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kikaku会議

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kikakuという言葉をオックスフォード辞典に載せる旅
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三つのきなので「さんき」をあなたへ

究極の企画対象は自分の人生に違いない

企画についての100日間が終わる。振り返ってみればあっという間だった。まぁ、人生とはそんなものなのだろう。最後に、どう生きるか?を考えてみたい。ヒトには「三つのき」がある。器・氣・機だ。器は大きい方がいい。器量と呼ばれるようなものだ。大きくするためには出し入れが肝心。出し入れするものが次の氣だ。氣には張る氣と弛む氣がある。心を積極的にするには張る氣だが、いつも張ってばかりいては気合が入り過ぎるので要注意。では、その氣を何に向かわせるか。それが最後の機だ。機会には好機と危機があ

”漢字一文字で学ぶセルフマネジメント”という企画はこうして生まれた

長い100日間もあと一日となった。毎日、毎日、それこそ命をかけるように企画してきた。この三か月間はまったく仕事をしていない。もちろん、収入もゼロ。まさに絶体絶命。誰も助けてくれない。あとがない状態だ。企画したものをノートやスケッチブックに書いたり描いたり。そんな中でどうしてだろう、漢字が気になって仕方ない。恐らく、幸田露伴の影響だろう。そして、もうひとつ。コロナ禍で人に会えない。自分でなんでもやらなければならない。言わば、セルフマネジメント。セルフマネジメントで大切なことを三

命がかかっているかのように企画する

企画とは、世の中をよりよきものへ変える活動。そう何度も言ってきた。しかし、この活動は無理にやったり、やらされるものであってならない。一番望ましい心とは何か。それは中村天風の言う強くて積極的な心だ。天風哲学に「感応性能」という概念がある。外界から来る刺激を感じ(感受性)、それに対して反応する(応答性)心の働き。この感応性能がわれわれの心の傾向を決めるのだ。無意識レベルで感応性能を高めるためには呼吸を整えることが望ましい。そう深く長い呼吸。そうすれば平静でいられる。静のみが動を生

人生は自分の手でしか開けない企画

俳優・中井貴一。三谷幸喜脚本・監督作品の映画「記憶にございません!」で凝りに凝り固まった総理大臣を演じていた。雑誌のインタビュー記事でこんなことを語っている。「過去を捨てて生きてきた。頼れるのは自分しかない」。これはスマイルズの「自助論」そのものだ。褒めてもらいのに褒めてくれない。ある時まではそんな境遇にあったらしい。「自助論」の言葉を借りれば、外からの支配よりは内からの支配を。撮影本番でベストパフォーマンスを出すことだけに専念し、過去の成功や失敗、未来の期待や不安を忘れる。

Googleで「陽気な善人」が企んだ瞑想を科学すること

サーチ・インサイド・ユアセルフ。陽気な善人と呼ばれたチャディー・メン・タン。彼はGoogleでエンジニアとして成功した後、マインドフルネスをベースにした情動的知能を高める画期的なこの研修プログラムを開発。社内のみならず他の企業や組織でも人気を博した。モットーは「人生は深刻にとらえるには重要すぎる」で、世界中のあらゆる職場が幸せと啓発に満ちることを願っているそうだ。まるで現代における愛の伝道師。とても美談だ。しかし、彼の真の企みは瞑想を科学することにある。そのために、マインドフ

正統性なき時代の”偏愛”という企画

人間は古来から愛について探求してきた。ある哲学者によれば愛には6つの分類があるという。今日は愛の分類の話ではなく、愛の偏りの話をしたい。好きなものは何ですか?と聞かれてすぐに答えられる人は幸せだ。なぜなら、人間として生きる意味のひとつに好きなものがあるという条件が考えられるから。つまり、好きなものがあれば生きられるのだ。関心の高いものに時間やお金を集中的に投入する人たちをこの国では「オタク」と呼ぶ。「オタク」と呼ばれるのには訳がある。それは彼らが関心を寄せる対象が一般大衆のそ

”没入感”という麻薬のような企みを問う

サンシャイン水族館は、国内最大級の横幅となるミズクラゲの展示水槽などを新設し、複数種のクラゲを展示する新たなクラゲの展示エリア“海月空感(くらげくうかん)”を2020年4月にオープンする。“海月空感(くらげくうかん)”は、水槽の形状や水流、照明、音など空間全体にこだわりを持ち、クラゲの最大の魅力である「浮遊感」や「ゆったり感」をより一層感じられるよう工夫。その中でも、クラゲの展示としては国内最大級となる約14mの横幅(湾曲した観覧可能な部分の長さ)を持つミズクラゲの展示水槽は

パウロのキリスト教化における企み

新約聖書の中に登場するパウロ。パウロは、彼の書いた書簡を通して、今でもイエスの教えを世界に説こうとする。もともと彼はユダヤ人であり、ユダヤ教の熱心な信者だった。イエスのお告げで回心。一転して、キリスト教の布教に人生を捧げるようになった。パウロの回心。その最大の動機はなんだったのだろうか?いろいろな見方があるだろう。この謎を解く最大の鍵と思われるのは異教徒に対する考え方。ユダヤ教はユダヤ人だけのもの。つまり、例外は認めない、絶対的な立法である点。この大前提に対して「おかしいので

「ちがう」という時代に「おなじ」をさぐる”アナロジー”という企み

アナロジー。それは類似だ。かつて哲学、神学、修辞学、美学などの核心にあった。アナロジーはなんとも古くて何とも新しい永遠の謎々をさしだす。文化的多様性が進む世界、ある人なり物なりがそれとは違うと感じるなら、それはいったい何なのか?と。今、われわれは類似類同を語り合う言語を持たないがために、ちがう、ちがうと言い張る。差異の度を越した意識ばかりを抱えている。精神に直観の飛躍を許そう。もっと既知と未知をつなぐことを許すのだ。デジタルの時代。言語だけに囚われず、巧妙にデザインされた画像

「論語」に学ぶ人心掌握の手始めとしての企てー視・観・察ー

「そのなす所を視、その由る所を観、その安んずる所を察れば、人いずくんぞかくさんや」と孔子は弟子に語った。今のわれわれは、「察る」を「みる」とは言わなくなったが、視察や観察という熟語をたまに使うことがある。その人が何をするか、どういう動機でそれをするか、そうすれば本当に満足するか。隠しごとなきほど他者を慎重にみる。「みる」を三通りの字で書き分けて、表意文字の特徴をうまく活かし表現を強調しているのが巧みな企てと言えよう。弟子には恵まれたが、仕官にはなかなか登用されなかった孔子の人

科学の感動をみんなで共有するための企て

サイエンス・コミュニケーターという職業が日本に生まれて15年ほどが経った。例えば、さかなクンのような人をイメージするとわかりやすい。今のご時世だと、新型ウィルスについての科学的知識。これをわれわれ社会と結びつける役目を果たす人たちがいる。以前は、科学に詳しい専門家が複雑な理論や事象を難解な専門用語で解説することが多かった。そして、理科離れという深刻な社会問題。だから、科学の伝道師たちへの期待は大きい。中には科学者の秘められた研究活動に注目する人もいる。科学者たちが長い時間をか

世界のわからなさを見ていきたい企画

川内倫子。是枝監督のお気に入りの写真家だ。彼女の写真はどこかおぼろげではかなく、ビビッドな画像が流行している中で異彩を放っている。インタビュー記事もおもしろい。「世界のわからなさを見ていきたい」。作品づくりは「検証」だと言う。日頃は見逃しているけれども、自分たちの生きている世界がこんなに豊かなんだとか、見ないようにしているけど実はすごく恐ろしかったりするとか。写真を撮るだけでなく、編んで出版することで見る人と共有する。そう、編集作業が何より好きなのだ。反射的に撮影してそれらを

陰翳礼讃(いんえいれいさん)で谷崎潤一郎先生が企んだと思はれること

ここしばらく「美」について探求している。そこで行き当たったのが谷崎先生の陰翳礼讃。さぞかし日本の美について細雪の如く、美々細々に筆を走らせているかと思っていたが間違いだった。第一印象は「朝井リョウか!」だ。陰翳礼讃を書いた当時、谷崎先生は「身分不相応な大金を投じて家を建てた」ばかりで、自分の暮らしぶりや好みを長々と述べている。中でも一番力んでいるのが厠(かわや)、つまり便所に対する愛についてだ。漱石先生を持ち出して「毎朝便通に行かれることを一つの楽しみ、生理的快感にされている