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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム)
534.贄

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 コユキが吐息と共に言う。

「はぁー嘘は無いみたいだわね、卜部うらべ君から聞いた話とも齟齬そごが無いみたいだし、信じるわフェイトさん」

「うん、申し訳ないコユキ…… ほかに手段が思いつかなかったんだ……」

「卜部君から聞いた話でござるか、某とコユキ殿をサタンの魔力に足す為の生贄にするって奴でござろ?」

「そうよ、前回の周回ではサタン、卜部君から聞いた時はニブルヘイムの主としか言っていなかったんだけどね、アスタやバアルに比べて魔力が足りなくてそこから崩れたんだってさ、んで元々のルキフェルからアートマンで命を引き継いでるアタシ達をサタンに融合する事でそこを強化するんだってさ、卜部君はそのやり方に納得出来なかったみたいでアタシに逃げろって警告してくれたんだけどね、ごめんだわ善悪、アタシが勝手に受け入れちゃって…… 本当にごめんね」

「その話はもう良いのでござるよ! 拙者も受け入れているのでござるから…… それよりも! さっきフェイト君が言っていた言葉が気になるのでござるが、あれなの? 今回僕チン達が犠牲になっても、その、うまく行くかどうか分からないの? 困ったでござるな、無駄死にも有りって事なんでござろ? 嫌過ぎるっ! でござるよ……」

 フェイトは心の底から申し訳ないと思っている、その心情を表情に昇らせながら答えた。

「そこは本当に申し訳ない、何分試行錯誤でやっているので結果については確約出来無いので…… まあ、前回までより悪くなる事は無い、それ位しか約束できないのです、本当に申し訳ない事です、コンティニューの残りも少ないと言うのに……」

「まあ、仕方が無いのでござる、どうせ時間を戻ってやり直せるんだから、何度もトライアンドエラーを繰り返して答えに近付いて行くしか無いのでござるなぁ」

「そうね、辛い最期でもその都度初めての体験でしょうからそんなに気負う必要はないのかもねん」

 流した会話を続けるコユキと善悪に対して、大事な所を聞き逃していなかったヒロフミが大きな声で叫ぶ。

「ちょっと待てよ二人ともっ! 今大事な事を言ったんじゃないか? コンティニュー回数が少ないとか何とか! それって時間を戻してやり直せる回数って意味なんじゃないか? だとすれば一大事じゃないか? 残機数が限られているって事だろう? ヤバくね?」

「あ、そりゃ確かにヤバいでござるな」

「どうなのんフェイトさん?」

 フェイトは再び申し訳なさそうに答える。

「仰る通り、何故か時間が戻っても我々の魔力総量が回復しないのです、特に深刻なのはオハバリ、メット・カフーの魔力が残り少ない事なのです…… 我々古い神は新しい神々の様に簡単には魔力を回復できないのですよ、星から直に少しづつ回復させる事しか出来ない物で…… 前回失敗して戻った時にメット・カフーが言っていたのはあと一回、一回しか戻る事が出来ないだろうと言う予測でした…… つまり、今回のチャレンジで世界を救えなかった場合、次が最後、ラスイチで改善し捲って乗り切るしか道はないのです」

『…………』

 今回を含めてたったの二回、その意味を悟った一同は、怒りも憎しみも忘れて黙りこくってしまうのである。

 イーチだけはダキアソードを舐め続けて居た、もう柄まで唾液でべちゃべちゃである、無視しよう。

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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