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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
202.エピソード202 淫蕩のルクスリア (挿絵あり)

はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

『いらっしゃいませぇん、娯楽と快楽の殿堂、ルクスリアの悦楽の小部屋へ』

 七階のドギツイ真っピンクのドアにはそう書かれていた……
 その大きな文字の下には、少し控えめな大きさとフォントで、

『未だ見ぬ快楽の極地へ貴方、貴女を誘う神秘の絶技を、その身で受け止め今宵、新たな悦びの極地に…… Love それは Forever んむちゅぅん! 入ってからの、オ・タ・ノ・シ・ミ~♪ 』

と良く訳の分からぬ文言が書いてあったから、コユキの混乱は最大であった。

「やばい! これ、大人の世界っぽいヤツだよ、まだまだ子供のアタシじゃぁ(もうすぐ四十歳)ちと、荷が勝ち過ぎなんじゃ…… ん、んん~でも、アタシが行くしか…… ! そうだ! リエ、リョウコ! おネェちゃん頑張るからねぇ~! ナムサン! 当たって砕けろぉ!! 」

 うん、いいぞ! そうだ! 恐れないで! 妹達の為に!
 そんな感じを出しつつ、真ん丸い顔で、愛と勇気だけを連れて向かって行ったのであった。

 とは言え、大罪と言えば、虹の色と同じ七つだ、グレゴリウス一世から、インドの聖人、マハトマ・ガンジーまで大罪と言えば、なんでか上限七つである。
 つーことは、ここ七階層は最後の大罪、ボスっぽいやつでも不思議はない!

 コユキならずとも緊張してしまう事は当然だろう!
 まさか、飽きちゃったよ! 早く進めろよ! そんな事を言ってしまう、私と同じ立場の観察者、所謂いわゆる読者の中にそんな心ない人なんか居ない筈である……
 そう、私は二十一世紀の人類の親切さと優しさを信じる未来人である!
 故にクドクド、ズルズル引き伸ばして行こうと思う。(ニヤリ)

 そう決めた私の意地悪心は、七階層の守護者、『淫蕩いんとうのルクスリア』を一目見た瞬間に打ち砕かれたのであった。
 
 なんだ、これ? なんなの? ミッドナイトに行きたいの? であった。
 おそらく、コユキの認識も私と同様、当たらずとも遠からず、そんな感じだったのであろう。

「……」

 無言で目の前に横たわった女性、かどうかは定かでは無いが、女型の大罪を見つめて固まっていたのであった。

「いらっしゃい、聖女さん、我はルクスリア、『淫蕩のルクスリア』、よろしくね、ウフフフフ」

 そう言って笑う『淫蕩のルクスリア』の格好は何と言うか…… もう、物凄かった。

 その身に一糸たりともまとって居なかった、専門用語で言えば丸裸、全裸というヤツであり、簡単な言葉で言えばマッパ(アニメ製作じゃ無いほう)とも言う。
 コユキとは違う意味でのボリューム満点、所謂いわゆるボンキュッボンと揶揄やゆされる体型をしている。
 ナイススタイルっ! と呼ぶには少しバランスが偏って見えた、主に胸と尻の肉付きが極端に良過ぎたのである、言う所の肉置きししおきが良いってヤツだろう。

 皮膚の色は『暴食のイラ』と同様に人間のそれとは一線を画する物であった。
 ただしイラの紫に対して、『淫蕩のルクスリア』の肌はショッキングピンクのドギツイ色合いであったが……
 良く見れば、大小のドットや丸を基調とした様々な模様が、ベースのピンクより一際濃いピンクで無数に存在している事が分かる。
 アカハライモリのお腹のピンク版といったところか?
 いいや、ルクスリアに限ってはこう表現しよう、桃色版だと。

 好みの差異こそあれ、醜いと思う人間は少ないのでは無いかと思える身体つきである、いや寧ろむしろ美しいと言って良いのかも知れない。

 それは、顔付きの容姿も同様であった。
 大きく裂けた様に見える横広がりの口は目一杯に引き上げられ、迎えるように大きく垂れ下がったタレ目と接してしまうのでは無いかと見ていて心配になるが、綺麗で有る事は間違い無いだろう。

 何度も言うが、まあ、好みは分かれるだろうが……
 そんな風に、しっかりと観察した後、コユキは返事をするのであった。

「お邪魔します、『淫蕩のルクスリア』さん、私は『真なる聖女』コユキ、貴女を罪から解放する者よ、ここを通して貰うわ! 」

 コユキにしては珍しく堂々と解放を予告したのだった!
 きっと、これって、あれだ!
 緊張から来る頑張り過ぎてる状態、言う所の『かかってる』って事なんだと思う。

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拙作をお読みいただきありがとうございました!



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