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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二部 五章 続メダカの王様 
861.家族

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 ゴミ野郎は平気の平左で答えやがる。

「ええ、ええ、刺し貫いてやりましたよっ! ええ、そうでしょうともっ! でもね、野郎は直ぐには死ななかったんですよぉ? 信じられますぅ? どころか、まるでモノホンの悪魔みたいなもやを発し出しましてねぇ、そりゃぁ、驚きましたよおぉ! てっきり人間だと思い込んで可愛がって育ててやった長男聖邪セイヤが、悪魔みたいだったんですからねっ! どうですこれ? 酷い裏切りじゃないですかぁっ? ショックでしたよ私はぁー、ナガチカショックっ! でしたぁー」

「し、しょっく? そ、そうなの?」

「うん、ショック状態でしたね…… とは言え、あのクソガキを殺めた上でその場に留まる訳には行かないじゃないですか? 敵に、ああ、この場合の敵は女房の美雪やカーリーだったんですけどね、ヤツラに見つかったら終りでしょ? んで、元の雪原に戻って様子を窺っていた、そう言う訳なんですよぉー、しばらくしてアイツ等が旅立った後、ここハタンガは無人でしたからねぇ、苦労しましたよぉー、我ながら良くぞここまで回復させられたと、自分で自分を褒めて上げたい気分ですよぉ! なはは」

 えっ、えええっ! こ、この馬鹿のせいで…… 私は昏倒して、後に運命神の一柱、カーリーが失われたって事ぉ?
 ちょっ、何ナノコイツゥ? バアルとは又別の『神殺し』じゃないかぁー、しかも反省していないしぃ!

 おののきを表情に隠そうともせずナッキは言う。

「え、ええ? でもさ、でも言っていたよね? ナガチカぁ! 家族、子供が一番大事だってさぁ! 違うのぉ?」

 まともだ…… まともとは対極な存在であるナガチカが答える。

「当然ですよ、家族や子供は何より大切、当たり前じゃないですかっ! ご覧下さいよ、この場に集った我が民、数千の子供たちの勇姿をっ!」

 ふーん、そう言えば村人が家族だとか、子供達だとかほざいていたなコイツ、実の息子を殺そうとしておいて赤の他人を子供とのたまうとか…… はあぁ、もう何も言え無ぇー!

 そんな私、観察者が腐りきっている間にも、『メダカの王様』、ナッキは何やら気が付いたようだ。
 表情をこれまで以上に戦慄わななかせながら、はっ! とした物に変えながら声を出す。

「こ、子供達だってぇー! ま、まさか…… ここにいる皆ってぇ、も、若しかしてぇ!」

 ん? 何? ここに集まっている数千体のケモ耳達が一体なんだと言うのだろう?
 まともじゃないヤツが胸を張り大きな声で答える。

「そうですっ! ここに残り私を支えてくれている村人は、一人残らず私の子供、息子と娘達なのですよぉ! 残念ながら母親と雄でありながら孕んでくれた彼ら彼女等は私の元を去ってしまいましたがねぇ…… 唯一、いいえ、唯二の例外がここに並んでいるジロー君とユイちゃんだけなのです! ねっ?」

 大きな二体が笑顔で答えた。

「ああ、ナガチカ、いつまでも一緒だよ、なあ、ユイちゃ?」

「ええ、お供させて下さいませ、ね、旦那様ぁ」



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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