見出し画像

ライターやっててモヤモヤするSEO記事制作の現場で抜け落ちがちな4つの大基本

こんにちは。株式会社なかみの大塚たくまです。

私のことを知っている方は基本的に、拡散しそうな取材記事や、わかりやすいインタビュー記事、ローカル情報記事を執筆するライターとして認知していただいています。

それは間違いではないのですが、私の本業は「SEOの基本を記事企画で解決すること」です。検索者のニーズと、クライアントの伝えたいことの最大公約数を検索者目線で楽しく企画にすることを得意としています。

時には、SEOのセオリーを覆すような実験を施しながら、独自コンテンツで検索上位に君臨し続ける記事を制作しています。

これまで数千記事以上、記事を執筆・編集し、順位を追い続けてきました。さまざまなクライアントさんと一緒に、SEO記事の制作に取り組んできたわけですが、その中で抜け落ちがちだったと反省する「大基本」がいくつかあります。ようやく、しっかり言語化できるようになってきました。あなたにもご紹介します。

弊社がSEO記事のコンテンツ制作を行う際、特に注意しているポイントがこれから紹介する4点です。

検索結果にヒントはあれど答えはない

SEOを踏まえた記事コンテンツを作成する場合、記事企画において、最低限なくてはならないのが、以下の3つの視点です。

  • 検索者が持っている最大の疑問

  • 検索意図を満たすために必須の情報

  • 競合記事にない情報や視点

この3つの視点に対して、明確な考えを持っていなければ、勝ち目のあるSEOコンテンツは作成できません。そのため、狙う検索キーワードで検索してみて、その検索結果を分析しながら、記事企画を練っていく必要があります。

しかし、ここで忘れてはならないのは「検索結果に答えはない」ということです。検索結果はあくまで「本日現在の暫定結果」であって、明日以降も通用する答えではありません。ヒントにはなるものの、答えではないのです。

ちなみに、各社が出している「SEOツール」に関しても、答えではありません。どれも「ヒント」です。

しかし、担当者は忙しい。余裕がないと、検索結果を「答え」として捉えてしまい、安易な記事企画を行なってしまうものです。

そこで、検索結果を受動的に捉えた企画をしないためのたった一つのコツをお伝えします。それは……

とにかく、まずは検索前に結果を予想するクセをつけましょう。考えの軸を「Google」ではなく「自分」に持ってくるためです。取り戻せ、自分。

「1位にはWikipedia、2位には楽天EC、3位にはAmazon、4位にはメーカー」「1位から3位くらいまで"詳しい手順"を伝える記事が並ぶはずだ」など、思い浮かぶ限り、具体的に予想してください。

その結果、当たったり外れたりするはずです。ゲーム的で、案外面白い作業です。この作業を通じて、自分と検索者とのギャップを自覚し、検索上位の各記事を見ていきましょう。この時間が大切です。自分の想像とどうギャップがあったのか。そこで考えることこそが、記事企画の大きなヒントとなります。

いきなり検索結果をただ眺めて、「こういうことを書けばいんだ」と思考停止の状況に陥らないようにしましょう。

「検索結果の内容がこうだから、これから書く記事もこうしよう」ではいけません。答えはGoogleにはなく、「検索者」すなわち「人間」にあります。私たちは人間です。だからこそ、Googleではなく、検索者のことを考えましょう。Googleも検索者の方を見ています。

検索ボリュームがあまりない記事の場合、競合の記事がまだ「本当の検索ニーズ」に応えきれていないケースも多々あります。「自分が最初に想像した検索結果こそが、本当に理想の検索結果だった」ということもあり得るのです。受動的にコンテンツを作成すると、そんな新発見の可能性はなくなります。

そこに法則はありませんが、私たちはAIではなく人間なので、きっと想像はできるはずですし、その結果、仮説をつくることはできるでしょう。

Googleという世界最高峰のAIは、いったい検索者のどんなニーズを観測して、現状の検索結果になっているのでしょうか。納得できるまで、しっかり考えましょう。

「考えるといっても、どう考えたらいいの?」

たしかに。真っ当な疑問です。そこで、先ほど紹介した3つのポイントを踏まえ、どこを注目して見れば良いかを簡単にご紹介します。

検索者が持っている最大の疑問

まずは上位の記事タイトルに注目します。記事タイトルが最大の疑問を一言で言い当てているのは、よくあるパターンです。

たとえば、1位〜3位まで、同じような訴求のタイトルだったときは、ほぼ確実にそれが最大の疑問と言ってよいでしょう。また、Googleに表示される「関連キーワード」が似通っているときも、「最大の疑問」を知る大きなヒントになります。

上位がECサイト、メーカーなどの場合は「商品を買いたい」という希望なので、記事コンテンツは上位が狙えません。そもそも、そのキーワードで記事を執筆することを考え直しましょう。

また、誰もが知るような大手メーカーや行政関連のドメインが上位にいる場合は、タイトルで勝っているわけではないので、その点は注意してください。

検索意図を満たすために必須の情報

競合トップ10の見出しを全部書き出し、過半数の記事に入っているような見出しの内容は、基本的に入れておいたほうが良いでしょう。

ただし、その際も「検索者が求めているだろう」と自身で納得するコンテンツだけにしてください。「どう考えても、優先度が低い」と感じるものは、思い切って外しましょう。

競合記事にない情報や視点

「関連キーワード」や「他の人はこちらの質問」に表示されている切り口は、大きなヒントになります。そこに書いてある事柄で、検索意図に当てはまるんじゃないかと思えて、競合記事にない切り口が見つかった場合は大チャンスです。差別化要素として、必ず自身の記事に加えましょう。

検索結果における自ドメインの役割を考える

SEOをかじっている人であれば「E-A-T」という言葉をご存知かと思います。Googleの「検索品質評価ガイドライン」で示されている「Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、 Trustworthiness(信頼性)」のことです。

ただこれって、アフィリエイター以外は「専門性と権威性と信頼性のそれぞれが大事で……。」なんて考え込まなくて大丈夫です。

基本的に、Webを活用したいと考えている場合、本業があって、その本業がうまくいくようにWebを活用することが大半でしょう。本業=何かのプロ。「何かのプロ」ということは、一定の専門性がありますし、プロであるという信頼性もありますし、会社やビジネスを背負ったサイトなら、権威性もあります。

考え込んだとしても、今自分が持っているより大きな専門性や権威性、信頼性をアピールすることはできないのです。

Googleは「餅の話をするんなら、餅屋の意見を尊重するよ」と言っているだけだとも解釈できます。我々も餅屋なら、餅屋のドメインで、餅の話を実直にすればいいのです。それが、餅屋のドメインの役割です。

写真ACにあった

また「検索意図」の競合調査ばかりをやってしまい、「自社のドメインの役割」を認識しないまま、コンテンツをつくってしまうもったいない例を散見します。

ちょっと極端ですが、餅の話をしてるので「切り餅」というキーワードで考えましょうか。このキーワードを狙うとき「サトウの切り餅」で有名なサトウ食品は「各メーカーの切り餅を食べ比べてみた!」という企画をやるべきでしょうか?いいえ、違います。

「切り餅」の3位(2023年5月31日現在)

これでいいんです。これが「サトウ食品」に期待されている役割なんですから。「切り餅」単一ワードで楽天、Amazonに次ぐ3位です。

このへんは「価格.comマガジン」が役割でした。しっくりくる

実は最近、業界ではそこそこの存在感がある企業であるにも関わらず、自分の本業と密接に関わったテーマで「比較コンテンツ」を出してしまうパターンが多く見受けられます。

自社ドメインでありながら「売り込み感をなくさないと!!」みたいな考えを持っている担当者がたくさんいます。これはアフィリエイターの考え方に影響を受けた、Webマーケティング会社が扇動してしまった、偏った考え方です。

自社ドメインは言わば、自分のお店の中です。お店を開いておきながら「売り込み感をなくさないと」というのは、矛盾を感じます。自分のお店の中では、誠実に愛情を持って自社の商品を紹介し、真面目で誠実な仕事っぷりを見せたいところです。

たしかに「売り込み」って、嫌ですよね。そうじゃない。「直球勝負」というイメージです。

比較よりむしろ「切り餅を探す人にサトウ食品がおすすめできる理由」のように、バシッと直球で結論を出してくれたほうが、助かるケースはありませんか?

勝負できる検索キーワードの選定は重要です。比較コンテンツで戦っている検索キーワードの中で、直球勝負できそうな検索ワードはありませんか?むしろそちらの方が、検索順位が大幅に上昇することは安易に考えつきます。

比較コンテンツは第三者にお任せして、当事者である自社は、自社の商品やサービスを愛情持って伝えましょう。

「比較したいぃ〜〜!」と思っている検索者は存在しません。検索者は「納得いく結論を出したいぃ〜!」と思っているのです。比較はその手段のひとつ。

商品・サービスの提供者に求められている解説は比較ではなく、実直な自社商品やサービスの紹介であるというのが、メインです。その中で「比較」するという内容も入れた方が充実するというのなら、サブ的に入れてもいいかもしれませんね。

検索者の感情まで想像する

検索者の検索意図を考えるときは、検索者の感情まで考えるようにしましょう。

たとえば「看護師 やめたい」という検索キーワード。検索しているのはもちろん、文字通り「退職を考えている看護師」です。

でも、感情としてはどちらでしょうか?

答えは……。言わなくても、明らかですよね。

ぼくは駆け出しだったころ、看護師の転職サイトへ送客することがミッションとなっているWebメディアのスタッフだったことがあります。その頃は激務で朝から終電まで仕事詰め。土日もパソコンに向かっていました。

そんな余裕がない中で取り組んだ「看護師 やめたい」というキーワード。看護師を辞めたいのなら、きっと転職を考えている。にも関わらず、ほかの競合サイトは「看護師の転職サイト」の紹介までがスムーズではなかったのです。

送客を後半にすればするほど、読者は離脱していくので、送客が難しくなります。そこで、ぼくは早々と看護師の転職サイトを紹介する構成をつくったのです。それが「競合との差別化になる」と思っていました。

しかし、ぼくは上司に失望されたような顔で、こう言われました。

「ほかと違うことをやれば差別化になる」

差別化って、そんなに甘いものではありませんでした。なんでそんな当たり前のことがわからなかったんだろう。自分が情けなくなりました。

「自分なんかより、Googleの方がよっぽど人間味があるじゃないか」

検索結果を改めて見ると「看護師をやめたいと思った先輩看護師の体験談」が必須内容であることがわかります。まずは「他にもやめたいって苦しんでいる人がいるよ」ってことが知りたいんです。なんでそんな当然のことが分からなかったんだろう。

ぼくはGoogleと検索者をナメていたんです。この出来事はぼくにとって、大きな体験になりました。

人は重いミッションを背負ったり、金銭的に余裕のない状態になったりすると、広い方向に思いやりを持つことは難しくなります。過剰なミッション重視、金銭重視になったコンテンツからは、人間的なあたたかさなんて簡単に消え去るのです。そんなコンテンツはつくりたくない。

記事が表示されているスマホやPCの向こう側には「人」がいます。それはBtoB関連のオウンドメディアでも同じです。

BtoB関連のオウンドメディアで、想定読者の解像度が甘いケースが多々みられます。「BtoBはBtoCとは違い、論理的な納得感が重要で、感情面の訴求は必要ない」という理論が一般的だからでしょう。しかし、それは半分正解で、半分間違っています。なぜなら、BtoB関連の内容であっても、読者は人間だからです。

とはいえ、読者は仕事でその記事を眺めています。感情的な決断はできませんので、感情面の訴求は必要ありません。ただし訴求はなくても、記事企画では感情には寄り添わなければならないのです。BtoB系のメディアはここが甘いケースが多い。

たとえば、BtoB系のメディアが想像する読者の人物像って、こんな感じになってることが多いんです。

意識の高いできるヤツ

でもね、言いたい。「仕事で使う結構基本的な用語のことをググっちゃうような人って、ホントにできるヤツですか?」って。

普通はそういうことって、最初から知っているし、先輩や周囲の人に教えてもらいませんか。でも、それができない状況なんです。だから、Google先生に頼らざるを得なくなっている。

「打ち合わせで知らない単語が出てきた……。調べとこ」
「おえ……。やったことがない業務を無茶振りされてもうた」
「忙しすぎて上司に説明する資料がない。困った」

ほんとはこんな感じなんじゃない?

こういう追い詰められた担当者を助けるような、やさしさが必要なんです。そこがまだまだ、BtoB系のメディアは甘いと思います。

実際にここを追求して記事制作を行なったBtoB系のWebメディアがあるんですが、大幅に検索流入が向上しました。クライアントの担当者が社内でMVPを獲得するような成功をおさめたんです。BtoBのオウンドメディアは、まだまだ戦い方がたくさんあるなと思っています。


記事タイトルに意味のない言葉を使わない

「記事タイトルは重要」って、言わない人はいません。思ってない人もいません。でもね、世の中には記事タイトルの貴重な文字数を平然と無意味な言葉で埋め尽くすことが多い。あまりにも多い。あるあるをいくつか紹介します。

徹底解説 / 解説 / 紹介

記事である段階で「解説」や「紹介」をするのは当たり前。「徹底」かどうかは、読んでみなければわからないので、信用できない。とくに「徹底解説」は使われすぎていて、誰も「徹底なんだ!」と喜んでいない。

おさえておくべきポイント / 重要なポイント

「ポイント」と言っている段階で「おさえておくべき」であり、「重要」という意味が込められているので、「守るべき法律」「払うべき料金」みたいな、意味のない言葉。

大公開

普通は明かされないような秘密を公開しているなら別。しかし、実際はそんなことではないのに使われている。記事なので、何らかの情報を公開しているのは当たり前。

知っているようで知らない

検索者は知らないから検索している。「知っているようで」ということはない。主体的に知ろうとしている人たちに適さないフレーズ。

知らなきゃ損する / 知って得する

検索者は知りたいから、自主的に検索している。検索したのに知れなかったら損するのは当たり前。主体的に知ろうとしている人たちに適さないフレーズ。


これは一例です。実際には、まだまだ意味のないフレーズを使った記事タイトルが蔓延しています。

よく「記事タイトルは32字以内」なんて言われます。もっと言えば、なるべく早いうちにクリックを決断してもらわなきゃいけないので、32字の中でも初手でガツンと決めないといけないくらいです。

タイトルは「短いけれど具体的に」するようにしましょう。そして「関連キーワード」や「他の人はこちらも質問」などの内容から着想を得て、検索者の頭の中にあるだろうフレーズを盛り込んでください。

そうすることで、関連キーワードでも上位を取れることはもちろん、検索者に響きやすいタイトルが出来上がります。

SEOの場合「読みたいっ」と思わせるようなタイトルを無理やり作るよりも「この記事なら時間を使う価値がある」と思ってもらえる、記事内容を正確に想像ができるものがおすすめです。安心感のあるタイトルをつけましょう。

「"3つのポイント"はもう古い」みたいな議論を見たことがありますが、検索結果の記事タイトルは「古い」とか「新しい」で語れるほど、単純ではありません。ひたすらに「意味」が重要です。「3つのポイント」ということで、記事の具体的な内容が想像できるので、現在でも十分に活用できる親切なタイトルのひとつでしょう。

タイトルの世界は奥深い。各検索キーワードによって、求められていることは違うので、よく考えてください。答えは、あなたが考えた先にあります。


SEOは人間的に追求するとおもしろい

「SEOはつまらない」と言われることがありますが、間違っています。「甘いSEOがつまらない」のです。

以前、本当にSEOがつまらないのか、実験したことがあります。「SEO つまらない」という言葉で検索すると、検索結果は「なぜSEOはつまらないのか?」という解説をした記事ばかりでした。

普通にセオリー通りにSEOを踏まえた記事をつくるとなると、ぼくも「なぜSEOはつまらないのか」を解説する必要があります。でも、SEOはつまらなくないんです。

だから、ぼくは「SEO つまらない」の検索結果に新たな正解をつくることにしました。その結果、つくった記事がこちらです。

この記事は公開から2年が経過しましたが、現在(2023年5月31日)でも「SEO つまらない」で1位を守り続けています。セオリーを破った企画でも、検索者の意図に沿った本質をしっかり追求すれば、1位は取れるのです。やっぱり、SEOは面白かった。

最近、ぼくのようなSEOに対する考え方は「SXO」と呼ばれていることを知りました。検索体験最適化。でも、Googleだって検索体験を最適化することを目指しているわけだから、コンテンツを作る側が考えるSEOって、最初からSXOだよね、とも思います。

よかったら、ぼくと一緒にコンテンツSEO沼に飛び込んでみませんか。「相談したい」と思ってくれる方は、株式会社なかみまでご連絡をお待ちしております。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

ライターの仕事

サポートをいただけた場合は、今後の取材活動のために使用させていただきます。