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監査法人と独立会計士の違い - 向き不向きについて

こんにちは、Kai会計士です。大手監査法人に11年間勤務し、うち3年間は海外の事業会社に出向、今は海外で独立して事業をしております。日本企業と海外企業、事業会社とプロフェッショナルファーム、どちらにも従事した経験から、日本人がグローバルで更に活躍するためにはどうすれば良いかを考え、綴っていきます。ご意見、ご指摘いただけると大変嬉しいです。

はじめに

今日は海外関係ないですが、仕事で上手くやっていくための監査法人会計士と独立会計士の違いについてです。というのも、監査法人も独立も使う技能が共通なだけで全く別物であるに関わらず、「将来は独立」「独立も視野に入れて」など、監査法人→独立という「流れ」のようなものと捉えられている場面が少なくないと感じるためです。

監査法人と独立会計士の違い

監査法人会計士と独立会計士の一番の違いは、「クライアントは誰か?」だと思います。
ここでは「クライアント」を、仕事を与えて、金銭的報酬も含めてその仕事を評価をする人や組織と定義します。そして、仕事とは、クライアントに対して何らかの付加価値を提供して、その対価として報酬を受け取ることと考えています。では、監査法人と独立会計士のそれぞれのクライアントは誰か?その違いから両者の仕事に対する考え方の違いや、向き不向きを考えていきます。

監査法人におけるクライアント

監査法人におけるクライアントは所属する監査法人や所属する部署・チームの上司です。

仕事は誰から与えられるか? 例外もありますが、パートナーで無い限り仕事をお客様から受注するのは読者の皆様自身ではなく、パートナー、もしくは監査法人自体です。「いや、これは俺自身がお客様から声がかかって取れた仕事だ!」とおっしゃりたいこともあると思いますが、監査契約書や業務委託契約書の署名者はそうなっていませんよね。その上で、監査法人やパートナーがチームにあなたをアサイン(=仕事を与える)わけです。
報酬は誰からもらうか?これも同じ考えです。お客様から報酬をいただくのは変わりませんが、最終的にあなたに報酬を支払うのは監査法人です。評価も組織が直接的に実施し、昇給やボーナス、昇進を決定します。
どのように動くべきか?継続的に仕事を受注して、受け取る報酬を高めていくための方法は、クライアントの自分に対する評価を上げることです。監査法人においては、組織や上司であり、彼らの評価軸に沿って成果を上げることで、仕事の機会が与えられ、報酬も向上します。お客様に提出する成果物の質を上げる、自己研鑽をする、などはクライアントからの評価の元となりますが、一つの手段にすぎません。つまり、組織、上司の評価指針に従って行動するのが最適解となります。

独立会計士におけるクライアント

これはもうお分かりと思います。独立会計士の場合はお客様=クライアントです。
仕事は誰から与えられるか?これはお客様です。契約書も自分の名前(もしくは自身の法人)です。
報酬は誰からもらうか?これもお客様です。お客様に対して提供した価値に対して、直接報酬いただきます。
どのように動くべきか?一番の違いは、お客様からの直接仕事を与えられるということ、成果物が直接評価対象となることです。誰かに定められた行動指針などありません。仕事がない場合もありますし、上手くいけばその分報酬は大きくなります。監査法人と違って、仕事が取れなくてもオフィスを含めた労働環境の整備や賃金の補償がない分、取り分は大きくなります。

まとめ

上記を踏まえると、力を入れるべきは以下の通りいえます。
・監査法人:組織の指針に合った行動。組織が専門的知識の向上や高負荷の労働を求める場合には、その期待に応える。
・独立会計士:お客様への付加価値の向上。お客様への期待に直接答える。お客様の期待は毎回異なることもあり、それを適切に理解すること。

つまり、監査法人=行動指針明確、独立会計士=自分で模索であり、付加価値向上に使うツール(=会計知識など)は同じでも、仕事の仕方が全く異なります。
どちらが良い悪いではなく、向き不向きです。決められた枠内でいかに実力を発揮するか、枠すらも自分で決めないといけないか、どちらが好きかよく考えてください。
(ちなみに、私はあまり何も考えず独立したのでここに気づくまでに時間がかかりました)


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