグラウンドを持つたくさんの方が同僚となって社内を自走どころか爆走しているような組織となっており、はたまた時にはその人たちを相手に偉そうにああだこうだ言ったり言われたりしている自分がいます。前よりも多様性は増しているように思います。

そんな状況下では、ときにはウッとなる頼まれごとが生じたりもしますが、まともな人がほとんどなので、少し会話するだけで大体落とし所を見つけられます。困っても話せばなんとかなる心理的安全性は組織が小さかった頃と同じように健在で、これは掛け値なしにすごいことなのではと思います。なぜそんなことが可能なのか、僕にはわかりません。たぶんなんらかの磁場があるのでしょう。

この一年での個人的な最も大きな変化は、ITチームのリーダーになったことです。この会社のIT環境をほぼ一から作ってきたので、それまでも成り行き上「リーダー的な存在」ではありましたが、実際リーダーになってみて、「リーダー」と「リーダー的な存在」は明らかに違うものだとわかりました。

視点が変わり、読む本も変わりました。自分のことより、人のことを考える時間が増えました。矢面に立つ場所と相手が変わりました。失敗の質と影響度が変わりました。もしかしたら話す言葉すらも少し変わっているかもしれません。

一つの小さなチームを取り仕切るのすら、かなりセンシティブで、それでいて大胆さも求められる難しい仕事です。それでも、今、この瞬間も悩みながらやっているこの仕事が「マネジメント」というものであるならば、僕には適性のある仕事なんじゃないかと思っています。まだ上手く端的に言葉にできていないのですが、僕は「こういうの」が好きなようです。

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振り返って、そもそもこの会社に入った理由は「この人たちの力になりたい」でした。

会社も日々いろいろな展開を見せるので、正直うーんこれはと思うことだってあります。そして会社問わずバックオフィスに身を置く以上、宿命的かつ定期的に地味でしょうもない仕事も発生するし、粛々と片付けていかなければいけない。

それでも、3年経った今でも辞めたいなとあまり思えないのはやはり、この会社にいる人たちが好きだからなんだろうなと思います。名前も知らなかった会社に引き寄せられて、いろいろ悩みながらも辞めたくならずに働けているのは、運がいい以外の何物でもないし、そしてそれはとても幸福なことなんだろうと思います。

さあ、初心に帰れました。ここまでに手にしたものも使って、4年目は何をしようかな。

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