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猫と離れる・猫のおしっこ・忘れていた大事なアレ-猫と暮らして(5)


猫と離れる

自分の家に猫がいる。数日前までは、会ったこともない猫たち。彼らだけが家にいる。

猫たちは今どうしているのか。仕事が手につかない、は言い過ぎだが、あまり集中できなかったことは確かだ。


変なところに入って出てこれないことはないだろうか。怪我したらどうしよう。物を壊すこともあるだろう。いや、それはいいとして、やはり怪我や困りごとが起きてないといいが……。

退勤時間になり、足早に家に帰った。
ドアを開けて灯りをつけた。部屋をざっと見渡したが、変わった様子はなかった。2匹を探すと、両方ともベッドの下に隠れていた。怪我はないようだ。


餌を見た。減っている。水を飲んだ様子もある。
私はほっとした。
猫によっては新しい家に慣れるのに時間がかかる。ストレスで食事をとらなくなる猫もいるそうだ。白猫・黒猫のどちらが食べたか分からないが、少なくとも2匹とも食事を拒否しているわけではない。

私は部屋着に着替えながら家の中を見たが、物が壊れていたり散らばっていたりしてはいなかった。

猫のおしっこ

一段落して、夕ご飯を食べた。食べながら考えた。1日でこれだけ心配するんだ。数日分の餌を置いたままで長く家を出るなんてことはできない。ペットシッターを利用しないといけない。結構お金がかかるのかな。あと、怪我をしたときは病院に連れて行くことになるだろうが、近くに動物病院ってあったっけ……。

すると、玄関の方からかすかに音が聞こえた。あっ、と思った。
実は猫が来る1日前にトイレを買っていた。そういえば今までトイレに行った形跡がなかった。聞こえたのはトイレの砂を漁る音だ。

トイレに行くと、白猫がトイレから寝室へ駆けていった。トイレには、おしっこの跡があった。砂が変色して固まっていたのだ。

意外とおしっこは臭くない。もっと獣臭いと思っていた。トイレの砂の効果だろうか。それとも匂いが出るようなまともな飯にありつけていないのか。

水を飲んだ。餌も食べる。糞はまだだがおしっこはした。たかがこれだけのことだが、右も左も分からない状態のあたしには、すべてが僥倖だった。

忘れていた大事なアレ

食事の後、白猫も黒猫を見ると、遠巻きながらこちらを見てくれる。声をかけても近づいて来ないが、自然に近づくと逃げない。少しずつだが、こちらを信用してくれているようだ。家の中を散策する余裕も出てきている。

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安心してあたしは床についた。寝る前にふと、違和感があった。少し考えて大事なことに気づいた。そうだ、名前をつけないと。


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