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詩)怪物

私の中には怪物がいる
何重にも鍵をかけて
絶対に出てこれないように
閉じ込めていたつもりなのに

どうやったかはわからないが
壁に穴を開けて耳をすまし
こちらの様子を伺っている
事あるごとに小さな声で呟き
私を惑わす

小さな穴から覗く眼は
なにやらもの寂しそうで
こちらまで孤独感に襲われてしまう

いっその事
鍵を開けてコイツと
一緒に暮らそうかと思うこともあるが
少しでも優しくすれば
コイツの欲求に際限はなく
もっともっとと全て欲しがり
満たしても満たしても何処からか
隙間を見つけ出し、作り出し
更なる要求を重ねる

私には私の世界があり
友人がいて家族がいて生活がある
それらを奪い壊しかねない存在を
許す事は出来ない
許してしまえば、たちまち全てを奪われて
気づけばコイツと自分の位置が
そっくり入れ替わる事になってしまう

しかしながら
この怪物を殺して亡き者に
する事は出来ない

この怪物の存在を認め
この場所に留め置く事が
私の存在意義なのだから

最後までお付き合い頂きありがとうございます。
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