それだけぼくのパスタは美味しいのだ。

楽天でパスタを注文した。

ディチェコとバリラ、両銘柄。

ディチェコは日本での人気ナンバー1だと思われる銘柄(島田調べによると、日本のイタリア料理屋での使用率がトップだと思える)。

バリラはイタリアで最も売れている銘柄。家庭でもお店でもトップシェア。

どちらも美味しいのだけど、個人的好みを言えば、ディチェコだ。

サラサラしてモチモチして、歯触りがとても良い。

比してバリラはちょっと弾力が強い。麺の表面もサラサラしてはおらず、一本ごとの麺離れもディチェコに劣る。

しかしながら。

イタリアで食した、バリラを用いたパスタたちはそんなことを感じることなく、どれもとても美味しかった。

思うに、風土。

気候、気温、湿度。

それらが食材に直接与える影響。

それから食べる人に与える影響。

きっとイタリアの風土には、ディチェコよりバリラの方が合うのだろう。

湿度の高い日本ではディチェコの方が美味しく感じるのだろう。

とはいえ、日本で食べるバリラも充分美味しいので、我が家では大体両銘柄を常備している。


この事態によって、保存の効く食品が品薄になっている。

パスタもその中の代名詞的存在の一つだ。

うちはパスタの消費率が高い。

ものすごく高い。

ぼくがパスタを食べるのも作るのも好きすぎるからだ。

基本、平日の昼食は毎日パスタ。

一度に300gくらい食べるから、一週間で1500g。500g3袋分を一週間で消費する。

定期的に大量購入して、常に一定量備蓄しているのだけど、この事態でついに我が家のパスタも底をついてきた。

一応近隣のスーパーを見てみたが、軒並み品切れ、品薄、割高…となっていた。

しかしながら売っているのは売っている。

全く買えないわけじゃない。

だが買わなかった。

こういう事態のときのみ、普段馴染みのない人たちがやたらと買い占める、というのがちょっと許せない。

一見さんに荒らされて常連が店に行けなくなる、という事態と同じ構図だ。

ニワカが生粋のファンの邪魔をするんじゃない、と思う。

しかし、自分も年を取ったのか。

「今までこれだけ味わってきたんだから、ちょっと席を譲ってあげるか」

という気持ちが湧いている。

ニワカでもなんでもいいじゃない、それを欲しいと思う人がいて、その良さをもう充分知っている自分がいて。なら譲ってあげてもいいんじゃない、と。

そう思って、棚に残っているパスタを手に取ることはなかった。

帰宅して、パスタが買えなかったよ、と奥さんに報告すると、少し残念そうな顔をされてしまった。

仕方ない、それだけぼくのパスタは美味しいのだ。

楽天で検索した。

売っている。

バンバン売っている。

注文した。

ぼくの奥さんがぼくの美味しいパスタを食べられないと悲しむのだ。

ニワカに譲っている場合じゃない。

それだけぼくのパスタは美味しいのだ。

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