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詩)この星は廻る

海で生まれて魚に喰われた
この頃はなんらかの意識はなく
増えろ、生きろとの声が頭の中に響いていた
小さな魚になって
漂う事から泳ぐ事に変わり
生への執着を得てこの海を泳いだ
小さい魚は何度も喰われ大きな魚になった
逃げ回る日々は追い回す日々に変わり
喰わねば、増えねば、生きねば
大きな魚として生を終えた

私はまた、輝く丸い泡となる
真っ白な部屋を漂い泡が弾けて虫になった
虫となり地を這う日々はすぐに終わり
蛙に喰われ蛇に喰われ鳥に喰われ空を飛んだ
風を感じ何処までも続く空を飛んだ
そしてまた生を終え私は泡になる
何度も何度も繰り返し
泡と漂い割れては生まれ
死んでは泡へと変わり
私は今、人として生きる
様々な声が私の道を教えてくれる
多くの声に悩み迷いそれでも私は生きる
人の生を終えた時、私はまた泡へと還る
次は何に生まれどの様に生きるのだろう
この星は止まる事なく廻る
私もこの星と共に廻り続ける

漂い…ただよい