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詩)あの頃

小さなバイクに跨って
行き先は決まらないまま
夜の道を何も考えずに走っていた
テールランプは光の間を擦り抜けて
自分だけの時間軸を右へ左へ
風の音に声をかき消されても
半ヘルの下で笑っていられた
追われているのか
追いかけているのか
訳もわからず走り続けた

いつの日からだろう
色んな荷物を鞄に詰め込んで
トボトボ歩いていたら
触れた事にも気付かずに
大きな渦に飲み込まれていた
光の間を擦り抜けられず
間違いを咀嚼もせずに飲み込んだ
意味の分からない言葉に頷いて
軽い頭を何度も下げた

街の灯を見下ろして
両手に握った缶コーヒーは
あの頃の様に熱くはなかったけれど
まだ、ほんのり暖かかった

跨り…またがり 擦り抜けて…すりぬけて
頷いた…うなずいた 灯…あかり

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