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曽我部恵一 連載小説「メメント・モリタ」第四章

前号までのあらすじ
ライブに来ていたAV女優に「ギターボーカルの人がかっこよかった」と言われたと信じる、〈細胞とガーファンクル〉のギターボーカル、タカハシ。彼女をナンパしたいタカハシに押し切られ、モリタヨヒトも芝浦のクラブ〈GOLD〉へ行くことに。


コンビニで缶コーヒーとヤマザキスティックパンを買う。朝4時。

ぼくとタカハシは〈GOLD〉を離脱してきた。タカハシのお目当てのAV女優のメメ子ちゃんは現れなかった。しょうもないDJがしょうもない選曲。お客はよくわからないニヤけた肩パッド連中。あいつらはどんな仕事をしてるんだろう。30歳前後の中年女がたくさんいて、そいつらは変に肉感があってなんかエロくて、逆にそれがイヤだった。

「タカハシ、メメ子ちゃん、来ないよね? 雰囲気」

「そうだね」

「そうなった今、ここにいる意味って、何?」

「ヨヒトの恋人探し。あと、こうやって退屈そうにしてたら、だれかエクスタシーの1個や2個おごってくれるかも知んねえし」

ぼくとタカハシはGOLDのロッカールームの前でしゃがんでタバコを吸う。

「オレ、わかったわ」ぼくはタカハシを見ずに言う。「女はさ、自分を必要としてる男に興味があるんだよ」

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曽我部恵一 連載小説「メメント・モリタ」第四章

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「書け書けと言われ、書き始めたのだ。小説。 物語がどうなっていくのかは全然わかりません。わかってても、そのように進まぬように願いたい。 自分の人生とはちょっと違うところで、また自由に生きる気分で、このお話に取り組んでみるつもりです」 曽我部恵一、初の連載小説。

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