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『鏡の国のアリス』のチェス問題①(回答手順)

『鏡の国のアリス』巻頭のチェスプロブレムへの私の回答です。
『鏡の国』は、この回答手順を踏まえないと作者が表現しようとした内容のうちの半分も理解できないのではないかと思います。
来年2021年は『鏡の国』刊行から150年。
『不思議の国』は大好きだけど『鏡の国』はちょっと、という人もこれを機会に挑戦してみては如何でしょうか。

回答手順

1.○Nd4・・・1.●Qh5
2.○Nf5・・・2.●Nf6
3.○d4・・・3.●Nd5
4.○Qc4・・・4.●Nf4
5.○Qc5・・・5.●Ng6
6.○d5・・・6.●Nh8
7.○Qf8・・・7.●Ke5
8.○d6・・・8.●Ng6
9.○Qc8・・・9.●Kh6
10.○d7・・・10.●Ne7+
11.○N×e7+・・・11.●Kg7
12.○Nf5+・・・12.●Kf6
13.○Ne3+・・・13.●Ke5
14.○Nc4+・・・14.●Ke4
15.○Nd6+・・・15.●Kd4
16.○Nf5+・・・16.●Kc3
17.○Kd6+・・・17.●Kd2
18.○Rf2+・・・18.●Kd3
19.○d8=Q・・・19.●Qe8
20.○Qa6+・・・20.●Ke4
21.○Q×e8# まで、21手詰め。

解法

1.アリス、赤の女王に会う・1.●Qh5
2.○d4・・・・・・・・・・2.○Qc4
3.アリス、白の女王に会う・3.○Qc5
4.○d5・・・・・・・・・・4.○Qf8
5.○d6・・・・・・・・・・5.○Qc8
6.○d7・・・・・・・・・・6.●Ne7+
7.○N×e7・・・・・・・・・7.○Nf5
8.○d8=Q・・・・・・・・・8.●Qe8
9.アリス、女王になる・・・9.女王、入城
10.アリス、入城・・・・・・10.○Qa6
11.○Q×e8#

問題図に添えられている手順から、チェスの指し手以外の部分を除きます。

1.-・・・・・・・・・・1.●Qh5
2.○d4・・・・・・・・・2.○Qc4
3.-・・・・・・・・・・3.○Qc5
4.○d5・・・・・・・・・4.○Qf8
5.○d6・・・・・・・・・5.○Qc8
6.○d7・・・・・・・・・6.●Ne7+
7.○N×e7・・・・・・・・7.○Nf5
8.○d8=Q・・・・・・・・8.●Qe8
9.-・・・・・・・・・・9.-
10.-・・・・・・・・・・10.○Qa6
11.○Q×e8#

指し手の順序を崩さないように気を付けて、白と赤に並べ直します。

1.ー・・・・・・・・・・1.●Qh5
2.○d4・・・・・・・・・2.ー
3.○Qc4・・・・・・・・3.ー
4.○Qc5・・・・・・・・4.ー
5.○d5・・・・・・・・・5.ー
6.○Qf8・・・・・・・・6.ー
7.○d6・・・・・・・・・7.ー
8.○Qc8・・・・・・・・8.ー
9.○d7・・・・・・・・・9.●Ne7+
10.○N×e7・・・・・・・10.ー
11.○Nf5・・・・・・・・11.ー
12.○d8=Q・・・・・・・12.●Qe8
13.○Qa6・・・・・・・・13.-
14.○Q×e8#

後は、虫食い状態の棋譜の空欄部分を読者が推理して埋めていくだけ。

問題図に添えられた指し手は物語の登場人物の行動とリンクしているのですから、空欄の指し手を推理するためのヒントも物語本編の中にあります。

このときチェスのルールを遵守するのは当然ですが、明らかな悪手や疑問手には、作者が物語中の記述や序文のヒントでフォローしてくれていますから、それも参考にします。

どこから手を付けるかは人それぞれだと思いますが、結局は冒頭の手順になるはずです。

補足

第9章の女王たちの試験で、白の女王が「1+1+1+1+1+1+1+1+1+1=?」という問題を出すのは、回答手順中にチェック(+)が9回、プロモーション(=)が1回含まれることを示しています。

評価

チェスプロブレム自体のポイントとしては、
・不動駒無し
・ステイルメイト回避
・キングとナイトが円軌道を描く趣向手順
・盤上の駒全てが関わってのチェックメイト
・問題図の偽手順でもチェックメイトに至る
・赤のキングの位置が開局時と終局時で同じ(詰将棋でいう「還元玉」)
などが挙げられると思います。

できれば実際に駒を動かしてみて下さい。

回答手順と本編の関わりについては次項で。

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