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リーダー修行記⑧(一生踊り出せずに1年が終わる気がしている件2022)

 この辺で真面目なレッスン記を書こうと思ったのは、シリーズ1話目(ジキルとハイドの話)が半分ネタだと思われているきらいがあると感じたからなのですが、なぜかどんどんネタっぽさが増している気するので、「ダンス友にレッスン動画を見せたら『けやきさん、ひどい目に合ってる観てる私が半泣きしそう』と言われた」ことを、ここにご報告します。

 と、誓って事実を盛ったりしていないことを証明したところで。

 それこそ第1話でカウンターパンチをくらい、本格レッスンを開始した直後から苦戦し、今もまだ苦戦し、多分これ一生苦戦するだろうなと確信している「踊り始めのリード」についての話をしたいと思います。

 友人に見せたのはつい先日撮ったばかりのレッスン動画で、タンゴの踊り出しの部分でした。

先生「自分が出ようとしないで。相手に出てもらえるようにリードして」
私「・・・」(とりあえずなんか頑張ってる)
先生「違う」
私「・・・」(なんか頑張ってる)
先生「ダメ」
私「・・・」(一応頑張ってる)
先生「まだ自分が出ようとしてる」
私「・・・」(天を仰ぐ)

 なんかデジャヴだな、と思って過去動画を観たら、習い始めた当初から同じやりとりをずっと繰り返していました。手元が滑って同じ動画をコピーしまくったのかと思った(笑)
 特にタンゴはプレパレーションがないので、動き出せない状態がずっと続くと静止画のような絵面が延々続いてしまい、他の種目に比べて悲惨さが倍増されるのです(他の種目も実態は似たようなもの)。

 友人には「こんなレッスンされたら半泣きする」と言われましたが、私はもうそういうフェーズはとっくに過ぎているので、ただただ先生の忍耐力に感服する気持ちでいっぱいです。
 こいつもう面倒くさいから出てやるか、とかならないのかな。ならないから静止画になってるんだよな。静止時間が短くなったら進歩なのかな。むしろだんだん長くなってる気がするのはなんでだろうな。

 などと他人事のように動画を眺めている場合ではない。
 このままでは、踊り出せないまま2022年が終わってしまう。

 と焦ってみたものの・・・そもそもまず、パートナーの私も、踊り出しが死ぬほど苦手です。
 今の先生に3年も習っているのに、いまだに「最初の一歩目がすべての元凶だよね」と言われるほどです。「僕はプレパレーションですべて伝えてる(から出て)」と言われ続けてるけど、さっぱりそのリードを感知できない。

「いつ出たらいいのかわからない」
 と、何百回言ったか記憶にありません。 

 先生は手を変え品を変え根気強く教えてくれるわけですが、一向に上達しない。いくらフォローが苦手だと言っても、ここまで踊り出しのタイミングを外すパートナーもいないのではあるまいか。

 そろそろどうにかしたい、という心持ちはもちろんあるわけですが、現実的に何か致命的な問題が発生したことがあるかと言われれば、そういうわけでもない、というのが、一般愛好家パートナーの功罪というやつで。要は、人前で踊るときはたいてい先生がどうにかしてくれていて、かなり粘着質追求型の私も、なんだかんだでそこに甘えてきたわけです。3年も。

 でも、リーダーを始めて、気づいたことがあります。

 そういうの、全部自分に跳ね返ってくる

 全部返ってくる

 リーダー修行を始めてから、もう何度言われたか記憶にありません。
「いつ出たらいいかわからない」

 私、初めてわかりました。動き出さない人を連れていかなきゃいけないリーダーの気持ち。
 ぶっちゃけパートナーが普通のサイズだったら、私でも力で押して出れる。でもそれは・・・それはしたくない・・・したくない!!!
 なんかもうそれをした瞬間にその先に楽しいダンスなんかないんだろうなというのがありありと想像できて、想像するだけで虚無感に襲われるこの気持ちは、多分リーダーにしかない感覚だと思います。(パートナー側の、押されていや~な気分になる、というのとはまたちょっと違う)

「パートナーに『私は踊れる』という気持ちになってもらえるかどうかが決まるのが一歩目のリード」

 と言われたときは、「え、それなんの宗教?」と思ったけれど、さすがに3ヶ月も静止画を撮り続けたら、私にもわかってきました。「ここで相手を『押して』出たら全部台無し。その先ホームラン打ってもホームベースには戻れないんだよ」という気持ち。そこで背負ってるプレッシャーの大きさ。

 オラ、そんなリーダーさんたちの心根のやさしさと努力をことごとくつぶすパートナーで本当に申し訳ない。せめてやさしいリーダーになるだ。
 と心に誓ってはいるものの・・・

ハイド「自分の身体は一切使わないで、気持ちだけで伝えて」
私「・・・・」←今度はなんの宗教?と思っている

 直近動画の最後に映っていたこの静止画を観ながら、道のりは長いなあ・・・と呟いています。

(つづく)

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