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公共の精神の生き続ける街

安藤忠雄さんの建築は、正直・余り好きではありません。どうしても、あのコンクリートむき出しの建物と向かいあうのにはエネルギーが必要だからです。

 でも、7月5日に中之島にオープンするこども図書館は、とても好感を持ちました。と、いっても相変わらず建物は個人的には苦手なんですが、そのストーリーと精神が多くの人の賛同を得て、大阪の公共の精神を引き継ぐものだからです。

 大阪は川と堀の街。八百八橋と呼ばれた橋は商人が寄付したものです。また、中之島の大阪市中央公会堂は、株の仲買人、岩本栄之助が寄付したものですが、株の暴落で倒産に見舞われても「大阪商人の恥」と、寄付をそのままにピストル自殺します。戦後は、地域発展のためにと、人々が家々を立ち退いた結果、御堂筋などが出来上がります。

 大阪は、公共の精神に富み、そのモニュメンタルエリアが中之島。その中之島に次の時代を担う子どもたちのために、安藤さんは、私費3億円を寄付して、自ら音頭を取ってサポートしてくれる企業を募ります。また、その周りを取り囲む中之島の桜並木は約5万人の大阪の市民の寄付によるものです。

 地域をみんなで作っていくということはどういうことなのか。ただ単に、観光化を進めてお金が落ちるような仕組みを作るという薄っぺらいものではなく、その土地に根ざしたストーリーと精神を引き継いでこそ、魅力ある場所になるのではないのか、と、安藤さんがおっしゃっているように感じました。でも、やっぱりコンクリート打ちっぱなしは苦手なんですけどね…。

*こどもの森中之島は、こちらをご参照下さい。
https://kodomohonnomori.osaka/

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